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北海道「静養滞在の旅」 エピソード2 蝦夷国 北海道はでっかいどう・・・

新千歳空港に着いた私は、札幌でJRを乗り継ぎ、函館本線で砂川駅へ向かった。最終目的地は、砂川から東に車で20分ほどの歌志内市にある滞在先の“かもいホッフ”だ。

赤い〇印が歌志内市(うたしないし)

北海道にはもう何回きたことだろう。おそらく20回は超えている。だから地理はほぼわかる。新千歳から砂川まで直線距離にして約83㎞。これは東京から山梨県の大月市に匹敵する距離で、乗り換え時間を含めると特急を利用しても約1時間40分かかる。
札幌から特急ライラック号に乗った。

私はおもむろにJR社内誌を手にしてペラペラっとめくった。すると北海道と本州の広さを比較する地図が載っていた。
釧路を東京すると長万部(おしゃまんべ)が大阪になる。さすがに広いと感じる。

そこで改めて広さを考えてみた。北海道は日本の面積の22%で、東北6県を合わせたよりも広く、九州2個分の広さに匹敵する。

JR北海道 社内誌より引用

さらに世界に思いを馳せてみた。
北海道の面積8.3万㎢は、スイス、デンマーク、オランダ各国の約2倍あり、オーストリアとほぼ同じ広さである。
人口は約540万人だから、これはオランダ、フィンランド、ノルウェーとほぼ同じ人口である。

HP ヨーロッパ史入門から引用
 日本とヨーロッパ諸国との面積比較 その1
HP ヨーロッパ史入門から引用 
日本とヨーロッパ諸国との面積比較 その2

加えて文化面にも思いを巡らせてみた。
私は日本全国ほぼ廻ったが、金太郎飴の如く大体どこへ行っても同じだが、北海道と沖縄だけは違うと感じた。
昔、北海道にいったとき、「あんた、内地からきたのかい?」と聞かれ、沖縄に行ったときは「あんた、日本からきたのかい?」と聞かれた。これは何を意味するのか?

北海道はアイヌ民族が暮らしていた蝦夷(えぞ)地であったが、およそ150年前に和人が入ってきたというまだ新しい歴史と、地理的に大きな島であることから、一つの独立国のような気持ちがあるからだろう。友人の道産子は「北海道の中ならどこへでも転勤するが、北海道からは出たくない」とも言った。その気持ちは十分わかる。

一方の沖縄は、琉球国の文化を完全に引き継いでいるから、日本から来たのかい? という言葉がでるのだろう。

すると、広さ、人口、文化を考えると、北海道は蝦夷という独立国として考えた方が、理解しやすいのではないか・・・そう思った。

札幌という地名も、歌志内という地名も全てアイヌ語に漢字を当てはめたものである。

サッポロの語源は、アイヌ語で「サッ」が「乾いた」、「ポロ」が「大きい」、「ペッ(ベッ)」が「川」で、「乾いた大きな川」という意味の「サッポロペッ(ベッ)」に由来しているし、歌志内は市内を西に向かって二分して流れる「ペンケウタシュナイ川」の名に由来しており、アイヌ語で、「砂のたくさんある沢」という意味に当て字をしたものである。

だから私は北海道へは来ているが、同時にパスポート無しで行ける蝦夷国に来ているのだと思った。

歌志内にたった一つのスーパーマーケットへ


そんなことに想いを巡らせていたら、砂川駅に着いた。駅には50年来の親友の斉藤君が車で迎えに来てくれていた。

さて、今夜の夕食の食材を買わなくてはならない。滞在する”かもいホッフ“は、別荘のようなものだから、食事は自分で造らなくてはならない。
そこで,歌志内市にある唯一にして最近できたスーパーマーケットの「Da・マルシェ歌志内店」に入った。


10日間滞在する貸切別荘  ”かもいホップ”
現在は営業しておらず、了解を得た友人や知人のみが滞在

炭鉱最盛期には人口4万人を超えた歌志内市は、現在約2,700人。元の人口の約6%。だから飲み屋も消え、スーパーも無くなった。すると住人は買い物に困る。そこで柴田新市長は買い物難民を無くするため、市が建物を建て、営業は民間会社にを任せる方式を取り入れた。それが今年の4月のことだった。

2023年4月の「Da・マルシェ歌志内店」オープンセレモニー。
左から2人目が柴田一孔・歌志内市長。リアルエコノミーのHPから引用

テレビでそれを知っていた私は、「買うなら、歌志内のそのスーパー」と思っていたので、迷わずそのスーパーに入り、食材を物色した。ほとんど何でもある。そして北海道の食材は美味しくて安い。だから少々ワクワクする。今日は何をたべようかな・・・

ワインやビールを買おうとしたら、かもいホッフを管理している斉藤君は、「いやそれはある。だから買わなくてもよい」と言う。ではスパゲテッイを買おうとすると「それもある」と言う。それでは調味料はと訊くと、全てあると答える。
えっ、本当かい? と思ったが、同時にとても有難いことだと思った。
何故なら、使う量はわずかでも、塩、胡椒、醤油、米、ジャム等々すべて買えば、費用も時間もかかる。それがあるのは願ったりかなったりだ。
みそ汁の具にするので長ネギを買おうとすると、彼は「それも我が家の庭にあるものを食せばよいから買わなくてもよい」という。
つまり「無いものは無い」ということだ。
かもいホッフには冷蔵庫も二つあるので、入れるのに心配はないという。

結局私は、パンや鮭の切り身など簡単な物だけ買って段ボールに入れ、二人で“かもいホッフ”に向かった。

以下次号エピソードに続く

#JR北海道 #歌志内市   #マルシェ歌志内店   #砂川

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