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『エクソシスト2』(1977年・ワーナー・ジョン・ブアマン)

「エクソシスト」サーガ研究(笑)1977年、第1作から四年後に作られた『エクソシスト2』(ジョン・ブアマン)を二十年ぶりに、U-NEXTから投影。

チラシ

音楽はエンニオ・モリコーネだったんだ!と今更ながらに大喜び。この映画を観たのは中学二年の夏休み「7月16日!」とチラシに大々と公開日が踊っていて、僕は丸の内ピカデリーの地下、丸の内松竹で「怖いもの見たさ」で観に行った。この「7月16日!」は、前作が1973年「7月13日!」公開だったので、チラシのヴィジュアルも前作に寄せている。チラシ蒐集が趣味の少年にとって、これはファイリングすると嬉しい、楽しいデザインでありました(笑)

第1作を観たのは小学四年だから、リーガン(リンダ・ブレア)もオレも少し大人になっていた。なので、16歳になったリーガンの発育の良さが、14歳の男の子には刺激的で、本当にドキドキした。特に屋上のシーンのスケスケのネグリジェが眩しかった(笑)

さて、今回の舞台はニューヨーク。リーガンはジョージタウンの惨劇を全く忘れているようで、ブロードウェイのダンサーを目指してミュージカルのレッスンを受けている。しかし、その屈託のなさは、表面的なもので、リーガンのトラウマを解消すべく、精神科医ジーン・タスキン博士(ルイーズ・フレッチャー)が化学療法を試みている。

そこへローマ教会の上司(ポール・ヘンリード!)から「メリン神父の死の真相を調査してほしい」との命を受けるのが、リチャード・バートンのフィリップ・ラモント神父。で、冒頭でラモント神父が、悪魔祓いに失敗しているシーンが描かれていて、そのトラウマを、悪魔がどうつけ込むか?みたいな観客の期待を高める。

化学療法といいながら、SF的なメカである催眠装置を、タスキン博士が発明していて、それを使ってリーガンの中にまだパズズが潜んでいることが明かになる。リチャード・バートンが大真面目なので、このコントの小道具のような催眠装置にリアリティが生まれる。役者はすごいなぁ。

で、リーガンの深層心理と記憶を手繰っていくと、メリン神父(マックス・フォンシドー)が若い頃、アフリカで悪魔に取り憑かれた少年コクモの悪魔祓いをしたことがわかる。リーガンの中の悪魔の羽根に触れた(イメージ)ラモント神父は、悪いイナゴ=悪魔の羽根に触れて、そのマジカルな力で、真実に近づいていく。

リーガンを助けるためには、成人したコクモ(ジェームズ・アール・ジョーンズ)に会う必要がある。と、行動派のラモント神父は、ローマ教会の反対を受けながらもアフリカへ。

中学二年のぼくは、ここからのシークエンスが面白かった。ニューヨークからアフリカへ。しかもロケーションではなく、ほとんどがセットで作られた「ハリウッド映画の虚構」が楽しめる。照明も美術もいいのですよ。

で、前作のヒロインでもあったリーガンのお母さん、ハリウッド女優のクリス・マクニール(エレン・バーンスティン)は、仕事でロサンゼルスなので、今回は不在。代わりに、前作で彼女の秘書をして「ジョージタウン事件」を体験したシャロン・スペンサー(キティ・ウィン)が、リーガンの面倒を見ている。

という前作のつながりがあり、ラモント神父は、アフリカでコクモから「害虫であるイナゴには、悪いイナゴと良いイナゴがある」とことの本質を聞いてニューヨークへ。だけど、すでにパズズはラモント神父をコントロールし始めていて・・・

クライマックスは、ワシントンのジョージタウンの「あの屋敷」が舞台となり、そこからは「悪魔祓い」というより、超重量級のアクション映画となる。いつも腑に落ちないのが、リーガンとラモントが、あの忌まわしい部屋に入るとベッドに、もう一人のリーガン=パズズがいること。このリーガンは実態があるのか? 誰かを憑座にしていないのか?初見の時から疑問でありました。昨夜も、それが払拭できず(笑)

ここからは「ローマ儀典書」「聖水」など使う「エクソシズム」ではなく、リチャード・バートンVS悪魔のアクションバトル。しかも、壮大な屋台崩しがあって、ここは、相変わらず面白かった。

チャールストン・ヘストンの『大地震』でも、こんな建物倒壊は見られなかった! ここはアナログ特撮、美術スタッフの勝利でありますなぁ。

モリコーネの音楽もリーガンのテーマは、いつものモリコーネらしい美しい旋律だけど、随所に現代音楽的なエッセンスがあり、実験的な音楽が新たな恐怖の創造になっている。

というわけで、前作とは全然ベクトルが違う、1970年代らしいケレン味たっぷりの超重量アクションを改めて堪能しました。


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