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空腹と夕暮れ

ここ最近、どうも疲れが溜まりがちになってしまっている。
ありがたい事に忙しくさせてもらっているのもあるが、問題はリフレッシュが上手く出来ていない事。せっかくの休みの日でも、身体や頭が重たくて何もやる気が出ない。結局家から出ずに、何かしたのかしてないのか、そんな日がたまにある。

この間もそんな感じで、朝すっきり起きられず写真の整理や現像をしたりライブに向けて譜面を作ったりする予定も捗らず、ぼーっとしていたら夕方近くになってしまっていた。こうなってしまうと自己嫌悪もあり精神的にきついものがある。

だがこの日はここからいつもと少し違い、夕方から元気を取り戻すことができた。特別何かをした訳ではなく、簡単だがとても効果のあるものだった。

それは、料理をする事と、夕陽を見る事。
たったこれだけで鬱々とした気持ちがかなり楽になった。

料理は元々する方なのだが、疲れていたり時間がなかったりを理由にここ最近は極簡単なものしか作っていなかった。だが、この日は「久しぶりに何かちゃんと作ろうかな」と急に思い立った。買い物をしながら「料理をする元気なんてあるのか?」と思っていたが、いざやり出すと疲れなど忘れて楽しく料理をする自分がいた。
ちゃんと料理をすれば「美味しく出来た」とか「早く食べたいな」とかいろいろな気持ちが生まれる。食事というのは摂れば良いという訳ではなく、ちゃんと料理してその過程も楽しんだ方が人生楽しいな、と疲れた心にしみる。

そして、そうして料理をしていると食材を煮込む時間が暇になった。
洗い物なども済んでるし他の下ごしらえも済んでるし、どうしようかなと思ってふと窓の外を見ると空が青からオレンジに綺麗なグラデーションを描いているのが見える。
「よし、ちょっと散歩しよう」
とカメラを手に外に出る。
日中は「カメラ持って外出ようかな〜でも気分が乗らないな〜」と散々悩んで結局家から出なかったのに、この時は思い立ってからものの5分ぐらいで外に出ていた。

外に出て、やはり正解だと思った。
夕陽はとても美しく街を照らし、辺りには夕方の空気が流れている。
道行く人は家路を急ぎ、どこかの家から晩ご飯の匂いが漂ってくる、という昔から変わらない空気。
それが何とも心地いい。

そんな光景を見ながら何とも穏やかな気持ちで外を歩く。
こうなると写真も撮りたくなってくる。
沢山撮った訳ではないが、気に入った写真が撮れた。
きっと昼間歩いても同じようにはなれなかっただろう。
写真は自分の目の前の光景と同時に、自分の中身も写している。
心がつまらない時には何を見てもつまらない。
心がつまらない時には良い写真は撮れない。

出雲で出会った地元の方が言っていた「この夕陽が見れて毎日が幸せ」という言葉を思い出す。
簡単なことでも幸せだと自分で思う事が出来るのは、とても素晴らしい事だ。

近所を少し歩き、家に帰る。
あとは料理の仕上げをして、食べるだけ。
なんて幸せな1日。

人間ただ生きるだけだったらそんなに難しくないはずなのに、なかなかどうして心も身体も健康に生きるのは難しい。
だがこの日出来上がった料理を食べながら、生きる上で必要なことを「丁寧に」行うのが健康への近道になるのかな?と思った。便利になりすぎていろいろな誘惑が多すぎて、この丁寧さがなくなってしまっていたのだな〜私は、と。

疲れてしまったりするのは仕方がない。だからそんな時こそ生きる事を丁寧に行って、幸せだと感じられる心を呼び起こす。
この日の感覚を忘れずに、疲れても大丈夫なように生きよう。



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