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クリエイティブの標準化とは?

※2009年に、別のブログで書いていた内容を加筆修正して今一度、記載します。この影響を中心に、クライアント数社と、出版社からも声がかかりました。このメソッドは、今は、私の教え子(?)というかビジネスパートナーに引き継ぎました。理由は、現在、ブランディングに特化しているので、コトラーが言う体系的廃棄のイノベーションをする必要があったからです。

広告のクリエイティブは標準化できるのだろうか?

これは、とても難しい問いである。

なぜなら、クリエイティブは感性と言われている領域であり、標準化と相反関係にあるようにも思える。

それに「クリエイターは、標準化という言葉を嫌う。」という大きな壁もある。

ベテランになればなるほど、その傾向が強くなる。

それはそうだ。

別に標準化しなくても、仕事はできるのだから・・・。


今まで、多くのクリエイターと深い関係にあるからよく分かる。

だが、少し前からこのことに立ち向かい始めている。

もちろんクリエイティブの全ての領域が標準化できるはずはない。

でも、全てが暗黙知でもないはず・・・。

せめて、クリエイティブ作業に入る前の「要件定義」「着手条件」を中心としたフレームワーク部分だけでも標準化し、徹底できるのではないかと思う。

これができるだけでも、確実に前へ進む。

このような最初のフレームのツールの一つが、「クリエイティブブリーフ」。「ある女性広告人の告白」の著者の小池玲子(よしこ)氏から教えてもらったフレームだ。

小池先生曰く「クリエィティブ・ブリーフとは、クりエィティブ発想の刺激となるもの。消費者の共感を得る効果的な広告を制作する為には、その商品ターゲットを理解し、ストライクゾーンを捜しださねばならない。」

では、そもそも「なぜ『クリエィティブ・ブリーフ』が必要なのか?」
この問いの答えは次のとおり。
・表現は広告戦略に基づいて作らなければならないから。
・戦略を明確にする事で、より良い表現が生まれるから。
・プレゼンテーションを行うにあたって、関係部門やクライアントとの意思の確認がスムーズに行えるから。
・ブリーフィングが間違っていれば最悪であり、効果的なブリーフィングが行えるように練り込む事。ここでの相互の共通理解が必須であるから。
・クリエィティブ部門が表現を考えるにあたっての指針とできるから。
・無駄なアイデア、時間を費やさずに、絞り込んだアイデアが生み出せるから。
・表現をチェックするにあたって明確な判断ができるから。
などたくさんある。

その『クリエィティブ・ブリーフ』を紹介する。とても貴重な資料である。このようなブログに簡単に記載できるようなものではないのかもしれない。

なぜなら、小池さんが広告担当取締役副社長を務めた大手外資系広告会社 J.Wトンプソン で手に入れ、その他数々の外資系広告会社で試し、ようやく感性したものだから…。40年近くの歳月を費やし、大切なものだけを残し、
無駄なものをそぎ落とした結果、最終的に出来上がったフレームだからだ。

『クリエィティブ・ブリーフ』は、以下のとおり。

◆広告する商品の競合状態
◆競合商品に対する優位性
◆広告の目的
◆ターゲット
◆ターゲットが感じている本音
◆広告の結果、期待するターゲットの反応
◆広告が訴える最も大切な提案
◆トーン&マナー
◆その他の留意事項
驚くほどシンプルである。

でも、一つ一つに答えていくのは、簡単なことではない。
小池先生曰く『クリエィティブ・ブリーフ』は、全ての広告表現を創造する前に必ず作るもの。外資系広告会社にとっては、ごくごくあたりまえのこと。このような外資系広告会社に長く在籍していたからこそできた賜物。
日本では、「暗黙の了解」や「あうんの呼吸」というものがある。だからこのような『クリエィティブ・ブリーフ』がなくても、比較的伝わってしまうことも多い。
米国などは、他民族国家である。様々な文化や価値観の人たちが集まっているので「暗黙の了解」や「あうんの呼吸」は通用しない。だから必要となったのである。

でも、いくら「暗黙の了解」や「あうんの呼吸」というものがある日本でも、広告表現を創造していくプロセスには、ムダが多いように思う。的確にクリエイターに伝えるというのは、簡単なことではない。
『クリエィティブ・ブリーフ』を一つ一つを言語化するプロセスを通し、
相互の共通理解を深めるからこそ、ムダをはぶくことができるわけである。

この「クリエイティブブリーフ」。広告表現に関して様々なケースで使える優れものではある。

だが、最近必要性を強く感じていることがある。

それは、「レスポンス広告」に特化した「クリエイティブブリーフ」だ。

大手外資系広告代理店で40年以上も揉まれ、無駄をそぎ落とし、重要なところだけをシンプルにまとめたという「クリエイティブブリーフ」をアレンジするというのは、恐れ多いことであるが、思考錯誤をし、ようやくできあがった。

ということで明日、「レスポンス広告」に特化した「クリエイティブブリーフ」を紹介したいと思う。


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