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USCPAを振り返る


就活しくった人の敗者復活戦。

せっかくなので、記憶が薄れる前にUSCPA取得までの道のりをまとめておこうと思った。試験制度自体が2024年を境に変わったところもあり、全てが全て参考にはならないと思うけど。

USCPAとは(ざっくり)

米国の公認会計士資格であり、英語力と一定水準の会計知識を証明できる資格である。詳しくは色々なサイトに載っているのでそちらを見ていただくとして、まあざっくり言うなら、僕のような海外志向の強い人にとって転職に有利となる資格の一つである。

英語と会計とITがビジネスマンの三種の神器らしいが、USCPAの場合その2つが一定の水準であることを証明でき、尚且つ日本国外でも通用するところが魅力的(というか日本国外こそが本場)。

一方で非常にお金がかかる(詳しくは後述)。そのため、若い貴重な時間とお金を費やしてまで取得するものかどうかは多少疑問符。新卒での就活をしくった人達がお金と時間を注ぎ込んで人生挽回するためのチケットのような側面が強い。

お金と時間

基本的にオンラインの予備校に通うことになるが、それが諸々含めて大体80万前後。試験は日本国内から受験する場合一回10万前後で、それを4科目クリア(75点以上)したら合格。はっきりいって頭おかしい。実際に受けてみて、一回10万のテストは脳汁が止まらなかった。という訳で、ストレートに合格をしたとしてもトータルで120万前後はかかるし、人によってはテストに落ちまくってそれ以上かかっている。

勉強時間はぶっちゃけ人による。簿記2級程度の知識や、TOEIC900以上の英語力があれば多少は短くなると思うが、やはり1000時間前後は必要だと思う。僕の場合は簿記2級とTOEIC970点がある状態での受験だったが、この二つがなければ+500〜1000時間は少なく見積もってもかかっていた気がする。問題文も解答も全て英語のため、英語に不安感があるなら間違いなく相当な時間がかかる。

以下は各科目を受験した際の感想である。制度自体が変わってあまり参考にはならないかもしれないが、個人的に思ったことを書いておく。

FAR

英語で解く簿記1.5級。一番最初に受けることになるが、一番の難関。とにかく試験範囲が膨大。それにまだ学習法が身に付いていない中で一発10万のテストを受けることになるため、試験を受けるタイミングも定め難い。

僕は勉強開始から7〜8ヶ月でテストを受け合格したが、USCPAの学習法が身に付いた後に振り返ると、4ヶ月あれば合格できた気がする。無駄のない勉強ができれば4ヶ月でいける。

計算問題はそこまで複雑ではないため、やはり英語の理解が大切。TBS問題の対策に早期に取り組み、テストの日程を予め確定させておくことが最大のアドバイスになるかと。あとは、とりあえず簿記2級を先に勉強してみて、そこでつまずくようなら多分あきらめたほうがいい。80点。

AUD

英語で受ける国語試験。監査に関する問題をひたすら解いていくことになるが、計算問題は殆どなく、ひたすら「監査」を理解しているかどうかが英語で問われ続ける。

この科目は相性の向き不向きが激しいと思う。計算問題のように絶対的な答えがある訳ではなく、この状況で適切な手続きはどれか、と言ったような曖昧な問題が多いため、その感覚に慣れない人は相当苦しむかと。

僕が一番勉強していて楽しかったのはこのAUDで、試験本番も絶対合格を確信した割には点数はそこまで振るわなかった。この頃には学習法も確立できてきたので、最速の1ヶ月半で合格することができた。81点。

BEC

中テスト5連発。ビジネス関連知識(会計士なら知ってて当然だよね?)の試験だったと記憶。一貫性のあるトピックではなく、管理会計と経済学とIT統制等々、相互に関連のないトピックを5つ勉強することになる。

個人的に一番辛かったのがBEC。それぞれの分野を浅く広くかと思いきや、割と深いところまで聞かれることもあり、対策に苦慮した。もう二度とやりたくない。途中海外逃避を挟み、3ヶ月ほど勉強して合格。手応え全くなかったのに何故か最高得点。このテストは本当に手応えとスコアが一致しない。86点。

REG

罰ゲームof罰ゲーム。アメリカに移住して自分で確定申告しない限り一生使わない税務知識を延々と暗記させられる。牧師の賃借料を教会が負担している場合は?などと言ったアメリカ人ですら知らなそうなことをひたすら暗記。ただの拷問である。苦痛でしかない。

REGはFARからの3科目をパスした人なら学習法が身に付いているから気合と根性で合格できる。大切なのは気合いと根性のみである。これに合格すれば解放されるというモチベでしか勉強は続かない。

まさしく罰ゲームである。就活に真摯に取り組まなかった結果、現状に満足できていない人たちに課せられた重い重い罰である。罰ゲームの先に輝かしい未来があると信じて、ひたすら訳のわからないアメリカの税金の計算ばかりしていた。3ヶ月半くらいかけ、年度末最後の受験チャンスで滑り込み合格。80点。

で、どうだった?

僕の場合は転職に成功し、夢だった海外での生活を叶えることができそうだ。年収ももちろん大幅に上昇したため、はっきりいって元は一瞬で回収できる見込みがある。何なら海外への渡航に関する諸費用を費用処理できるだけで、かなり投資を回収できている。

投資としてみた場合、USCPAに投下した時間と金額はかなりのリターンを生み出したと現時点では言える。ただしそうは言っても、新卒就活の時点で希望していた会社に入り、先が拓けていれば、ここまでする必要はなかったはず。

あと、USCPAはあくまでも転職へのチケットであり、それ自体が高度な英語力と会計スキルを証明できると個人的には思わない。本当に大切なのは、USCPA取得後にどういった人生を描き、他のUSCPAホルダーとどう差別化をしていくかである。USCPA+業務経験でようやくスタートラインくらいに思っておいたほうがいい。

というわけで、コスパがいいのか悪いのかよくわからない試験であった。ただし、最後まであきらめずに走り抜け合格をしたなら、間違いなくコスパがよくなるお買い得な資格だとは思う。時間とお金に多少の余裕はあるが現状に満足していない人がいたら、ぜひともUSCPAに挑戦してみてほしい。


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