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娯楽映画研究家「ブギウギ」日記 PART2

第11週 ワテより十も下や 12月11日 - 12月15日


2023年12月11日 - 12月15日

ワテより十も下や #1 

今週は足立紳脚本。あれから一年半、1943(昭和18)年6月5日、山本五十六の国葬から始まる。戦局はますます悪化、国民は耐乏生活を強いられていた。隣組による防火訓練。下宿のおばさんチズ〔ふせえり)の「皇軍は無敵なのに元帥死んじゃって大丈夫か?」のセリフに庶民の本音がチラリと。

「福来スズ子とその楽団」は、羽鳥善一が書き下ろしてくれた南方歌謡「アイレ可愛や」と共に地方巡業。今日は愛知での興行となる。「アイレ可愛や」がレコード発売されるのは戦後、1946(昭和21)年になってからのこと。この曲については近日アップの通販生活「オトナの歌謡曲」で「大空の弟」共に詳説しています。


今日は1943年6月の愛知県のお話。史実では、笠置シヅ子が6月28日の昼に名古屋で運命の人・穎右 (えいすけ)と出会った日である。名古屋・太陽館に出演していたシヅ子が、御園座に辰巳柳太郎に挨拶しに行った時に、吉本興業の御曹司・穎右と出会う。「ジェームズ・スチュアートのような近代感に溢れていました」と自伝で書いている。

#ブギウギ」世界線では、興行主からスズ子の楽屋に連れてこられた大ファン、という形で村山愛助(水上恒司)が登場。その夜、旅館でマネージャー修行中の小夜(富田望生)が有金を失くして大騒動の時に、泥棒の濡れ衣を着せれて…という喜劇の定石なのがおかしい。

史実でも楽屋でちらっと見かけて、その夜、旅館で再会だったので、それをこうして脚色。これも「#ブギウギ」マルチバース!それに、楽団のマネージャー、五木ひろき(村上新悟)の調子の良さ、挙動不信がいよいよ(笑)史実では、淡谷のり子さんの紹介でマネージメントをしていた中島信という人が、この楽団を他の興業社に○○してしまうのだから、気をつけないと…

というわけで、今週は笠置シヅ子の「戦時下のロマンス」が「アイレ可愛や」と共に展開していく。しかもスズ子は十歳(実際は九歳)年下の愛助に、弟・六郎を重ねて恋に落ちていくようで、これもうまい脚色だなぁ。拙著「笠置シヅ子ブギウギ伝説」では、第三章23「戦時下のロマンス」にあたる部分。

というわけで、今週12月16日(土)は島根県松江市で、浜田真理子さんプロデュース「真理子の部屋VOL.1」で「笠置シヅ子ブギウギ伝説」刊行記念トーク&ライブが開催されます。松江の皆様、よろしくお願いします!

ワテより十も下や #2 

笠置シヅ子にとって最愛の人・吉本穎右 との出会いをドラマに脚色して展開する今週は「戦時下のロマンス」エピソード。名古屋で出会い旅館で再び会って、神戸へ向かう汽車に乗るときに、荷物を運んでもらい、二人の仲が始まった。

それを足立紳脚本は「#ブギウギ」世界線のなかで、スズ子と愛助(水上恒司)との「もう一つの出会い」として描く。二人の関係は、同じ方向に進んでいくのだけど、一味も二味も違う。まさにブギウギ・マルチバース(笑)吉本興業には「エンタツ・アチャコ」「柳家金語楼」がいて、村山興業では「エントツ・アツシ」「柳家金太郎」が大人気(笑)

宿屋で愛助に「食べなさい」と食事を勧める世話焼きのおばちゃんモードのスズ子。だんだん笠置シヅ子さんの「大阪のおばちゃん」キャラになってきている。長年のファンである愛助がスズ子の魅力を語るのがいい。スズ子の歌、パフォーマンスを褒めて「こんなおもろい生き物…」と、僕たちが笠置シヅ子に感じるパワー、インパクトを思わず語る。

ここで初めてファンがどう捉えているのかの目線が語られる。これもいいなぁ。相変わらず、小夜(富田望生)は騒々しく事態を掻き回すし、マネージャー・五木ひろき(村上新悟)はいいかげん。あの五円だって五木がクスねたのかと、史実を知っていると疑ってしまう。(楽団、売り飛ばすなよ!)そのミスリードも脚色の魅力。

