水上機への挑戦 その2 さびれた町に恐怖感
ロスアンジェルスから約3時間程かかったであろうか、私は田舎の小さな湖のあるエアーハーバーに着いた。
朝早いのでまだ誰もいない。
そこには水上飛行機があるが、事務所と言えば、トレーラーハウスが一つポツンとあるだけだ。
後は何もない。周りは舗装されているがとても空き地だけ。
何か寂しさが漂う。
それだけならまだしも、あたりを見渡すと遠くの歩道に、浮浪者までとはいかないが、何か怪しげな風態の男の姿が時々みられる。
朝だからまだ良いが、暗くなると何をされるか分からないので、恐怖感が湧いた。
咄嗟に、暗くなってからは絶対に外出しない方が良いと思った。
それで朝にも関わらす、すぐに今夜の宿を探した。
あたりを見回すと、その広い空き地の端に1軒だけモーターホテルがあった。
というより、他に何もないし、途中の道にもモーターホテル的なものは無かった。だからそこしかない。
私は早速、そのモーターホテルへ行った。
正確な値段は忘れたが、1泊1室5,000円程だった。
部屋を見せてもらったが、味も素っ気もないただ単に泊まるだけの部屋。
それでも訓練が終わり、疲れた体で遠く離れたホテルまで走るよりも、ここの方がマシだ。
今回の目的は、水上飛行機の訓練と試験合格だ。
観光でもレジャーでもない。しかも訓練と試験で1泊2日だ。ちょっと長引いても2泊3日で終わる。
ならばここで我慢しよう、そう思いその部屋を予約した。
夕食は近くの店でサンドイッチとジュースを買ってきて、宿で食べればよいではないか、そして早いとこ寝てしまえばよい・・・、というより、そうするしかなかった。
決して快適とは言えないが、とりあえず今夜のねぐらは確保したので、ひとまず安心だ。
それで私はハーバーに戻り、水上飛行機の事務所のドアをノックした。
そこは兄弟で営んでいる水上飛行機スクールだった。
電話だけはしてあったので、私のことをすぐに分ったらしく、椅子から立ち上がり「ウエルカム トゥ アワ スクール」と言って、握手の手を差し伸べてきた。
ぶっきら棒で、変な奴だったらどうしょうかと思っていたが、そうでもないのでホッとした。
もっとも考えてみれば当たり前のことで、フライトスクールを経営しているのだから、そんな雑な人ではやれないだろう。
次回へ続く
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