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vol.10 出来の悪い娘の在宅介護 【ALS(筋萎縮性側索硬化症)】


たくさんの人に支えてもらっています。

①神経の伝達ってすごいわ

2017年の5月頃には、座ることもできなくなり寝たきりになりました。

そして、困ったことに、自分の意思で1cm以上、口を開けることができなくなりました。自分の意思でというところが神経の伝達に障害が出るALSらしいですね。そうなんです、自分の意思とは無関係の反射的に起こる「あくび」のときは、めちゃめちゃ大きな口が開くんです。人間の神経の伝達は本当に複雑なのに、いつもさらりとやっているんだと思いました。その神経伝達が上手くいかないと、こんなに大変なんだと痛いほど思い知らされます。

例えば、蚊が飛んできて手に止まったときに、目(視覚)やブ~ンという音(聴覚)やらで感知して「あ!蚊だ!」と神経が脳に伝達し、「右手に止まっているから、左手を動かして叩いてやっつけろ!早くしないと痒くなるぞ!」と命令が下され、ようやく叩いてやっつけるんです。でもその速さ、すごくないですか?!このありがたさに、なかなか気づけないですよね。これ、ふつうにやってのけているから。

②涙が出る口腔ケア

そんな神経伝達ができなくなってきた母の口腔ケアは難しいってもんじゃないです。口から食べ物も飲み物も摂っていないため、乾燥してきます。痰も出て固まるので、取り除かないと呼吸が苦しくなります。口腔ケアジェルやらスプレーを使っても、分泌物が舌にこびりついて取れません。

何とか口に入る歯ブラシがないかと探す日々ですが、なかなか合うものがありません。写真のオレンジ色の歯ブラシは、歯科の先生が往診して加工してくださったものです。歯ブラシの柄の部分を少し曲げて歯の裏を磨きやすくしています。

口の中をきれいにしておかないと虫歯でもできたら、開かない口では治療もできません。それに飲み込みにくいため、菌が混ざった唾液が肺に流れ込んだら誤嚥性肺炎になる。何としてでも救急車には乗せたくないという気持ちから、母には本当につらい思いをさせてしまいました。

口腔ケアをするたびに、眉間にシワがよりつらい表情をして嘔気が出るため、ヘルパーさんは無理ができません。「私がしないと」と思いながらする口腔ケアは本当につらかった。

何とか、嘔気が出ないように頑張るんですが、オエッと母がなったときは本当につらい。体を曲げたり舌や口を動かしたり、お腹に力を入れたりと、体を守りながら嘔気を和らげることができない母にとって、どんなにつらいか想像できます。目の前の母の苦しそうな顔を見て、こんなことをする自分を責めていました。発症から2年で天国に行くなんてわからなかったから。もっと生きていてほしい気持ちから、お母さんの限界を受け止めてあげられてなかった。わかっていたら無理なんてしなかったのに・・・。後になって思えば、あんなに頑張らない方が母にとってよかったのにと思います。本当にしんどかったと思います。母に会えるなら謝りたいです。本当にごめんね。お母さんが「もう無理だよ」って目で訴えていたのに、限界がちゃんとわからなくてごめん。

③誰かに頼るって大事

ALSが投げかける難題に行き場がない気持ちを持ちながら生活していると、だんだん笑えなくなります。そんな中、毎日忙しい弟家族が一緒に介護をしてくれる時間で、自分を許せたり、頭を休めたり、ホッとできる時間が作れました。

そして、強い味方は、やはり近くの家にいる孫(私の娘)です。「あれして」「これして」と遠慮なく言え、母も私も笑わせてくれるので家の中にサーっと風が入って換気できる感じです。

庭の木も切ってくれたよ。

誰かがいて支えてもらえるって、介護するときにとっても大事です。
笑顔になると自然と心が軽くなります。医師や看護、介護のたくさんの人に支えられ、毎日が送れています。

#ALS  #介護 #誰かに頼るって大事

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