そして岡山へ疎開していくお腹を空かせた少女にお芋をあげる愛助の優しさ。スズ子は彼女のために「ふるさと」を歌う。明日「福来スズ子傑作集」発売日というのに、自分のレパートリーではなく「ふるさと」というのもいい。しみじみワンコーラス歌ったところで、一井(蔭山泰)がトランペットで追いかけてくる。もう一つの「ラッパと娘」である。

#ブギウギ」がいいのは、音楽伝記ドラマであることを作り手が意識していて、ここぞというドラマの盛り上がりを歌で描いていくこと。それに徹している。今日も、愛助の少女への優しさ、スズ子の少女への優しさを「ふるさと」に集約させて、二人の心が、これから通い合っていくことを視聴者に感じさせてくれる。

というわけで、今週も面白いなぁ。今週12月16日(土)は島根県松江市で、浜田真理子さんプロデュース「真理子の部屋VOL.1」で「笠置シヅ子ブギウギ伝説」刊行記念トーク&ライブが開催されます。松江の皆様、よろしくお願いします!


ワテより十も下や #3

戦時下のロマンス編。1948(昭和18)年は本格的にジャズが禁止されたり、物資不足で国民は耐乏生活を強いられていたが「#ブギウギ」世界線では、スズ子が久々に大阪へ。「はな湯」の人々との再会。彼らのその後にホッとしたり、これぞホームドラマのブレイク・タイム(笑)

梅丸歌劇団でも、懐かしの白川幸子、桜庭辰美、秋山美月と再会。敵性舞踊のラインダンスは禁止、衣装も稽古着みたいだと戦時下の苦労話。それでも仲間たちとの楽しいひととき。時局は変われども「#ブギウギ」メンバーはブレない。悲壮感がないのがいい。

そして東京の下宿へ戻ると、村山愛助からのファンレター(ほとんどラブレター)の山が届いていて、トラブルメーカーの小夜ちゃんは「男は色と欲の生き物」と警戒心をあらわにする。その極端な感じがおかしい。小夜ちゃん、ほんと極端なキャラ(笑)

愛助は、はな湯へも訪ねていて、賑やかな近所の人たちに「世の中の憂さを束の間忘れることができた」「なるほどこの銭湯が福来さんの原点なのだ」と。愛助のスズ子への想いは募るばかり。スズ子の夢に愛助が現れるのも喜劇の定石。夢から醒めると本当に愛助が訪ねてきて…

スズ子は「十歳も年下だから」と気持ちをセーブしているが、愛助のアタックに・・・という。まさに「戦時下のロマンス」は着々と。明日は愛助が自慢の蓄音機を聴かせるシーンがあるのだが、彼のレコードコレクションが気になる(笑)スズ子のばかりだろうけど…

そうそう、本日発売の「週刊文春CINEMA」で「笠置シヅ子映画ベスト5」をセレクト。その解説、魅力について1ページですが書いております。

というわけで、今週も面白いなぁ。今週12月16日(土)は島根県松江市で、浜田真理子さんプロデュース「真理子の部屋VOL.1」で「笠置シヅ子ブギウギ伝説」刊行記念トーク&ライブが開催されます。松江の皆様、よろしくお願いします!

ワテより十も下や #4

戦時下のロマンス篇。村山興業の御曹司・愛助の下宿(というより高級住宅の一室)は、レコードマニアの部屋。小道具も作り込んでいて楽しい。「蓄音機を聴きましょう」という誘い、僕らの世代では「レコード聞かない?」と女の子を招くあの手でもある。愛助は下心などなく「スズ子信望者」なので、ひたすら一人でスズ子の素晴らしさを讃えまくる(笑)

あの気持ち、わかるなぁ。自分も好きな女の子の前ではそうだったなぁと。部屋のポスターとかレコード袋。美術スタッフが本当にいろいろ作り込んでいる。そして雑誌「スタア」に掲載された双葉十三郎先生ならぬ双葉百三郎!「スウィングの女王」礼賛記事!を得意げに読み上げる愛助。

「下町的な親しみやすさと叙情味が、ナンバーによっては黒人アーティストのような哀愁にも変化して、その小柄な体躯、愛嬌のある要望も魅力になっている」と双葉十三郎先生は「スタア」の笠置シヅ子論で礼賛。

これは瀬川昌久先生の名著「ジャズで踊って」でも引用されていて、僕たちはSGDでの笠置シヅ子さんがいかに、当時のファンを魅了したかをイメージすることができる。拙著「笠置シヅ子ブギウギ伝説」でも第二章11「スウィングの女王」の項で引用させていただいた。

