『三人娘乾杯！』（1962年・松竹・番匠義彰）

今宵の娯楽映画研究所シアターは、番匠義彰監督『三人娘乾杯！』（1962年・松竹）。鰐淵晴子さん、倍賞千恵子さん、岩下志麻さん、松竹三人娘競演による「花嫁シリーズ」のバリエーション。

舞台は東京のお茶の水、湯島、上野、御徒町界隈。お茶の水の日東医大に通う愛子（鰐淵晴子）は、内科助教授・小松（川津祐介）にぞっこん。愛子が下宿しているのは、上野のとんかつ屋・とんとん亭。その主人・益田喜頓さんと、飲み屋の女将・藤間紫さんを張り合っているのが、黒門町の「いもりの黒焼」で知られる漢方薬舗の親父・中村是好さん。その娘・美千子（倍賞千恵子）は、愛子の同級生・則夫（山本豊三）に恋をしている。

いつものように濃密な下町の人間関係に、一流商社・吉岡商事の御曹司で専務の修二（津川雅彦）と、その秘書で修二と縁談の話がある澄子（岩下志麻）が絡んできて、いつものように、ややこしくなる。

そしてナイトクラブのハコバンは、スマイリー小原とスカイライナーズ！　踊る指揮者・スマイリーさんが踊る踊る！なんと4曲も！　あの伝説の「アンタッチャブル・ツイスト」もきめてくれる！

川津祐介さんは岩下志麻さんが好きになり、鰐淵晴子さんは穏やかではない。津川雅彦さんは、鰐淵晴子さんと最悪の出会いをして、喧嘩ばかりしているうちに、鰐淵さんに惹かれてゆく。いつものようにカップルの相手が入れ替わり、それで周囲が振り回される。安定しているのは、倍賞千恵子さん。山本豊三さんにロックオンしたままブレない。

誤解や行き違いが重なって、いよいよややこしくなってきたところで、鰐淵さんの故郷・長野県小諸に一同が会するクライマックス。例によって、最後の数分で、パタパタっと全てが万事解決する。この爽快さ！　番匠喜劇の面白さがここにある。

鰐淵さんの母親を演じているのが高峰三枝子さん。岩下志麻さんの両親が佐野周二さんと三宅邦子さん。安定のキャスティング。そして津川さんの運転手・世志凡太さんが、コメディリリーフとして大活躍。

岩下志麻さんと川津祐介さんが、丸の内ピカデリーに「ウエストサイド物語」を観に行くシーン。ピカデリーの看板に、エスカレーター、ロビーと、懐かしいったらありゃしない。お茶の水の聖橋、お茶の水橋などの風景も嬉しい。

三人娘、それぞれ美しく、可愛く、コメディ演技も素晴らしい。昭和37年夏の東京風景が楽しい。懐かしの芝ゴルフ・プールやゴルフ場も出てくるよ！