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娯楽映画研究所ダイアリー 2022年5月23日(月)〜5月29日(日)

今回は初鑑賞後に収録した、娯楽映画研究家の「シン・ウルトラマン」トークです。いつもより尺が長いです(27分)。ネタバレには気を使いましたが、核心に触れてるかもなのでご注意ください。

【佐藤利明の娯楽映画研究所】シン・ウルトラマンのマルチバース

5月23日(月)『東京2020オリンピック SIDEA 』(2022年・東宝・河瀬直美)・『キングダムⅡ 遥かなる大地へ』(2022年・東宝・佐藤信介)・『ブルースの誕生』(1940年・パラマウント)・『警視庁物語 19号埋立地 』(1962・東映東京・島津昇一)

先日、「ウルトラマンの男」古谷敏さんトークショーにご参加頂いたマモさん@mamomamo1414 に素敵な画を描いて頂きました。ありがとうございます。

「クレイジーキャッツの男」としてはハッスルせざるを得ませんなぁ!ハッスル、ハッスル、ハッスル、ホイ!

これから東宝で、いろんな意味で注目されている河瀬直美監督「東京2020オリンピック SIDEA 」試写。テレビを一切見ないワタクシ、2020東京五輪の映像、ニュースも含めて全く観てません。なので、これから全くの初見。いろいろ思うところはありますが、それは改めて。

本日2本目の試写。長い映画なので水分調整しつつ。佐藤信介監督「キングダムⅡ 遥かなる大地へ」。直線的な構成で春秋戦国時代の秦VS魏の合戦を描く。これがなかなか面白く、前作よりもさらにスケールUP。満足度高し。ジャンプ・イズム溢れるカタルシスも心地良く、活劇、スペクタクルのダイナミズムが味わえる。大スクリーンで是非是非!

今宵の娯楽映画研究所シアターは、ビング・クロスビーとメアリー・マーチンの『ブルースの誕生』(1940年・パラマウント)。ご都合主義とはいえ、ニューオリンズのベイズン・ストリートでクラリネットを身につけた白人少年(ビング・クロスビーの息子)が長じて、黒人の音楽だったブルースを白人社会に広げてゆく音楽映画。メアリー・マーチンと、ビング、そしてトロンボーン奏者のジャック・ティーガーデンが"The Waiter and the Porter and the Upstairs Maid"を唄うシーンが楽しい。

続いては「ウルトラマンA」第8話「太陽の命 エースの命」(筧正典)。妖星ゴラン接近、超獣ドラゴリー、メトロン星人Jr.、怪獣ムルチと妖星・超獣・星人・怪獣てんこ盛りのエピソード。おまけに夕子が危篤!これはエライことですよ。

さらに『警視庁物語 19号埋立地 』(1962.07.29・東映東京・島津昇一)。本所警察管内での殺人事件なので、我が家の近所。岩崎加根子さんと織本順吉さん夫婦の悲しくも切ないエピソード。浅草新世界やテキヤの地割など、風俗描写もタップリ。浅草松屋前の交番からのショットが素晴らしい!(そこにグッと来た・笑)


5月24日(火)『オードリー・ヘップバーン』(2020年・イギリス・ヘレナ・コーン)・『殉愛』(1956年10月31日・東宝・鈴木英夫)・『ニューオリンズ』(1947年・ユナイト・アーサー・ルービン)

ドキュメンタリー『オードリー・ヘップバーン』(2020年・イギリス・ヘレナ・コーン)。世界中に愛された妖精・オードリー・ヘップバーンの生涯を、家族、友人、研究者たちの証言。そしてオードリー自身のインタビュー音声で綴っていく正攻法のドキュメンタリー。幼少期の父親の裏切りと喪失感。ナチス占領下のオランダで過ごした苛烈な少女時代。そしてイギリスでバレエダンサーから、映画女優となり、コレット女史に見染められ「ジジ」での主役を獲得。

ウイリアム・ワイラーの『ローマの休日』(1953年)への抜擢と、アカデミー主演女優賞の受賞。キャリアの前半、シンデレラ・ストーリーでトップスターになっていくあたりは、何度見ても、聞いても、ワクワクする。ハリウッド黄金期の大女優の最後の世代として、そのキャリアを重ねていく1950年台から60年代のエピソード。メイキング映像や当時のニュースフィルム、プライベート素材をふんだんに、あの時代の映画史が体感できる。

そしてメル・ファーラーとの日々、離婚。再婚相手の浮気に悩まされる。誰よりも「人を愛した」オードリーの「求めても得られない愛」の哀しさ。1970年代、イタリアで暮らしていた頃のエピソードはつらい。しかしベストパートナーと出会ってからのスイスでの安息の日々。ユニセフ親善大使としての「仕事」こそ彼女の天職となっていく晩年。満席の劇場はほとんどが女性たち。若い世代からリアルタイム世代、誰もが「オードリーの愛」に顔を輝かせて、涙を流していた。ハリウッド・レジェンドのドキュメンタリーとしては王道だけど、素晴らしい作品!

