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日活ニューアクションの魅力!

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日本のアクション映画史上、最大のターニングポイントとなった1960年代末から70年代にかけての「日活ニューアクションの世界」をまとめました。
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#藤田敏八

『八月の濡れた砂』(1971年・藤田敏八)

『八月の濡れた砂』(1971年・藤田敏八)

日活青春映画の「白鳥の歌」!

  昭和46(1971)年。日本映画史に残る衝撃的な作品が登場した。藤田敏八監督の『八月の濡れた砂』は、斜陽の映画界にあって、ロマンポルノ路線転向直前、日活最後の一般映画として封切られた。同時上映は、蔵原惟二監督の『不良少女魔子』(夏純子主演)。石原裕次郎の衝撃的なデビュー作『太陽の季節』(1956年)や初主演作『狂った果実』(1956年)に始まる日活青春映画の歴史

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『野良猫ロック ワイルドジャンボ』(1970年・藤田敏八)

『野良猫ロック ワイルドジャンボ』(1970年・藤田敏八)

 長谷部安春監督が、新宿という街の混沌のなか、若者たちのエネルギーを爆発させた『女番長 野良猫ロック』(1970年5月2日)に続く第二弾として、藤田敏八監督が抜擢された『野良猫ロック ワイルドジャンボ』が公開されたのは、前作から三ヶ月後の1970(昭和45)年8月1日。シリーズと銘打たれているものの「野良猫ロック」は、毎回、設定や登場人物も異なる。1970年という年に、立続けに五作連作(『野良猫ロ

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『野良猫ロック 暴走集団’71』(1971年・藤田敏八)

『野良猫ロック 暴走集団’71』(1971年・藤田敏八)

 シリーズ最終作『野良猫ロック 暴走集団’71』(1971年1月3日)は、それまでの長谷部安春監督による「野良猫ロック」が女の子たちの物語だったのに対し、主役はドロップアウトしたおじさんヒッピーとなっている。藤田敏八監督としては、『野良猫ロック ワイルドジャンボ』(1970年8月1日)、渡哲也と原田芳雄の『新宿アウトロー ぶっ飛ばせ』(1970年10月24日)に続く作品であり、本作の主役は引き続き

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「野良猫ロック」シリーズの魅力!

「野良猫ロック」シリーズの魅力!

 遂に「野良猫ロック」全作がソフトパッケージ化された! 1970(昭和45)年といえば、高度経済成長の総決算というべき大阪万博に沸き立ち、昭和元禄ムードの余韻に、世の中全体が浮かれていた年。同時に、学生運動、ヒッピームーブメントといった若者たちをめぐる状況は混沌としていた。そうしたなか、映画界はどん底に喘いでいた。邦画各社の成績もジリ貧となり、製作体制そのものが激変しつつあった。

 そんな中、ア

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