読書感想1
ご無沙汰しております。暑い夏でした。あまりの暑さに集中力が減退していきます。読みたい本はたくさんあるのに、なかなか捗りません。ましてやnoteは、書くことができませんでした。少し朝晩が涼しくなり、やっと1冊読み終えたので、ここに読書感想文を書いてみたいと思います。備忘録になります。
「60歳からめきめき元気になる人」榎本博明著、朝日新書
この手の本は、ほとんど読んでおります。自分のこともあり患者のこともあるので興味があるテーマです。前半は「人生で三度路頭に迷う。」「高齢期への突入をどう受け止めるか」「居場所をめぐる葛藤の落とし穴」というところは、これまで書かれた書物と大差ない内容でした。この本のよさは後半です。「喪失の悲しみをどう乗り越えるか?」というところは心に突き刺さりました。患者さんに、2年たった今でも大切な人を喪失した悲しみから抜け出せない人があります。私たちは年と共に様々なものを喪失していくのです。仕事、役割、体力、記憶・・・大切な人を喪失した場合は、生命の危機に瀕する場合もあります。私たちは、自伝的記憶に生きているとありました。自分のバイオグラフィーをいかに豊かにするのが、過去を振り返りその強化をすることによって、自己のアイデンティティの崩壊を防ぐことができるとありました。これは試してみる価値がありそうです。
ひょんなことで10年以上前に自分が書いたメールを発見して読んでみると、ほとんど別人の書いたものです。自己と言っても、どんどん変化しているということです。西洋哲学でいう固定普遍な自我はある意味幻想ではないかと思います。それはさておき、もっとも強い喪失によるストレスの原因は、1配偶者の死、2離婚、3配偶者との別居とあり、配偶者関係が上位3つを占めています。対処の方法としては、誰かの役にたつこと、自己開示ができる相手を持つこと、を挙げています。
喪失の時代を誰しも否応なしに遅かれ早かれ経験していきます。そのとき役にたつ言葉として、フランクル、ヘルマンヘッセ、葛飾北斎をあげて締めくくっています。
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