ひばり・チエミ・いづみの「ロマンス娘」(1956年)のトップシーン、三人娘はテアトル東京の電話ボックスから電話後「夜は夜もすがら」を観に行く。5年後、「お嬢さん」(1961年)でも若尾文子さんがテアトル東京前の電話ボックスから電話。そんな話を29日の阿佐ヶ谷ネオ書房のイベントでお話します(すでにチケットは完売です。感謝多謝であります。)

今日も朝から、東京映画時層探検。5月29日ネオ書房「娯楽映画の昭和VOL.5 東京の屋根の下」の準備。ご参加の皆様、宜しくお願いします。すでに満席とのこと、ありがとうございます。このトークライブはまだまだ続きますので、宜しくお願いします。

今宵の娯楽映画研究所シアターは、鈴木英夫監督『殉愛』(1956年10月31日・東宝)をDVDで。八千草薫さんと、学徒出陣で特攻隊となった鶴田浩二さんの悲恋メロドラマ。昭和20年1月から8月6日までの死と隣り合わせの恋人たちが戦争に翻弄されていく。円谷英二監督の特撮がポイントポイントを抑えている。特にラスト近くの機銃掃射シーンは、かなり壮絶。八千草さんがどこまでも可憐で美しく、それゆえ、その顛末な胸を締め付けられる。

続いては、ルイ・アームストロング、ビリー・ホリディ、ウディ・ハーマンら伝説のジャズ・ミュージシャンによる音楽映画『ニューオリンズ』(1947年・アーサー・ルービン)を久々に。アマプラで配信中。ニューオリンズ発祥のブルースが、やがてシカゴでジャズに進化していく音楽史を、白人たちの偏見、黒人たちの魂の演奏で描いていく。ステレオタイプではあるが、演奏シーンの素晴らしさ!よくぞ記録してくれていたと感涙。

今日の「ウルトラマンA」は第9話「超獣10万匹!奇襲計画」(市川森一脚本 山際永三監督)。超獣ガマスの写真を撮った週刊のカメラマン・江夏夕子さんと、今野隊員(山本正明)が喧嘩しながらも仲良くなっていくラブコメ篇。ガマスは2次元でも存在できるので写真のなかでも実体があり、雑誌に掲載されると10万部=十万匹に増殖してしまう。それを阻止するTACの活躍。しかし、雑誌社のビルがガマス出現で倒壊、中にいた編集長(草野大悟)はどうなったのか? そりゃないぜ、セニョール。

5月25日(水)『バスビー・バークレーの集まれ!仲間たち』(1943年・FOX・バズビー・バークレイ)・『警視庁物語 十二人の刑事』(1961・ニュー東映・村山三男)

今宵の娯楽映画研究所シアターは、バズビー・バークレイの才気が大爆発した怪作”The Gang's All Here”(1943年・FOX)をアマプラで字幕版(ジュネス企画版)で。和製タイトルは「バスビー・バークレーの集まれ!仲間たち」という適切なんだか、どうだか。やっぱり”The Gang's All Here”の方がしっくりくる。アリス・フェイ、ベニー・グッドマン楽団、シャーロット・グリーンウッド、エドワードEホートンと豪華キャストのキャンティーンもの。なのだけど、ブラジルから来た爆弾娘・カルメン・ミランダとバークレイの異常な感覚が融合した瞬間、あっと驚くヴィジュアルに。もうドラッグ・ムービーといってもいいほど、悪夢のようなプロダクション・ナンバーが素晴らしい!note「佐藤利明の娯楽映画研究所」969本目の記事です。

続いてはシリーズ第17作『警視庁物語 十二人の刑事』(1961.09.13・ニュー東映・村山三男)を久々に。松島のホテルで起きた女性の殺人事件。宮城から警視庁に派遣された刑事と、警視庁捜査一課の合同チームが、千葉県白浜→後楽園球場→蒲田→上野→名古屋→三島→小田原→新橋と、地道な捜査を続ける。宮城県警の小川部長刑事に「月光仮面」大村文武さん、池本刑事に「七色仮面」波島進さん、捜査一課の中川刑事に「新七色仮面」千葉真一さん、愛知県警の高山刑事に「キリヤマ隊長」中山昭二さん、三島署の東刑事に「V3から来た男・クラタ隊長」南廣さん。特撮心をくすぐるキャスティング! 犯人・曽根晴美さんを逮捕する新橋駅前のカオス。街頭テレビのナイター中継を、顔を輝かせながら見つめる昭和36年の人々!

