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『渚を駈ける女』(1964年9月12日・松竹大船・酒井欣也)

ラピュタ阿佐ヶ谷「蔵出し!松竹レアもの祭」で、今特集、最大のレア作品。酒井欣也監督『渚を駈ける女』(1964年9月12日・松竹大船)をピカピカのプリントで。武智鉄二監督『白日夢』(1964年)でセンセーションを巻き起こした路加奈子さん、松竹入社第一回作品として、斎藤寅次郎監督の御子息・斎藤次男さんがプロデュース。

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高峰三枝子さん、佐野周二さん、吉田輝雄さん、川津祐介さんの豪華キャストによる、ピンク映画前夜の愛欲メロドラマ。音楽は伊福部昭先生。トップシーン、ウエディングドレスの路加奈子さんが、渚を駈けてゆく。まさにタイトル通りのヴィジュアルで、伊福部昭サウンドに圧倒される。

高校三年生の冴子(路加奈子)は、戦死した父・山内明さんを知らずに育った。母・高峰三枝子とは大の仲良しだったが、船乗りの恋人・吉田輝雄さんと母の情事を目撃、ショックを受けるが、母の幸福を考えて、二人の仲をとり持とうとする。ところが、吉田輝雄さんは冴子のことが諦められずに、関係を結んでしまう。

ショッキングな展開はまだまだ続いて、ヒロインの生々流転と、望まない男性遍歴を重ねてゆく。亡父の親友・佐野周二さんの甥・川津祐介さんに、酒に睡眠薬を入れられ、襲われたり… ベテラン俳優陣と、重厚な伊福部サウンド、厚田雄春さんのキャメラで、松竹ある映画的にはある意味センセーショナルな物語が繰り広げられる。

まさか高峰さんが!? 川津祐介さん相変わらずワル! 佐野周二さんもよろめくのか? 吉田輝雄さん無自覚過ぎ! オールスターそれぞれが路加奈子さんと関わったことで、あー!えー!そうなん? と遅れてきた世代の観客に衝撃を与える、ある意味”大船調"ハプニング映画。

これぞレアもの!

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