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丁寧な積み上げの先にある理不尽への納得 「スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園」レビュー

2022年ゲームレビュー 3 
本編クリアまで26.7時間。親密度やギャラリーを埋めて満足するまで37.3時間。
ダンガンロンパシリーズの2作目。学校に閉じ込められた前作とはうってかわって今回は南の島が舞台。でも脱出なんてできないぞ。モノクマ以外のキャラは一新され、タラちゃんみたいな声のモノクマ亜種まで加わった。
以下完全にネタバレ。

1. 入学早々のコロシアイ修学旅行

修学旅行のために南国のジャバウォック島を訪れた「私立希望ヶ峰学園」の生徒たちは、楽しい時間も束の間、モノクマの陰謀によりコロシアイを強いられてしまう。

本作はのっけから違和感のある部分が多い。ジャバウォック島に来るシーンは夢でも見させられているかのように教室の壁がバターンと倒れてはい到着、という感じだし、そもそも日向たちは新入生のはずなのにウサミからは修学旅行だと告げられる。まあこのあたりについては、前作プレイヤー的には都合のいい薬で記憶操作とかされてるんだろうなあとアタリがつくので問題ない。

また激太りした白夜や、名前が前作主人公の苗木誠のアナグラムとなっている「超高校級の幸運」狛枝凪斗が最初からいるので、これってもしかして前回の続きではなかろうかという予想を立てながら進めていた。

しかしその予想は第1章でいきなり崩される。白夜は最初の被害者になってしまうし、狛枝は犯人を探すどころか犯行の手助けをしていた。一体何が起こっているんだ。というか狛枝が苗木と同じ声なのが怖い。

女子生徒が撲殺された第2の事件、絶望病が蔓延するなかで連続殺人が起こる第3の事件、無理やり館モノになり舞台装置で殺す第4の事件を経て、日向たちの前で第5の事件が起こる。そこには手足を切り刻まれ腹に槍の刺さった狛村の死体があった。

筆者が心の底からすごいと思ったのがこの第5の事件。学級裁判の中で事件の真相は判明しているのに「クロ」は絶対に分からないような仕組みが作り上げられ、そのうえでクロを特定できる理屈があるのは見事としか言いようがない。トリックそのものには無理があるようにも見えるが、それまでに描写された「超高校級の○○」であれば、むしろできて当然という感すらある。これはダンガンロンパでしか成り立たない話であり、この美しさ、気持ちよさを味わえるのは本作のみである。

2. 議論の中で探る真実

前作では捜査パートで犯人が分かってしまうことも度々あったが、今回はどの事件においても裁判が始まらなければ犯人どころか手口や動機も分からない。つまり各人が情報を持ち寄り、議論の中で整理して結論を出すという流れが徹底されている。他人の主張の矛盾点を撃ち抜くだけでなく意見に賛同することができるようになったのも、みんなで議論を進めている感が味わえる。

難点として、ロジカルダイブなど推理とは別のところでダメージを受けるのは理不尽。まあ日向はスケボーしなきゃいけないと思うし、ゲームとして単調にならないようにと言うことだろうけど。

3. 好きなキャラ

……田中と罪木。
てか第1の事件、罪木は写真の中で意味深な表情をしていたけど、特に何かの伏線というわけではなかった。


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