5月26日(木)『ヨランダと盗賊』(1945年・MGM・ヴィンセント・ミネリ)・『警視庁物語 不在証明』(1961年・東映・島津昇一)

待望久し!
東宝娯楽アクション、空前の007ブームの中、連作された和製スパイ活劇「国際秘密警察」シリーズ全作2022年8月17日待望の全作リリース! noteに詳細をUPしました!

今宵の娯楽映画研究所シアターは、アーサー・フリード製作、ヴィンセント・ミネリ監督、フレッド・アステア主演『ヨランダと盗賊』(1945年・MGM)をアマプラでスクリーン投影。失敗作のレッテルと公開当時から貼られているも、ファンタジー映画としても、ゴージャスなミュージカル映画としても、僕は好きな作品。南米の架空の国にやってきた詐欺師・アステアとフランク・モーガン。財閥の跡取り娘・ルシル・ブレマーの財産を狙って、アステアが「貴女の守護天使」と偽って近づくが… 落語にもなりそうな、アイロニカルな御伽噺。

ハリウッドのシネ・ミュージカル史縦断研究。5月26日(木)は、アーサー・フリード製作、ヴィンセント・ミネリ監督、フレッド・アステア主演のミュージカル・コメディ”Yolanda and the Thief”『ヨランダと盗賊』(1945年11月20日米公開・MGM)を、アマプラ(ジュネス企画版)でスクリーン投影。

続いては『警視庁物語 不在証明』(1961年・島津昇一)。何度か観ているが、「月光仮面」大村文武さん&「七色仮面」波島進さん、そして小沢栄太郎さん。三人の役人が、警備員殺しの嫌疑をかけられるが、真相は意外や意外だったという展開。映画としての動きはほとんどなく、捜査一課の面々は、事件の起きた品川区にある都庁の分室と、高輪警察署で容疑者の事情聴取と推理に時間をかける。それでも高輪、芝界隈のロケーションに心躍る。

そして「ウルトラマンA」第12話「サボテン地獄の赤い花」応答(脚本・上原正三)。冒頭から超獣・サボテンダーVSエースの戦いから始まる。ゲストに「刑事くん」桜木健一さん、サボテン学者・近藤正臣、そしてテキヤの高品格さん。なんとも豪華!

5月27日(金)「オビ=ワン・ケノービ」第1話&2話・『警視庁物語 十五歳の女』(1961年・東映・島津昇一)

ディズニー+「オビ=ワン・ケノービ」第1話&2話。スクリーン投影。エピソードⅢのラストから10年後のタトゥイーン。隠遁生活をするベン=ケノービに、帝国のジェダイ狩りの手が伸びて… という滑り出し。10歳のレイア姫とベン=ケノービの冒険が始まる。ユアン・マクレガーとヘイデン・クリステンセンに流れた時間をうまく使ってコクのあるドラマを期待!

続いて『警視庁物語 十五歳の女』(1961年2月1日・東映・島津昇一)。多摩川で女子高校生によって発見された遺体は、生活のために春をひさいでいた15歳の女の子だった。調布警察管内を舞台に、少女が背負った重荷と、福祉事務所職員の今井健二さん、そして彼女と幼馴染のチンピラの少年・小泉静夫さんをめぐる意外や以外の展開。なんとも切ない顛末。多摩川周辺の風景が堪能できる。

今日の「ウルトラマンA」は、第10話「決戦!エース対郷秀樹」(脚本・田口成光 監督・山際永三)。郷秀樹(団次郎)、次郎くん(川口英樹)、ルミ子さん(岩崎和子)たちが久々に登場。まさか郷さんが!と当時のちびっ子たちはビックリ。でも次郎くんの真っ直ぐな感じ、優しいルミ子さんは健在。

5月28日(土)『ブロードウェイのバークレー夫妻』(1949年・MGM・チャールズ・ウォルターズ)

昨夜の娯楽映画研究所シアターは、フレッド・アステア&ジンジャー・ロジャースのリユニオン作品「ブロードウェイのバークレー夫妻」(1949年)をスクリーン投影。いやあ、楽しいね。RKOの名コンビが10年の時を経てMGMミュージカルへ。倦怠期の夫婦のケンカが、拗れに拗れて^_^ 最高のエンディングに!

5月29日(日) 阿佐ヶ谷ネオ書房「娯楽映画の昭和VOL.5 東京の屋根の下」

阿佐ヶ谷ネオ書房「娯楽映画の昭和VOL.5 東京の屋根の下」「松屋浅草スカイクルーザー最新情報」「成瀬巳喜男の銀座・築地」「銀幕の映画館」「銀座デパート史」「EXPO'70のぼくたち」「東宝撮影所史」などなど、かなり細かいディープネタ満載で、時層探検しますよ。(お席完売)

本日のイベントご参加、ありがとうございました!
次回は、6月26日(日)となりました!
公式発表後、受付開始です!
宜しくお願いします


よろしければ、娯楽映画研究への支援、是非ともよろしくお願いします。これからも娯楽映画の素晴らしさを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。