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結局モノクロ写真が好きなのだと

写真をちゃんと始めた当初、ずっとモノクロで撮っていた。
X-Pro1とNOKTON classic 35mm F1.4の組み合わせに、フィルムシミュレーションをモノクロにして撮る、それが私の写真生活の始まりだった。

今となっては何でモノクロで撮り続けていたのかはっきり覚えてはいない。
色がないから余計な情報がない
形や質感を伝えるのに向いている
人の表情がストレートに伝わる
などなどモノクロにする理由はあるが、でも結局後付けの理由というか、世間一般で言われる範疇から抜けていない感覚がある。
そもそも身の回りの物自体シンプルな物が多かったり、料理の味付けも薄味の物が好きだったりするので、人間的な趣向の部分が大きいのだろうとは思うが。
とりあえず「写真はモノクロだ!」と思い込んで撮り続けていた結果、多少なりとも形にはなっていると信じたい。

X-Pro1のフォルダを観ると9割以上がモノクロの写真なのだが、カメラがX-Pro2,X-Pro3と進化するに連れて魅力的なフィルムシミュレーションが増えたことでカラーで撮る機会も増えていった。
X-Pro2でクラシッククロームが使えるようになり、カラーはほとんどこのシミュレーションで撮っていた。落ち着いたトーンの渋い色は私の感覚にピッタリだった。X-Pro3ではクラシックネガが使えるようになり、カラーの常用シミュレーションはこちらに変わった。白と黒を、というかほとんどの色を濁らせそれでもって破綻なく美しい色、というフィルムメーカーだからこそ出来る色表現に夢中になった。
どちらもカラー写真の面白さや難しさを学ぶには非常に良かったし表現の幅も広がったと思う。
勿論、X-Pro2とX-Pro3にはACROSという素晴らしいモノクロシミュレーションが存在したので、基本はACROSでモノクロ写真を撮りまくっていた。だが「モノクロが基本だ、でもカラーでも一応撮っておきたいな…」というなんとも意思の弱い考えがよぎってしまう事が増えてしまった。(結局2枚撮るか、RAWで撮って後から現像するかしていた。デジタルなんだからそれでいいんだけども)

そんな中、最近ではあまり写欲が高まらない日が多かったのもあり自分の過去の写真を整理したり、持っている写真集を観返したり、最近の写真家を調べたりする時間が多かった。
そうしていて気が付いたのは、私は結局モノクロ写真が「好き」なのだ。
自分の写真を見返してもモノクロで良いトーンを出せていると「やるじゃないか、自分」と思えるし、他人の写真を観ていてもパッと目に留まるのはモノクロの写真。土門拳のモノクロの仏像を観ると溜め息が出るし、ハービー山口のモノクロのポートレートを観ると心が優しく晴れやかになれる。ブレッソンやユージン・スミスのモノクロのスナップやドキュメントも素晴らしい。本当に美しいモノクロ写真を観ると、何と言うか身悶えするような、興奮というか、そんな感覚を覚える。理屈抜きで好きなのだ、モノクロが。

モノクロにする理由などは後付けとして置いておいて、結局私は本当に好きだから撮っているに過ぎないのだと気がつけた。自らもモノクロで撮影し、そして自他問わずモノクロで写された世界を鑑賞する事が、私の写真生活の中で特に大事な歓びなのだ。
もっともっと上手なモノクロ写真を撮れるようになりたい。
最近は薄れていた情熱がまた復活した事を自分でも喜んでいる。


LUMIX S5 + SIGMA 35mm F2 DG DN Contemporary
LUMIX S5 + SIGMA 45mm F2.8 DG DN Contemporary
LUMIX S5 + SIGMA 45mm F2.8 DG DN Contemporary
LUMIX S5 + SIGMA 20mm F2 DG DN Contemporary


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