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娯楽映画研究所ダイアリー 2022年8月22日(月)〜8月28日(日)

8月22日(月)”What’s up,Tiger Lily?”(1966年・AIP・ウディ・アレン)

9月16日(金)すみだトリフォーニー小ホール「映画と音楽、そして対話 エピソードゼロ」で芸術監督・ナビゲーターを務めます。林正樹さん、西陽子さん、山田岳さんの素晴らしい演奏で「映画と音楽」をご一緒に! チケットはこちらからご購入できます。

9月29日(木)19時「佐藤利明&タブレット純の熱烈歌謡曲」講座(NHK文化センター青山)を開催!「西城秀樹さんとその時代、アーティストとしての魅力」を熱く語ります。お申し込みはリンクから!タブ純とは久々のコンビなので、僕も楽しみです!是非!

11月のトーク依頼や、12月のディナーショーへのゲストオファーがちらほら。暑い、暑いと言ってるうちに、ここからが速い。あっという間に…だよなぁ^_^

連夜の国際秘密警察シリーズ。今宵はウディ・アレン“WHAT'S UP TIGER LILY"(1966年・AIP)を米盤DVDから。第3作『火薬の樽』と第4作『鍵の鍵』を再編集。ウディ・アレンが大胆に吹き替え台本を書いたパロディなのだけど、基本ストーリーは同じ。TOPシーンは、佐藤允さんと三橋達也さんの『火薬の樽』名コンビ!

水野久美さんも、星由里子さんも出てきて、怪しげなワールド電器も!で、ウディ・アレンが登場して解説を。タイトルバックは若林映子さんのセクシーショット!

北見次郎は、日本人によく似たユダヤ人・フィル・モスコウィッツ!浜美枝さんはテリ・ヤキ、若林映子さんは妹でスキ!なのでスキ・ヤキ!

狙う獲物は、一千万ドルではなく、世界一のエッグサラダのレシピ!黒部進さん英語がうまい^_^しかもジェームズ・キャグニー、WCフィールズのモノマネまで!(吹き替えマジック!)

あらためて観ると面白いのなんの!これがウディ・アレンの監督デビュー作。坪島孝、谷口千吉監督作品を自由に改変。でも、三橋達也さんのカッコ良さは、そのままに!

しかもゴーゴークラブで、The Lovin' Spoonfulが演奏するシーンでは、安岡力也さんも裸でゴー!ゴー!

8月23日(火)『ロッキーVSドラゴ:ロッキーⅣ』(2021年・ワーナー・シルベスター・スタローン)・『人形佐七捕物帳 妖艶六死美人』(1956年・新東宝・中川信夫)・『鋼鉄の巨人 スーパージャイアンツ』(1957年・新東宝・石井輝男)・『續・鋼鉄の巨人 スーパージャイアンツ』(1957年・新東宝・石井輝男)

昨年、両国門天ホールの黒崎さんからオファーを受けて、一年半かけて準備をしてきました。ぼくの地元でもある「すみだトリフォニー小ホール」「映画と音楽」をテーマにした「演奏と対話」のステージを展開します。ピアニストの林正樹さん、箏奏者の西陽子さん、ギタリストの山田岳さん。それぞれ、最高のアーティストでプレイヤーの皆さんに、日本・ヨーロッパ・ハリウッドの音楽を奏でて頂き、ぼくがナビゲーターとして、映画と音楽の100年にわたる深い関わりを、楽しく、お話していきます。

なぜ、今回の「両国アートフェスティバル」のテーマが「映画と音楽、そして対話」なのか? 実は、墨田区には1913(大正2)年に日活向島撮影所が設立された「聖地」でもあるのです。つまり東京における映画発祥の地でもあります。というわけで、映画と縁の深い墨田区で、今回のアートフェスティバルを企画しました。

ぜひ、皆さん、いらしてください。
どうぞ、よろしくお願いします。

昨日、ようやく「加山雄三ラストショー」パンフレットが無事下版したので、日中は色々とのんびりデータ整理。1ヶ月のタイトなスケジュールでしたが、現段階でできうる限りのことはやりました。9月9日(金)東京国際フォーラムA、ライブビューイング開催のTOHOシネマズで一日限りの原点販売。

