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娯楽映画研究所ダイアリー 2022年4月25日(月)〜5月1日(日)

4月25日(月)『ダンシング・レディ』(1933年11月24日・MGM・ロバート・Z・レオナード)・『クレージーの怪盗ジバコ』(1967年10月28日・東宝・坪島孝)

『ダンシング・レディ』(1933年11月24日・MGM・ロバート・Z・レオナード)ハリウッド・ミュージカル史縦断研究。昭和8(1933)年のハリウッドはエポック・メイキングの年でもあった。RKO映画『キング・コング』が大ヒットして、世界中で連綿と作られていく巨大モンスターが大暴れする特撮スペクタクルの時代が幕開けをした。また同じ、RKOでは最強のダンス・チーム、フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのコンビが『空中レヴュー時代』(12月29日)で華々しく登場。ダンス・ミュージカル映画の革命を起こした。

深夜の娯楽映画研究所シアターは、東宝クレージー映画全30作(プラスアルファ)連続視聴。4月25日(月)は、昭和42(1967)年10月28日、シルバーウィーク番組として封切られた『クレージーの怪盗ジバコ』(坪島孝)をアマプラの東宝チャンネルからスクリーン投影。同時上映は、東宝ドリフ映画第1作『ドリフターズですよ!前進前進また前進』(和田嘉訓)だから、当時としては豪華版。クレージーと、売り出し中のドリフの映画二本立ては、「映画への夢」を抱き続けていた渡辺プロダクション社長・渡辺晋さんの戦略でもあった。

4月26日(火)『空中レヴュー時代』(1933年・RKO・ソートン・フリーランド)・『日本一の男の中の男』(1967年12月31日・東宝・古澤憲吾)

シネ・ミュージカル史縦断。フレッド・アステアとジンジャー・ロジャース、ハリウッド・ミュージカルのレジェンドが初めてチームを組んだ”Flying Down to Rio”『空中レヴュー時代』(1933年・RKO・ソートン・フリーランド)を久しぶりに、スクリーン投影。アマプラで配信中のジュネス企画版は、マスターがかなり綺麗、ターナーが21世紀に入ってリマスターしたバージョンと遜色ない(ってことにしておく)。

深夜の娯楽映画研究所シアターは、東宝クレージー映画全30作(プラスアルファ)連続視聴。4月26日(火)は、前作『日本一のゴリガン男』(1966年3月)以来、一年半ぶりとなる「日本一シリーズ」第5作『日本一の男の中の男』(1967年12月31日・東宝・古澤憲吾)をアマプラの東宝チャンネルでスクリーン投影。

脚本はこれまでのシリーズ全作を手がけてきた笠原良三さん。「東宝サラリーマン映画」のアンチとして、笠原さんの弟子・田波靖男さんが企画した「無責任社員」を植木等さんで映画化した『ニッポン無責任時代』(1962年)から5年。古澤憲吾監督&笠原良三脚本による「日本一シリーズ」は、一見”無責任男”の勢いとパワーを持っているが、実は「出世こそ男の本懐」と云うサラリーマン映画のテーゼをパワーアップしたものだった。

4月27日(水)『コンチネンタル』(1934年10月12日・RKO・マークサンドリッチ)

グッドニュースです!恩地日出夫監督、西村潔監督作品が東宝からDVDリリースです。

『コンチネンタル』(1934年10月12日・RKO・マークサンドリッチ)
ハリウッドのシネ・ミュージカル縦断研究。僕は、小学生の時に『ザッツ・エンターテインメント!』(1974年・MGM)を丸の内ピカデリーで70ミリ上映を体験して、シネ・ミュージカルの魅力の虜になった。なかでもフレッド・アステアを紹介するコーナーでは、MGMでの『ダンシング・レディ』(1933年)、『踊るニュウ・ヨーク』(1940年)でのエレノア・パウエルとの「ビギン・ザ・ビギン」『ジーグフェルド・フォーリーズ』(1946年)でのジーン・ケリーとのデュエット、そして『バンドワゴン』(1953年)でのシド・チャリースとの「暗闇に踊る」のナンバー! 全てに蕩然とした。

5月4日(水)みどりの日。文化放送「くにまる食堂」(11時〜13時)の「西城秀樹さん特集」に出演します。番組の青山ディレクターとは、6年前に秀樹さんの特番をやりたいね、と話していて、それがようやく実現します!

