無印良品に見る、顧客中心設計とUXリサーチ
無印良品はUXという言葉を使わない
PMとしての業務の中で、UXリサーチに関して全く理解不足だったことが判明したので、改めて整理してみることにする。 具体的に、最高のUXを提供する会社としてすごく好きなのが無印良品で、、 面白いことに、かれらは仕事の中でUXという言葉を使わないらしく、そもそもあまりUXを言語化していないらしい。
じゃあ何を心がけるかというと、「顧客中心設計」。 無印良品のWEBデザイナーさんいわく、「作り手の想い、顧客が手に取った時の想い、顧客が誰かにその想いを語っていただけるシーンなんかを想像して作る」という。 何が便利だとか快適かとかではなく、徹底して「想い」を中心に据えていることがわかる。
探索型リサーチとしてのフィールドワーク
顧客視点で設計するために、顧客の家に実際に訪問したりもする。 具体的には、片付けはしないようにお願いし、散らかっているところを見つけては「なぜそうなっているのか」を訪ねるという。 これはオブザベーションと呼ばれていて、下記記事に詳しく載ってるのでおすすめ。
このリサーチ方法、リサーチをかじったことのある人からすると微妙に思えるかもしれない。 仮説なしに闇雲に調べて、「何を得たかったの?リサーチの目的は?」と思ってしまいそう。 これに関しての回答として、「自分たちが得たいと想定できるものに、得たいものはない」というのがある。
リサーチ手法自体は、フィールド調査の中でも参与観察・訪問調査とよばれるもので、、 書籍『はじめてのUXリサーチ』によれば、下記の通り。
このあたりをすごく厳密に書いている源流は「エスノグラフィー」というものなのだけど、、 まず「顧客は自身のニーズの5%しか言語化できない」という前提がある。 だからこそ、顧客より顧客を知っているという「想像を絶するほどの顧客中心主義」が必要になり、はじめて本当に「得たいもの」が得られる。
"業者にお願いしたアンケート調査ではお客視点にはなれません"
良品計画WEB事業部の川名部長いわく、「業者にお願いしたアンケート調査ではお客視点にはなれません」。 そして、彼からの「UXを志向する会社」へのアドバイスが最高で、、 下記画像の通りなのだけど、UXリサーチを考えるために何度も読み返したいほどのエッセンスが詰まってる。
正しいUX設計を始めるとぶちあたるのが「そんなにインタビューしないといけないの?オンラインじゃだめ?」というあたり。 確かに時間は食うし内容は不確定、だけど確実に成果が得られる。 実際に会社からお金をもらうPMは「そういうもの」で終わらせず、説明責任を果たすべきだなあと思う今日この頃。。
ちなみに、最寄りの無印良品でレジに並ぶと、重そうな商品を預かってくれます そして、並んでいる間は無印良品自慢の「綿」を触るコーナーがあって暇しません、顧客中心設計、、!!! 無印良品の顧客中心というプロセスの結果が最高のUXなのですね。。