村山愛助の礼賛は、双葉先生や瀬川先生の体感した笠置シヅ子の素晴らしさでもある。敵性音楽の「聖者の行進」のレコードをかけながら愛助の部屋の断捨離をするスズ子。可愛いねぇ。その表情、やっぱりお母様の蘭ちゃんにソックリ。と思うキャンディーズ脳も発動(笑)

伝蔵でおでんを食べてカルチャーショックの愛助。どこまでボンボンなんだ(笑)ここでのスズ子との会話がいい。戦争が終わったら「おもろい人を集めて日本中の人々を笑かしたい」「世界中の人を笑かしたら、どんな世の中にある?」「最高ちゃう?」

これこれ、これですよ。どんな世の中になろうとエンターテインメントのチカラが人を幸せにする。だから、今「#ブギウギ」を見ていて、みんな楽しく幸せな気持ちになっているんだよなぁと。

しかし村山興業・東京支社長の坂口(黒田有)は、そんな二人の交際を苦々しく思って苦言を呈する。「うちのボンをたぶらかすのはやめてほしい」「いっときの火遊びはやめてほしい」と釘を刺される。しかし愛助は「十も離れたら友達になれへんのですか?」ならば「僕と恋人になってください」と(笑)

やー、昭和18(1943)年を描いているのに、この多幸感、幸福感は!これが、このドラマの良いところなのです。

というわけで、明後日12月16日(土)は島根県松江市で、浜田真理子さんプロデュース「真理子の部屋VOL.1」で「笠置シヅ子ブギウギ伝説」刊行記念トーク&ライブが開催されます。松江の皆様、よろしくお願いします!

ワテより十も下や #5

戦時下のロマンス篇。スズ子は愛助からの告白にうっとりしていた頃、1943(昭和18)年10月21日「学徒出陣壮行会」が雨の明治神宮外苑競技場(国立競技場)で行われた。太平洋戦争の局面悪化に伴い、兵力不足を補うため、文科系大学生や旧制専門学校生の徴兵猶予を停止し、軍へ動員した措置である。

多くの学生たちが戦地へ動員されるなか、学生の愛助は身体が弱いため免れていたが「果たしてそれでいいのか」と悩んでいたに違いない。そうしたなか、スズ子も愛助もお互いへの想いが募るばかり。恋愛経験が豊富な?小夜に、伝蔵の屋台でその胸のうちを相談するシーンがいい。

最初は弟のように思っていたけど、チャップリンのように世界中の人を笑わせたい、という夢を語る姿に惹かれた。「夢を語る男は信用できねえ」と小夜ちゃん(笑)でもスズ子は「学徒出陣の新聞を読んだ時に胸が詰まった」。

伝蔵もまた「あいつはいい眼をしている」若い時の自分そっくりだ、と二枚目のようなことを(笑)歳の差を気にするスズ子に「変な歌歌っているのに、つまんねえこと気にすんな」「大事なのはおめえの気持ちだろ」と伝蔵、恋愛の指南番に!「寅さん」みたいだ。

意を決してスズ子が愛助の家に行くと、村山興業東京支社長・坂口がこんこんと愛助に説教している。「ボンが色恋に浮かれている場合じゃありまへん」「たぶらかされているだけ」「あの女は野心家や」と言いたい放題。それを外で聞いていたスズ子がブチギレて・・・

昭和18年の戦時下を描いているのに、こうしたロマンスが展開される。いいなぁ、スズ子のときめき、愛助のストレートな気持ち。それが戦争という時代と対局に描かれていて「何が大事なのか」を見せてくれる。来週はいよいよ村山トミ=吉本せいの登場か?「わろてんか」世界線と「ブギウギ世界線」が交差することに…

さあ、今日は午後から松江に向かいます。明日。12月16日(土)は島根県松江市で浜田真理子さんと「真理子の部屋VOL.1・笠置シヅ子ブギウギ伝説」刊行記念トーク&ライブです。娯楽映画研究家がブギの女王を語り、浜田真理子さんがブギウギを歌う!楽しいステージです。是非是非!