というわけで夕方散歩をかねて、兼ねてから楽しみにしていたシルベスター・スタローン自らが『ロッキーⅣ』(1986年・ワーナー)を再編集したリブート版『ロッキーVSドラゴ:ロッキーⅣ』(2021年・ワーナー・シルベスター・スタローン)をTOHOシネマズ錦糸町へ。1986年にオリジナルを観た時には、正直???な部分もあったのだけど、今回はロボットもハイテクトレーニングもバッサリ。その分、アポロとの友情、宿敵ドラゴの不気味さと殺人マシーンとしてパワフルさがクローズアップされて、スッキリして血湧き肉躍る作品になっていました。時代はぐるりと回って、ドルフ・ラングレンも、ブリジッド・ニールセンも、懐かしいし、サバイバーの「アイ・オブ・ザ・タイガー」にアドレナリンがドバッと(笑)

アポロの息子のシリーズ第二作『クリード 炎の宿敵』(2018年)を観たときに『ロッキーⅣ 炎の友情』がもっと良かったらなぁと思ったフラストレーションが解消しました!

渡辺宙明先生のキャリアを改めて検証しております。デビュー作『人形佐七捕物帳 妖艶六死美人』(56年)『鋼鉄の巨人』前後篇(57年)をスクリーン投影。そしたら昨夜から「人造人間キカイダー」(72年)の無料配信がスタート。一気に小学3年生にタイムスリップ!

8月24日(水)『国際秘密警察 絶体絶命』(1967年・東宝・谷口千吉)・『鋼鉄の巨人 怪星人の魔城』(1957年・新東宝・石井輝男)

今日は、来月出演のラジオの打合せ。何度か出ている番組ですがディレクター、作家さんとブレストはとても大事だと改めて実感。帰宅してシャワーで一息。これから、様々なテーマ・プロジェクトが同時進行なのでクールダウンしないと…フリーとしては一つ一つを丁寧に誠実に、そして何より「大冒険マーチ」の植木さんの「まず手始めに…」が大切でありますが…

『国際秘密警察 絶体絶命』(1967年・東宝・谷口千吉)をDVDからスクリーン投影。シリーズ最終作にして、僕は一番好きな作品。なんといっても”ハリウッドの魅力”ニック・アダムスさんが、2年ぶりに東宝映画出演。しかも吹き替えが矢島正明さん。というのも、この頃、フジテレビで放送されて空前のブームを巻き起こしていた「0011/ナポレオン・ソロ」でロバート・ヴォーンが演じていた主人公の吹替の人でもある。三橋達也さんとのやりとりはもちろんソロと相棒のイリヤ・クリヤキン(デヴィッド・マッカラム)を意識したもの。となると、当然ウェバリー課長(レオ・G・キャロル)のポジションの上司(007で言えばM)が欲しくなる。

というわけで、これまで一匹狼のエージェント(佐藤允さんの刑事の相棒がいる回もあったが)だったインターポールの北見次郎(三橋達也)に上司である日本支部長(北竜二)も登場。国際秘密警察の日本支部は、なんと拘置所の中に! 移動も護送車という念の入り様。そのオフィスのデザインが「ナポレオン・ソロ」のアンクルっぽくてイイ。

クライマックスは、奈良あった巨大なテーマパーク、松尾國三氏のドリーム観光経営の、夢の国「奈良ドリームランド」でロケーション。この遊園地1961年に開園、2006年に閉園となったが、アナハイムのディズニーランドを意識した大型遊園地。そこでのアクションが楽しい。またヒロインの水野久美さん(ニック・アダムスとは三度目の共演!)は、これまでのファムファタールではなく、ドジっ子のスパイ秘書希望の女の子で実は・・・という設定。その弾け方も楽しい。

