芸能界を目指すとちこのお話③ 【読者モデル編1】
【前回までのあらすじ】
地方雑誌の街角スナップに参加したとちこ。
イケメン編集者・樋口さんから連絡を受け、読者モデルとなるのでした。
樋口さんに呼ばれて行ったのは、市内にあるスタジオでした。
街角スナップの時とは違って、他の読者モデルさんがたくさんいました。
はわわ~!!!みんな背が高くて、美人さんやな~!!!
これが初めて読者モデルを見た時の感想。
髪の毛から爪の先まで手入れが行き届いていて、なんだかキラキラみえた✨
「とちこちゃーん、お願いします。」
たちまち、とちこの番が回ってきた。
街角スナップの時とは違い、スタッフさんも多い。
なにより「ここで撮ります!」と主張してくる真っ白なスタジオのセットがプレッシャーに感じた。
いざセットに入ると、全身の毛穴から汗が噴き出た。
怖い・・・!
カメラマンさんやスタッフさんとの距離がすごく遠くに思えた。
結論から言うとこの時の撮影は、驚くほどボロボロ。
雑誌に載ったことを友達にも内密にするレベルでブサイクに写ってました。
まず、カメラに向かって笑えない。
キレイに写りたいという欲と緊張が混じり合って、顔面がまるで自分のものとは思えないくらい思い通りに動きませんでした。
笑おうとすると頬は引きつるし、表情筋が強張って途中からは顔の感覚がなくなっていました。
もう一つ、ポーズが意味不明。
撮影ではカメラマンさんがまあまあ高速でシャッターを切ります。
モデルはそのシャッター音に合わせてポーズや表情をひとつずつ変えていきます。モデルの「も」の字も知らなかったとちこは、どんなポーズをとるべきなのか分からず最初に言われたポーズのまま、首を鳥のように動かすだけでした・・・。
反省点2つ・・・。
表情(顔)とポーズ(体)・・・全部やないかい!!!
今後の学習のためにもと他の読者モデルさんの撮影を見学させてもらったのですが、とちことは次元が違う。
動く!動く!!動く!!!
表情もポーズも。笑顔一つじゃなくてコロコロ変わる百の表情。
どうしたら自分がきれいに見えるのかしっかりと分かっている。
この時「ああ、かっこいいなぁ~」とぼんやり思ったのが、始まりでした。
カメラマンさんはプロ。
だけど、石ころは石ころ。どんな有名なカメラマンさんが撮ってもそれはダイヤモンドにはならない。
雑誌発売日に見た、変なポーズの変な顔のとちこ。
脳裏に焼き付いたあの読者モデルさんのかっこいい撮影風景。
あの人のようになりたい!!!
なんとなく撮影した街角スナップ、流れでやってみた読者モデル。
そんなふわふわした感情が、確信へと変わるのでした。
つづく🐑
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