第12週 あなたのスズ子 12月18日 - 12月22日

あなたのスズ子 #1

今週も戦時下のロマンス篇。1943(昭和18)年秋、学徒出陣で学生たちは次々と戦地へ。身体の弱い愛助(水上恒司)は「生きるんか死ぬんかわからない戦地に行く同級生に申し訳ない」気持ちで苦悩している。スズ子は1941(昭和16)年12月6日、仏印に移動する途中に戦死した弟・六郎のことを愛助に話す。

甲種合格して「一人前になった」と喜んで軍隊に入った六郎が「その戦争死んでもうたわ」「せやから、あんさんが戦地に行かれへんというのを聞いて、ごっつほっとしてます」。愛助と交際する決意をしたスズ子の表情がいい。

同時に、二人の愛の障壁となる「村山興業」の女帝・村山トミの影が暗雲のように…いよいよ「わろてんか」と「#ブギウギ」マルチバースがリンク。しかし東京支社長・坂口(黒田有)のコワさ、これぞ芸能界!という感じだよなぁ。この「戦時下のロマンス篇」がドラマとしての「#ブギウギ」の大きな山になっている。

吉本興業の御曹司と笠置シヅ子の歳の差「愛」は、史実の通りなのだが、そこでの二人の感情、それぞれの立場が、こうしてドラマのキモになっているのが面白い。ジャズを歌うことが禁じられ、自由な恋愛も禁じられ、時局はますます酷いことに。ついに伝蔵はおでん屋台を閉めることに。

今週もまた「ロミオとジュリエット」的な二人の愛の受難は続く。というわけで1月7日に、エノケン&笠置シヅ子&服部良一の「新春ブギウギ映画祭」が千葉市生涯学習センターで開催!1948年と1949年の音楽映画を上映。「エノケン・笠置のブギウギ時代」と題して佐藤利明がトークをします! 是非是非!

あなたのスズ子   #2

戦時下のロマンス篇。久しぶりの羽鳥善一宅での団欒。羽鳥善一は東宝映画、いや日宝映画の音楽で忙しい。ということは、この年『音楽大進軍』(渡辺邦男)で、「荒城の月ブギウギ」にトライするも上映前にカットされてしまった頃か。などと史実のタイムラインが脳内で重なる。

愛助が身体が弱くて、学徒出陣の同級生たちに申し訳ない気持ちでいることを聞いた羽鳥は「どこに劣等感を持つか、それはその人それぞれだから」。そうそう。その寛容さが軋轢やコンプレックスを和らげるのです。今まで思ったことを真っ直ぐに行動してきたスズ子は「待つつらさ」を話す。

村山興業東京支社、立派だなぁ。この頃は戦地慰問や芸人派遣、そして東宝との映画でかなり羽ぶりが良かった(吉本興業の話)。愛助が支社長・坂口に「母からの手紙」で自分の気持ちを決めたときっぱり。これも「劣等感について」の内容。

「あんたにはあんたのやり方でお国に奉公することができる」「劣等感を持つ必要などない」「果物でも人間でも上等なものは傷つきやすい」「私はあんたを上等に産んだ(ここ笑うところ)」という村山トミの手紙。

まだ村山トミ(小雪)は出てこないけど、この手紙だけで圧倒的な存在感。その手紙で愛助の心が決まる。坂口「あかん、社長に殺される」どれだけ怖いんだ? 今回も15分に凝縮された密度の濃いドラマ。「劣等感」を克服した愛助が地方巡業に出かけるスズ子を事務所に訪ねてくる。

そこで「僕はこの先、必ず福来さんに相応しい男になってみます」と交際を申し込み、頭を下げる。それに応えて、頭を下げるスズ子。プラトニックな二人の真剣な愛の告白。しかも楽団の目の前で! 戦後、服部良一が主題歌を手がけた「青い山脈」(1949年)の「愛の告白」シーンは、戦後の自由恋愛の象徴となるが、それに先駆けての「戦時下のロマンス」である。

やー、ストレートでいいなぁ。まるで「男はつらいよ」で寅さんが恋愛指南する、少し気後れがちな若者たちみたい。二人の真剣かつ純粋な気持ちに、散々うるさいことを言っていた小夜が「おれ、もう認める」とお墨付きを(笑)

スズ子の村山への気持ちを吐露するセリフもいいなぁ。まるで「さくらと博」みたいだなぁ。二人を祝福する「福来スズ子とその楽団」のファンファーレ演奏もいい。しかし五木ひろきだけは…(笑)

というわけで1月7日に、エノケン&笠置シヅ子&服部良一の「新春ブギウギ映画祭」が千葉市生涯学習センターで開催!1948年と1949年の音楽映画を上映。「エノケン・笠置のブギウギ時代」と題して佐藤利明がトークをします! 是非是非!