「西城秀樹 THE 50」DVD BOX収録TBS「セブンスターショー」をスクリーン投影。生放送パートのグルーブ感と、VTR部分での歌謡曲カバー。ヒデキの二つの顔。素晴らしくて心震える。井上陽水「おやすみ」の切なき優しさよ。阿久悠作詞「ジェームズ・ディーン組曲」。これは歌謡曲による映画音楽への挑戦。

ジェームズ・ディーンへの想いを「エデンの東」「理由なき反抗」「ジャイアンツ」のテーマに乗せて唄う。ある意味大胆なことだが、これが歌謡曲の本質。そして「東京キッド」のカバーの愉しさ! 西城秀樹という人のエンターティナーとしてのチカラに平伏す。で寺山修司作詞の浅川マキ「かもめ」にぼくらは、ここまで大胆な構成を考えつくだろうか?四十数年前のテレビのアヴァンギャルドさに感動‼︎

それを自分の世界として表現する西城秀樹という才能‼︎ これは凄い。さらに黒テントの佐藤信作詞の「インディアン」でアングラ世界に突入。この振幅をエンタメにしてしまうヒデキ。やっぱり凄い‼︎

4月28日(木)『我が人生最悪の時』(1994年・林海象)・『ロバータ』(1935年3月8日・RKO・ウイリアム・A・サイター)・『クレージーメキシコ大作戦』(1968年4月27日・東宝・坪島孝)

本日の国立映画アーカイブ「我が人生最悪の時」舞台挨拶に、鰐淵晴子さん、古賀俊輔プロデューサーと共に登壇して、林海象監督からのメッセージを代読させて頂きました。ニュープリントの美しさに惚れ惚れ。90年代の日活アクションがそこにありました!

ハリウッドのシネ・ミュージカル史縦断研究。フレッド・アステア&ジンジャー・ロジャースコンビの第3作となるエレガントな傑作Roberta『ロバータ』(1935年3月8日・RKO・ウイリアム・A・サイター)をAmazonプライムビデオの字幕版でスクリーン投影。僕が20代の頃、ようやくRKOのアステア&ロジャース映画がビデオ化され、スクリーンでのリバイバル上映もされた。しかし日米ともに続々とリリースされるミュージカルのビデオの中に、この『ロバータ』だけはラインナップされずに「観たい!」という気持ちが募る一方だった。アメリカ在住の友人に、ケーブルでテレビ放映されたのをβ(ベータマックス)のビデオに録画してもらってようやく観ることができた。ビデオ化が遅れたのは、MGMが1952年に”Lovely to Look At”としてキャサリン・グレイスン、レッド・スケルトン、ハワード・キールでリメイク。映画の権利がMGMに移行していたため。なので、のちにMGMの権利を持っていたターナー・エンターテインメントからソフトパッケージ化された。

深夜の娯楽映画研究所シアター。東宝クレージー映画30本(プラスα)連続視聴。4月28日(木)と29日(金)は、二夜連続で、世紀の超大作『クレージーメキシコ大作戦』(1968年4月27日・東宝・坪島孝)を堪能した。前年、上映時間二時間三十七分、プログラムピクチャーのコメディとしては、初めての一本立て興行(短編映画を併映)を実現した『クレージー黄金作戦』(坪島孝)の大ヒットを受けてのこと。

この年は、あの東京五輪から四年後、メキシコ・オリンピックが10月に開催されることになり、日本でもメキシコブーム、南米ブームに沸いていた。テレビでも「少年サンデー」に連載されていた川崎のぼるのレスリング漫画「アニマル1」も4月1日からフジテレビ系でスタート。「目指せメキシコオリンピック」ムードが高まっていた。というわけで、今回のロケ地は、サンフランシスコ〜メキシコシティ〜アカプルコと豪華版。

4月29日(金)『長篇怪獣映画 ウルトラマン』(1967年・東宝・円谷一)

西城秀樹さん「ターンAターン」(作詞:井荻麟 作曲:小林亜星)を音量最大にして再生。亜星さんの曲は、実は唄うのにはものすごく難しいのだけど、ヒデキさんは実にカッコよく歌っている。スーツを着こなすように歌いこなす。アニメの主題歌としても歌謡曲としても満点! 

