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予め後悔する

知人から以前に聞いた言葉。
予悔(よかい)」
造語ということだが、簡単に言うと将来に後悔することを予め確認しておくということらしい。将来の自分に憑依するくらいに。

少し具体的に説明すると…

例えば1年後の目標があるとする。
その目標に達成した自分の状態を「A」とする。
そして、1年後、何も変わらなかった自分の状態を「B」とする。
「A」-「B」= 予悔
ということだ。

1年後の差=「予悔」を確認し、今、何も変化しないことでどうなるかということを先に後悔をしておくということ。

「予め後悔してしまう」から、「予悔(よかい)」と言う。

これを知ると、最初の一歩を踏み出す勇気と、その後に継続させる力が身につけやすくなることは確かのようだ。

というのも、「予悔」を知り、最初の一歩を踏み出し継続して、何かしらの成果を出せたことがいくつかある。

まず、処女作の書籍「確実に販売につながる驚きのレスポンス広告作成術」を出せたこと。誰でも処女作の執筆は大変だと思うが、本当に魂を削るような思いをする。だが、心を残せば残すほど、出版後の反響は大きい。その後、共著も含めて7冊出版できたのは、最初の一歩の目標を「予悔」することから始まった。

一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会の立ち上げもそうだ。協会の立ち上げのための当初の準備、その後の壁は本当に険しかったし、今でもその壁は、大なり小なり繰り返されている。ここでは書ききれない内容なので、別の機会にしたい。

恥ずかしながら、壁を乗り越えられずにくじけたこともたくさんある。

このような経験から言えることとして、「目標」に近づくためには、勇気を出し一歩を踏み出したとしても、早い段階でまず最初の壁にぶつかる。

その壁とは、行動の習慣化や、モチベーションの維持ができなかったり、批判を浴びたり、邪魔が入ったりという外からの要因なども様々ある。

だから、目標を決めると同時に、ある程度、壁も予測し想定内にしておきたい。壁にどう向き合うかを決めておく必要がある。

壁にぶつかった時、高い目標ほど、その目標に近づいていくための行動の質と量が、当初の予想と全く違うと気づいた時は、かなりきつい。

10年以上前に漫画やドラマで流行った【ROOKIES/ルーキーズ】では、甲子園を目指す夢(目標)を描き始めていた頃は、ワクワクして夢を目指しているわけだが、いざ甲子園に行くための練習に励む頃には、その練習が半端なくキツイので、夢と現実のギャップに苦しみ、各人が滅入ったり、鬱屈が溜まったり、誰かのセイにするといった歪み合いをしたりなどが、最初の壁だろう。

まあ、漫画やドラマは、典型的な壁が次から次へと出てくる。
※私はこのドラマを当時、中学生の息子と何度も繰り返し見て、涙が止まらなかったが...(汗)

現実問題として、目標のために何もしなければ、まったく近づかない。行動したとしても、小さな壁、大きな壁が立ちはだかることが繰り返されていく。それを淡々と行動をしながら、乗り越えていかなければ、目標には近づかない。

逆に最近は、年をとったのか、こんなことも思う。

自分も含めて、経営や組織のリーダーは、大きな夢を追いがちだ。だからこそ、経営者やリーダーをしているとも言える。特に大きな夢を追う時には、全身全霊でエネルギーを集中させる必要がある。
このような時に、大事なことを失うこともある。例えば、お金をつぎ込みすぎて借金を増やす。家族や社員との信頼関係を失う。顧客やあらゆる関係者との信頼関係が薄くなる。
失うことが本望でないなら、失う後悔も予め予測しておく必要がある。

これは、バランス力ともいえるが、最近になって少し分かってきたつもりだが、まだまだ難しい。しっかり予悔しておく必要があるだろう。

行動をしないことで、後で受け取る後悔だけでなく、エネルギーを集中することで、大切なものを失う後悔も踏まえた上で、進めていくことは大切なことだろう。

この2つの「予悔」の手続きを踏めば、1年後という短期の目標だけでなく、5年後、10年後という長期目標にも有効なのだろう。


少し話がそれ、十数年前のことだが、「予悔(よかい)」の話しを社員全員に伝えたことがある。

その数ヶ月後に、新卒入社後1年程度在籍していた若い女性デザイナーが退職した。
※とても優秀な子だった。

私が「なぜ、辞めようと思ったの?」と聞いてみると…

「社長の『予悔(よかい)』の話しがきっかけです。本当にやりたいことがみつかりました。」といって、退職し違う職業に就くことになった。

私にとって複雑な心境だった。
※今、彼女はどうしているのだろう? 今も夢に向けて突き進んでいるのたろうか?

予悔(よかい)」。
人によっては、かなりインパクトのある言葉のようだ。

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