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咳・たん

今回のテーマは 「 せき と たん 」 です。

皆さんは、せきやたんがどうして起こるのか知っていますか?
飲み物を一気に飲んだときのことを考えてみて下さい。むせてせき込んでしまったことがあるでしょう。それは、せきによって異物から肺を守っているのです。

もし、せきがなかったとしたら、気管に入った飲み物はそのまま肺に流れてしまうことになります。つまり、せきはからだにとって重要な働きをしているのです。

◆せき・たんの起こる理由

私たちが吸っている空気には、目に見えない細菌やほこりが混じっています。呼吸をするとそれらも一緒に体内に取り入れてしまっています。

口から取り入れた空気は、肺へ送られますので、細菌やほこりも一緒に肺へ侵入する可能性があります。しかし、人間のからだには、細菌やほこりを取り除く仕組みが備えられてあります。空気が肺へ送られる通り道である気管や気管支の壁は、粘膜に覆われているので、細菌やほこりなどの異物はその壁にくっついてしまいます。そして、気管支から分泌される粘液と一緒に喉頭へ運ばれ、肺へは送られずに食道、胃へ送られて処理されます。


このようにある程度、空気が汚れていても体内で浄化できるようになってはいますが、それ以上に細菌やほこりが多い場合は、粘液の分泌が増えて処理能力が間に合わなくなり、気管や気管支にたまってしまいます。それが気管支を刺激して、せきやたんとして症状に現われるのです。
また、気管支に炎症がある場合も、粘液の分泌が増え、せきやたんを引き起こします。

◆せきの種類

◎からせき(乾いたせき)

特徴 コホンコホンという刺激性が強く、たんを伴わないせき

☆原因
・喫煙
・心因性
⇒せきの出ることが気がかりになったり、せきをしてはいけないと緊張したりすると、かえってせき込む
・咽頭・喉頭の炎症
⇒喉の奥がイライラする、声がかすれる、という場合
・間質性肺炎(※1)、肺線維症、肺がん
⇒肺のほうからかなり激しいせきがでる

※1 間質性肺炎とは…
肺の中で酸素と二酸化炭素のガス交換をしている肺胞に炎症が起こっているもの。肺胞の壁が硬くなりガス交換の機能が低下すると肺線維症になる。

◎湿性のせき(湿ったせき)

特徴  ゴホンゴホンというたんのからまったせきが止まらず、何度もせき込む

☆原因
・かぜ
・慢性気管支炎
(※2)
⇒冬に多く、せきが3ヶ月以上も続いて長びく
※2 慢性気管支炎とは…
原因不明のせきとたんが長期間にわたって続く気管支の病気をいう。喫煙の量が多いほど起こりやすい。また、大気汚染地区に発症しやすい。
・肺炎
⇒発熱を伴う
・気管支拡張症(※3)、進行性肺がん
⇒血たんがでる
※3 気管支拡張症とは…
気管支の内腔の一部が拡張し、その拡張した部分にたんがたまりやすく、細菌が感染して気管支炎を繰り返す。
・肺気腫、肺結核
⇒湿性のせきがだんだんとからせきに変わった、または、その逆の場合。

◎たんの種類

☆無色透明(半透明)
さらさらしている
かぜ
(細菌感染をしていない)気管支炎
粘り気がある
気管支喘息

☆黄色
粘り気がある
気管支拡張症
慢性気管支炎
細気管支炎(※4)
※4 細気管支炎とは…
気管支の先の細い部分に炎症が起こり、空気の出入りが悪くなって呼吸困難になる。
肺炎

☆緑色
インフルエンザ桿菌や緑膿菌の感染

☆赤色(血たん)
気管支拡張症
肺炎
肺がん
肺結核


◆正しいせきの仕方

からせきの場合、気道が刺激されやすくなっていますので、薬が必要となります。
湿性のせきの場合は、たんが伴うので効率よくたんが出るようなせきをすることが大切です。
自分の意志で過剰なせき込みを避けて、せきによる体力の消耗を最小限に抑えましょう。

◎正しいせきの仕方

・腹式呼吸で息を深く吸い込む。
・腹筋を緊張させて数回せきをする(次のせきをする前にゆっくりと息を整える)。


◎たんを出しやすくする姿勢

たんが気管支から喉頭へ流れ出ていきやすい姿勢をとることを体位ドレナージといいます。気管支や肺にたんがたまりやすく、苦労する人にとって有効です。

病変の存在する場所によってたんのたまる部位がちがい、姿勢もちがってきますので、病変がどこに存在するのかを医師に聞いて確かめてから実行しましょう。
たんは、夜中にたまりやすいので朝、起きてすぐに行うのが効果的です。
毎日10分くらいは続けましょう。
体位ドレナージを行いながら、電気マッサージなどで胸部に振動を加えると、よりたんが出やすくなります。

◆体位ドレナージのいろいろ

☆肺の上葉のたんを出しやすくする姿勢
床に座るか、椅子に腰掛けるかして、まず、上体を左右に45度傾け、次に後ろへ30度、前へ45度傾けることを繰り返す。
ひとつひとつの動作は10秒間続ける。

☆肺の上葉と下葉のたんを出しやすくする姿勢
まくらをせずに、あお向けに寝るか、うつ伏せに寝る。
この姿勢を10秒間ずつ交互に繰り返してもよい。

☆肺の下葉のたんを出しやすくする姿勢
下腹部にまくらを入れてお尻を高くしてうつ伏せになり、腕を組んでその上に額をのせる。


☆肺中葉と上葉のたんを出しやすくする姿勢
約15度の傾斜をつけたベッドに、まくらをせずに頭を低くしてあお向けに寝て、お尻の下に小さいまくらを入れ、下肢を直角になるように立てる。


☆外側の肺のたんを出しやすくする姿勢
約15度の傾斜をつけたベッドに、頭を低くして左を下にした横向きの姿勢で寝て、頭とわき腹の下にまくらをあてる。
これを5分続けたら同じようにして右を下にして寝る。


☆肺の中葉と上葉のたんの排出を促し、腹筋を強化する姿勢
約15度の傾斜をつけたベッドにまくらなしであお向けに寝て、下半身がベッドから離れないようにして上体だけを左へ回転させ、右肩がベッドから約45度離れるようにした後、元に戻し、次に上体を右へ回転させる。


☆上葉以外の肺の各部位、とくに下葉のたんを出しやすくする姿勢
下半身はベッド上、上半身はベッド外に出し、約45度の傾斜をつけて頭を下げ、床の上で両腕を組んで、その上に額をのせる。初めは1~2分とし、慣れるにしたがって10分ぐらい続けるようにする。

◆薬でとめて良いせき、良くないせき

せきは、体内に異物が侵入してそれを体外に排出するために起こっているので、むやみに薬で止めるのはよくないことです。
しかし重症の場合、その他の症状を誘発することもあります。
おおまかには次のように見当つけられますが、最終的には医師に判断をしてもらいましょう。

・薬でとめて良くないせき: 湿性のせき
→(気管などに異物が存在している証拠)
・薬でとめて良いせき: からせき
→(体力を消耗するだけの余計なせき)



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