今宵のスーパージャイアンツは第3作『鋼鉄の巨人 怪星人の魔城』(1957年・新東宝・石井輝男)。月の裏側の小惑星カピアから円盤で飛来した怪星人カピア。マスクの造形も恐ろしく、しかもダンサーが演じているので動きがカッコいい。音楽・渡辺宙明先生による「ギーの音」が人類を恐怖のどん底に落とし入れる。

8月25日(木)「レプリカントは芝居が出来ない?」通し稽古・『おっさんずブルース ワーク篇』(2020年・細野辰興)

本日は、細野辰興監督4年ぶりとなる笑毒劇「レプリカントは芝居が出来ない?」(9月2日から4日まで、シアター新宿スターフィールド)の通し稽古を拝見。

この芝居は、2018年2月に『創作ユニット【スタニスラフスキー探偵団】』主催で田山由起さんが一人三役を演じた同名舞台を、三人芝居としてバージョンアップ。つまり『ブレードランナー』でいえば『2049』でもある。

逢澤みちるさん、梅宮万紗子さん、優美早紀さん、それぞれタイプの違う役者さんが、細野メソッドでイキイキとぶつかり合って、さまざまな化学変化が、眼前に繰り広げられる。「演じること」「コミニュケーションすること」「生きていること」さまざま要素が、アップテンポのセリフの応酬のなかから見えてくる。

3人それぞれのキャラクターの「視点」で観ると、同じ物語が別な意味を持ち始める。重要なモチーフとなるのが39年前の金子正次主演『竜二』(1983年・川島透)と、20年前の、高橋克典主演、細野辰興監督『竜二Forever』(2002年)。メタ関係の二つの作品と、この「レプリカントは芝居が出来ない?」が重層的にリンクしてくる。演劇のなかの映画。細野辰興監督ならではのメタフィクションの世界でもある。

というわけで、来週、芝居に先駆けて『竜二』と『竜二Forever』を二本立上映されます。8月31日(水)には谷岡雅樹さん、9月1日(木)には佐藤利明が、細野辰興監督と上映後にトークショーに出演します。9月2日からの「レプリカントは芝居が出来ない?」と併せて映画を観ると、さらに世界が拡がると思います。

「レプリカントは芝居が出来ない?」上演詳細はこちらから

これから新宿K'sシネマで「おっさんずぶるーす」ワーク篇。今日は細野辰興監督デー。今日は、監督のお芝居の通し稽古を拝見して、これから映画、そしてトークショー拝見します。

8月26日(金)『鋼鉄の巨人 地球滅亡寸前』(1957年・新東宝・石井輝男)

午前中は台本、昼からは28日(日)阿佐ヶ谷ネオ書房「娯楽映画の昭和VOL.8」の編集。地図や昔のスナップを引っ張り出してきて時層探検。
昼食のとき、カミさんと「東京生まれ」の僕は「東京がふるさと」という感覚が希薄という話に。

でYouTubeで、幼き日を過ごした花畑団地の映像をいろいろ観て、忘我のひととき。竹ノ塚駅から花畑団地行きのバス乗車映像に、変わった風景、変わらぬ土地勘が働く。しかし、ギレルモ・デル・トロは『パシフィック・リム』(2013年・ワーナー)で竹ノ塚駅前を壊したんだよなぁ。などと思いつつ。

新聞社の知人と打ち合わせの後、銀座で暑気払い。久しぶりに色々とプロジェクトについて密談。形になるといいなぁ。

帰宅後は、ほろ酔い気分で『鋼鉄の巨人 地球滅亡寸前』(1957年・新東宝・石井輝男)。怪星人カピア篇の続編。ついに舞台は宇宙へ。この時代、まだテレビでもヒーローものはなく、宇宙を舞台にした邦画もなかった。ちょうど人工衛星ブーム到来による宇宙ブームを先取り。とにもかくにも怪星人カピアはコワイ(笑)

8月27日(土)『春の目ざめ』(1947年・東宝・成瀬巳喜男)

