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4月15日開講! NHK文化センター青山教室で「クレイジーキャッツの音楽史」と題して全4回の講座が始まります。


<講座名>
クレイジーキャッツの音楽史

 
<講師>
音楽評論家 佐藤利明

 
<内容>
1960年代のテレビ・映画を席巻した大スター「クレイジーキャッツ」、その植木等やハナ肇、谷啓といった7人のメンバーたちは、戦後の混乱期に起きた空前のジャズ・ブームに活躍した一流のミュージシャンでした。既存の音楽にとらわれないクレイジー音楽特有の自由さは、彼らの「ジャズマンの感覚」に裏打ちされたものでした。

この講座では、当時の音楽状況、作曲家の萩原哲晶や「8番目のクレイジー」ともいわれた青島幸男ら同時代の異才たち、戦前・戦後、高度経済成長期という時代背景、また後世の音楽家に与えた影響にも言及しながら、今なお唯一無二の輝きを放つクレイジー音楽の魅力を解き明かしていきます。
 

【各回のテーマ】

第1回(4/15)初心者のためのクレイジーキャッツ入門

1955(昭和30)年に結成され、テレビの黄金時代を、笑いと音楽で駆け抜けたクレイジーキャッツ。テレビ・バラエティのスタイルを作り、コメディ・グループとしても、テレビタレントとしても、後続たちに多大な影響を与えました。彼らが作った「スタイル」について。クレイジーキャッツが戦後のエンタテインメントの「核」を作り、その遺伝子は1980年代の「タモリの今夜は最高!」「オレたちひょうきん族」などのバラエティ番組に受け継がれていきます。さらに1990年代から21世紀まで、お茶の間の人気を独占していたアイドルグループとの意外な相関関係など… クレイジーキャッツがもたらしたもの。そして、クレイジーキャッツにあって、その後のタレント、スターにはない魅力である「クレイジーキャッツの音楽」を検証します。

第2回(5/6)戦後ジャズ・ブームと7人の猫たち

クレイジーキャッツの七人のメンバー(ハナ肇、植木等、谷啓、犬塚弘、石橋エータロー、安田伸、桜井センリ)は、ジャズミュージシャンでもあります。昭和20年代、進駐軍がもたらした「ジャズブーム」のなかで十代、二十代の彼らがジャズ・ミュージシャンとしてのキャリアをスタートさせました。戦後ジャズブームとクレイジーのメンバーの足跡を辿ることは、戦後ニッポンのエンタテインメント「誕生物語」です。十九歳の植木等と十六歳のハナ肇との出会い。天才ピアニストとして渡米予定だった石橋エータロー、ロンドン生まれの桜井センリ、ラジオから流れる「センチメンタルジャーニー」に衝撃を受けた谷啓…。さまざまなエピソードを通して、昭和20年代「ジャズブームとクレイジー」を検証します。

第3回(5/20)「スーダラ節」の衝撃

1961(昭和36)年6月、NTV「シャボン玉ホリデー」がスタート、その2ヶ月後に誕生した「スーダラ節」(作詞・青島幸男 作曲・萩原哲晶)でクレイジーキャッツは更なるブレイクをしました。デビュー6年目にして、ジャズ・グループのデビュー曲がなぜコミックソングだったのか? この曲のヒットの裏には、レコードメーカーと芸能プロダクションのビジネス戦略の大転換がありました。そして「スーダラ節」のヒットにより、クレイジーキャッツは映画に進出。斜陽の映画界で、たちまちドル箱となります。高度経済成長とクレイジーキャッツを「スーダラ節」誕生秘話と、この曲が時代にもたらしたものを、さまざまなエピソードとともに検証します。

第4回(6/3)コミックソングと高度経済成長

♪「スーダラ節」「ドント節」「五万節」「ハイそれまでョ」。そして「無責任一代男」… 作詞・青島幸男、作曲・萩原哲晶による「クレイジーソング」の数々は、子供からお年寄りまで、あらゆる世代に受け入れられました。高度経済成長時代を象徴するヒット曲でありながら、時代そのものを否定してしまう青島幸男の「戯作精神」。大瀧詠一をはじめとするのちのミュージシャンたちに多大な影響を与えた萩原哲晶の「サウンドの秘密」。時代をその明るい歌声で笑い飛ばした植木等の「表現力」。この三位一体の「クレイジーソング」とその時代を検証します。


【講師紹介】
娯楽映画研究家・オトナの歌謡曲プロデューサー。1963年東京都生まれ。ハナ肇とクレイジーキャッツ、「男はつらいよ」、エノケン・ロッパなどの昭和の喜劇人の魅力を、新聞連載やコラム、CDアルバム、映像ソフトのプロデュースを通して紹介。音楽プロデューサーとしても活躍。『クレイジー音楽大全 クレイジーキャッツ・サウンド・クロニクル』(シンコーミュージック)など著書多数。

イラスト 近藤こうじ


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