『腰辯頑張れ』(1931年8月8日・松竹蒲田・成瀬巳喜男)
現存する最古の成瀬作品
成瀬巳喜男のサイレント『腰辯頑張れ』(1931年8月8日・松竹蒲田)は、現存する最古の成瀬作品。上映時間は38分(現存は28分)。成瀬は前年、昭和5(1930)年1月21日公開の『チャンバラ夫婦』で監督昇進、この『腰辯頑張れ』は八作目となる。齋藤寅次郎や小津安二郎が、この頃手がけていた、松竹蒲田のナンセンス喜劇、不景気の小市民ものであるが、いろいろエモーショナルなショット、モンタージュに成瀬巳喜男の才気が溢れている。ちなみに腰辨とは「腰弁当」のこと。