 成瀬巳喜男研究で、昭和22(1947)年、成瀬としては『四つの恋の物語』第2話(同年)に続いて撮った青春映画。地方の小都市を舞台に、戦後の自由な空気を謳歌する若者たちと、戦前からの古いモラルに縛られる大人たちの拮抗を描く。『青い山脈』(1949年・今井正)のプロトタイプともとれる。ちょうどこの作品が公開されたのは、石坂洋次郎が朝日新聞で「青い山脈」連載(1947年6月9日〜10月4日)終了1ヶ月後の1947年11月2日。なので設定や雰囲気はよく似ている。

ヒロインは、一見リベラルだが保守的な家庭で育った中学生・久美子(久我美子)。花柳界の母親(飯田蝶子)を持つ同級生・花恵(木匠くみ子)、そして京子(国井綾子)の仲良し三人が、思春期の身体の悩み、異性への目覚めなどと向き合いながらの日々を明朗に描いている。彼女たちは、花恵の兄で高校生の国男(近藤宏!)、久美子の幼馴染で医者の息子の浩司(杉浩之)、そしてバンカラの伸吉(星野和正)たちとグループ交際。一緒に出かけたハイキングで撮った、久美子と浩司の2ショット写真が、学校の先生にバレて大問題となったり・・・

身体検査のシーンで、計測する生徒役で杉葉子さんがワンシーン出演。これまた予見の作品である。クライマックスは、久美子がなんとキスをしてしまい思い悩む。同級生の妊娠など、八住利雄さんと成瀬巳喜男監督によるシナリオは、『青い山脈』よりもセンセーショナルな内容(ってほどじゃないけど)。

8月28日(日)阿佐ヶ谷ネオ書房「佐藤利明の娯楽映画研究所SP  娯楽映画の昭和VOL.8 東京ド真ん中!」・『続スーパージャイアンツ 人工衛星と人類の破滅』(1957年・新東宝・石井輝男)

阿佐ヶ谷ネオ書房「佐藤利明の娯楽映画研究所SP  娯楽映画の昭和VOL.8 東京ド真ん中!」満員御礼!ありがとうございました。
開演5分前には全員来場頂き、予定より早くスタート。
「娯楽映画研究家のルーツ 花畑団地」「東京漫遊1929」「東京漫遊1956」「OSS117の東京」「田能久の変遷」「国際秘密警察の東京」「夢の国 奈良ドリームランド」「日本特撮アジアへ」「ニセ座頭市海を渡る」などのテーマで、17時30分までお話しをしました。さまざまな切り口で映画「時層探検」を展開しつつ、このイベントは次のフェーズへ。来月は9月25日(日)開催決定!

今宵の鋼鉄の巨人は、『続スーパージャイアンツ 人工衛星と人類の破滅』(1957年・新東宝・石井輝男)。これも人工衛星ブームを反映しての宇宙編。宇宙ステーション=人工衛星を宇宙に建造して、地球を攻撃して世界征服を目論む秘密結社「黒い衛星」(後編で明らかになる)は、宇宙ステーションから怪電波を発射して、各地の天文台のレンズを破壊、山中博士(林寛)が開発中の宇宙艇に必要な装置「U2デカトロン」が溶けてしまった。とここまではSFなのだけど、その「U2デカトロン」「買ってきます」と山中博士の娘・かおる(三ツ矢歌子)と息子・良一(池田輝久)が、電機メーカーのサービス窓口へ。

えー!電気メーカーで買えるの? というわけで極東精密電気では、怪しい男が一足先に「U2デカトロン」を買い占めて在庫切れ。これでは宇宙艇開発がストップしてしまう。それが秘密結社の狙いで「黒い衛星」は、二人を誘拐して、博士を脅迫。一方、スーパージャイアンツ(宇津井健)は国会議事堂に現れて、秘密結社がすでに宇宙ステーションを完成させ、ソ連の人工衛星よりも先んじていたこと、彼らが宇宙から地球への侵略作戦を展開しているとを明らかにする・・・ 

本作の音楽は、真部理一郎さん。「黒い衛星」の元帥に、新東宝でお馴染みのジャック・アルテンバイ、その一員にエンベル・アルテンバイの「アルテンバイ兄弟」が演じている。


よろしければ、娯楽映画研究への支援、是非ともよろしくお願いします。これからも娯楽映画の素晴らしさを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。