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素通しファインダーから見る世界 X-Pro2

最近どうもカメラを持って外に出る気力が湧かなかったり、持って出てもあまり楽しめない日々が続いていた。
メインカメラをLUMIX S5に買い替えてから解像度だったり絵の奥行きだったりの画質面では明らかに向上した訳だが、センターファインダーのボディやフルサイズミラーレス用の大きなレンズは常に持ち歩いてスナップするには向いていない。お仕事で使う分には素晴らしいのだが、単純に使っていて撮っていて「楽しい」という感覚は薄いカメラだ。

写真を撮る枚数(というか、外出する機会も)が大きく減ったのもあり、このままではまずいと思い改めてX-Pro2を持ち出したらどうなるだろう、何か感覚が変わるだろうか、と久しぶりにがっつり持ち出してみることにした。

とりあえず結論から言うと、撮っていてめちゃくちゃ楽しかった。
LUMIX S5を使っていても、撮れる画の良さから来る満足感のようなものは感じていたが「カメラで撮る楽しさ」のようなものはあまり感じなかった。どこかしっくり来ない感じを常に頭の片隅に置いて撮っていた気がする。
ところが、X-Pro2は単純な画質だけで言えばS5にはどうしても劣るが、それを補って余るぐらいの楽しさと、そしてフジ独特の色やモノクロの表現がある事を再認識する。
楽しいと創意工夫が生まれるし、何より世界を見る目自体が変わったような気がする。大袈裟に言えば、世界がより素晴らしく思えて「写真にしたい」という気持ちがどんどんと湧き出てくる。

これにはやはり、X-Pro2がOVFでの撮影が可能だからという事が大きく起因していると思う。
一般的なミラーレスカメラと違いX-Proシリーズは「エレクトリックレンジファインダー」というファインダーを持ち、名前の通りレンジファインダーカメラのようにガラス素通しで世界を見ながら写真を撮ることが出来る。ファインダーにはリアルの世界に画角に応じたフレームが浮かび上がる。
まさに「世界を切り取る」ような体験が出来る素晴らしいファインダー。

このファインダーの特徴は、撮った写真がどうなっているかがわからない事だ。フレームはあっても厳密なものではないし、ボケの具合などもわからない。だが、それによって後の楽しみが増えて「どんどん撮りたい」と思えるし、何よりも余計な事を考えずに「目の前の景色を切り取る」という行為に集中出来るのが良い。

EVFを否定はしないしX-ProでもEVFを使う時は勿論あるのだが、それでも私にとってOVFで撮るのが一番しっくり来るのだな、と改めて思わされた。
ピントや構図が多少アバウトでもいいから、それよりもシャッターチャンスを優先する。世界を見る事を優先する。写真を始めた当初大事にしていた感覚を思い出す事が出来た。


天気も良く、人々が平和に過ごす姿をブライトフレームで切り取っていく。


写真家、萩庭桂太氏は1日の終わりに「今日はどんな写真を撮ったか」ではなく「今日僕はどこで何を見たのか」と回想をするという。

私は今日、こんな美しい夕陽を見る事が出来た。
写真に撮れた事も嬉しいが、私が今そう思えるのはX-Pro2のフィンダー越しにこの景色を直に見ていたからだろう。
これからはまた気持ちを新たに世界を見ていきたい。

やはりフジフイルムの色って素晴らしい!

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