久しぶりに『長篇怪獣映画 ウルトラマン』(1967年・東宝・円谷一)をスクリーン投影。予告のテロップに感激。阿佐ヶ谷地区区民センターでの古谷敏さんトークライブに、出演させて頂きます。

僕は、2014年から二年間、文化放送の「夕暮れの阿久悠」で、西城秀樹さんと阿久悠さんコンビの名曲の魅力の数々を紹介してきました。実は5/4の「くにまる食堂」は、その頃からディレクターとヒデキさん特番をやろうと語り合ってきたことが、6年越しの実現となります。万感の想いです。

ビートルズを語るように、フランク・ザッパを語るように、ザ・スパークスを発見するように、西城秀樹さんの音楽人生を、遅れてきた世代にも体感して欲しい。大先輩の佐藤剛さんがライフワークとして取り組んでいますがまさに語り尽くせぬ”THE MUSIC MAN”。音楽は「聴きけばわかる!」のが素晴らしい!

4月30日(土)「本物がここにいる!古谷敏トークショー」

今夜の古谷敏さんトークライブに備えて、久しぶりに書架から「ウルトラマンになった男」を出してきて読んでいます。敏さんとのトークはこれまでも何度かありますが、いつも新鮮です。ご参加の皆さま、宜しくお願いします。

「本物がここにいる!古谷敏トークショー」。古谷敏さんの生い立ち、映画少年時代の体験、想いが、ウルトラマンに結実したこと。敏さんの魅力の原点に触れることができました。ご参加の皆様、本当にありがとうございました‼︎

古谷敏さんトークライブから帰宅。西城秀樹さんのTBSのDVDをヘッドホンで爆音再生。「8時だョ!全員集合」での歌唱シーンPart2。「ヤングマン」が、時代を牽引していたことがよくわかる。ヒデキさんの洋楽志向が、多分に大衆的とはいえ、このシングルに結実してビッグヒットに。

僕はその次作「ホップ・ステップ・ジャンプ」のクオリティに最大の賛辞を送りたい。洋楽の影響を受けてきた日本の歌謡曲が、和製ポップスの極限を超えた。「ヤングマン」超えをしていると思う。ヒデキさんの表現力、パフォーマンスが色んな常識を超越しているから…

5月1日(日)『トップハット』(1935年・RKO・マーク・サンドリッチ)・『日本一の裏切り男』(1968年11月2日・東宝・須川栄三)

今宵は、フレッド・アステア『トップハット』(1935年・RKO・マーク・サンドリッチ)、植木等『日本一の裏切り男』(1968年11月2日・東宝・須川栄三)を観て、「西城秀樹 THE 50」DISC3「ザ・ベストテン」の「ブルースカイブルー」三連発に胸が熱くなる。

深夜の娯楽映画研究所シアター。東宝クレージー映画全30作(プラスα)連続視聴。植木等さんの「日本一」シリーズ第6作『日本一の裏切り男』(1968年11月2日・東宝・須川栄三)は、早坂暁&佐々木守さん脚本。ラディカルな裏切りの戦後史‼ これは面白い‼️ 大胆なリニューアルを試みた『日本一の裏切り男』を、アマプラの東宝チャンネルでスクリーン投影。演出の須川栄三監督は、ハードボイルドの傑作『野獣死すべし』(1959年)や松本清張原作のミステリー『けもの道』(1964年)などの作品を手掛けてきた。


よろしければ、娯楽映画研究への支援、是非ともよろしくお願いします。これからも娯楽映画の素晴らしさを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。