あなたのスズ子   #3

戦時下のロマンス篇。1944(昭和19)年3月、戦時下の非常措置令として東京や大阪の大劇場閉鎖措置が取られた。日劇や国際劇場、東京宝塚劇場は「風船爆弾」の工場となる。そうしたなか福来スズ子とその楽団は、地方巡業へ。

田舎の芝居小屋や公民館などでの巡業は、この時期盛んに行われていた。「アイレ可愛や」を歌うスズ子の化粧や服装が米英的と、臨検の警官がクレームをつけたり。ギャラの半金が食糧などで支払われたり。実際にあったこと。

それでも「皆さんの拍手が励みとなります。ワテの生きる糧となります。旅先から愛助に宛てた手紙「歌えることに大きな喜びを感じています。愛助さんがいてくれるからです。」とラブラブ。締めは「あなたのスズ子」。ああ、そういうことだったのか。

この手紙のやり取りのBGMは、1934(昭和9)年8月に発売の笠置シヅ子が大劇柿落とし公演「カイヱダムール」の主題歌として歌った「恋のステップ」のインスト。梅丸歌劇団でのステージが蘇る。作曲の服部ヘンリーはのちのレイモンド服部。

好事魔多し。楽団経営の苦しさを感じているマネージャー五木ひろきは、村山興業・坂口に尻尾を振って、二人を別れさせる事を条件に大金を受け取ってしまう。ああ、やっぱり。五木のモデルは、中島信という人で、淡谷のり子の紹介で楽団のマネージャーに。

で、金に困って地方巡業中に、笠置シヅ子とその楽団を売り払ってしまう。そこで彼女は単独歌手としてステージに立つことになるが、そのマネージメントを手伝ったのが吉本興業東京支社。といった史実に「#ブギウギ」世界線は近づいていくのか?

今日、巡業シーンでスズ子が歌った「アイレ可愛や」の成り立ちは、拙著「笠置シヅ子ブギウギ伝説」(興陽館)でも小説しております。また通販生活「オトナの歌謡曲」でも「大空の弟」と共にコラムに執筆しました。

https://www.cataloghouse.co.jp/yomimono/otonakayou/021/

さて2024年1月7日(日)。エノケン&笠置シヅ子&服部良一の「新春ブギウギ映画祭」が千葉市生涯学習センターで開催!1948年と1949年の音楽映画を上映。「エノケン・笠置のブギウギ時代」と題して佐藤利明がトークをします! 是非是非!

新春ブギウギ映画祭。チラシには「解説」とありますが「映画解説」という意味ではなく、いつものようなスタイルで、30分ほどかけて「エノケン・笠置シヅ子」のコラボレーションについて様々な資料を投影してトークライブを行います。昼夜内容も少し変えて!

あなたのスズ子 #4

戦時下のロマンス篇。1944(昭和19)年、地方巡業先でついにマネージャー五木ひろきがドロンしてしまう。ああ、やはり。しかしそこはドラマ。村上の事情、純情を描いている。松本の旅館で知り合った戦争未亡人ナツとその息子・三平のために金が入り用だったのか。軽薄なようでいて誠実。だけど背に腹は変えられない。

プライオリティーを仕事ではなくナツと三平に置いてしまったために、村山興業東京支社長・坂口から金を受け取ってしまっていたのか。それではスズ子も怒るに怒れない。

なんだか「男はつらいよ」の一挿話みたい。五木ひろきはひどい男だけど憎めない。ちゃんとお金も楽団に置いていくし。で史実では笠置シヅ子は楽団を解散、単独歌手としてステージに立つのだけど。おそらくは吉本興業がマネージメント協力をしていた筈。吉本頴右は学生だったけど、吉本の大番頭についてマネージャー修業をしていた。

それは恋人・笠置シヅ子のためでもあったろう。「#ブギウギ」ではその辺りをうまく描いている。そこで愛助の教育係(笑)山下達夫(近藤芳正)が登場。

福来スズ子とその楽団のマネージメントを引き受ける。しかし五木ひろきに続いて山下達夫とは!ネーミング、攻めてますなぁ(笑)愛助を幼い時から寄席に連れて行き時にはカフェーの手どきも(笑)

時代劇や昔の喜劇でお馴染みの典型的な「爺とボン」の関係というのもいい。実際、昭和19年に笠置シヅ子とその楽団が不本意な形で解散後、シヅ子は吉本興業の小屋や仕切りでステージに立っている。これも「爺とボン」のはからいか?と世界線がごっちゃに(笑)

最後にはラスボス的に、村山トミ(小雪)が登場。これで完全に「わろてんか」とリンク。ああ、ブギウギマルチバース!

2024年1月7日(日)エノケン&笠置シヅ子&服部良一の「新春ブギウギ映画祭」が千葉市生涯学習センターで開催!「エノケン・笠置のブギウギ時代」と題してトークをします!是非!


よろしければ、娯楽映画研究への支援、是非ともよろしくお願いします。これからも娯楽映画の素晴らしさを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。