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筆者の予想はなぜ外れたのか 「ダンガンロンパ」レビュー

2021年ゲームレビュー 15 
一周クリアまで20.2時間。スクールモードのクリアまで25時間。
議論の中で矛盾を突き、殺人事件の真相を突き止めろ! 手がかりもフェアに提示される気持ちのいいゲームだった。
以下ネタバレ。ゲーム内容の紹介はあんまり無いです。

1. 予想していた真相

希望ヶ峰学園におけるコロシアイ学園生活は一個人の人格を統合するための儀式である。
新入生15名は多数ある苗木の人格の一部。
彼らは苗木の精神世界である希望ヶ峰学園に入り、互いに一人ずつ殺すことで生存能力の劣る弱い人格を削除し、その蠱毒の中で人格を統合していく。

希望ヶ峰学園が精神世界であるという根拠
・間取りがおかしい。
 >鉄板を打ち付けた窓に壁を向いているものがある。
 >普通の教室は右利きを考慮して西向きに黒板があるのに、希望ヶ峰学園ではいろいろな方向を向いている。
 >階段の位置がどう考えても使いにくい。
 >武道場がわざわざ5階にある。
・食料が湧き出てくる。夜時間に食堂に入れないので食料が補充される様子を見ることができない。
・痕跡を残さずに消える死体。
・持ち物は無かったはずなのに各人の部屋が思い思いに飾り付けられている。
・非現実的なほど地下深くにある学級裁判所。
・どこでどうやっているのか分からないオシオキ。オシオキ場も含めての地下空間だとすると余計に広すぎる。
・神出鬼没のモノクマ。モノクマが帰っていく先を探る登場人物がいないのが不自然。

苗木が多重人格という根拠
・最初にみんなで苗木を待っている不自然。具体的に誰がどんな順番で教室から出ていったのか。誰か迎えに行かないのか。
・山田が死ぬ寸前に「みんなとは既に会っていた」と言う。
・終盤で苗木の幻のような者が「僕はすべてを知っている」と言う。
・苗木の舞園さんに対する評価が妙に甘い。

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ほんとに苗木くん和んでる?

モノクマは統合作業の司会進行役である。例えば外部の医師がモノクマの姿に仮託されている。

「人類史上最大最悪の絶望的事件」というのは、人格の大量死を意味している。舞台は5階にある凄惨な教室だろう。

一番のポイントは「誰かを殺して学級裁判で他の全員を出し抜けば『卒業』でき、他の人物は全員殺される。ただし犯人だと見抜かれたら犯人だけ処刑される。」という学級裁判のルール。これはコロシアイ学園生活が「最も優秀な人格」を選出するプロセスであることを裏付けている。なぜなら学級裁判を繰り返せば、必ずどこかで一人が生き残るからである。

2. 完全に外しましたね

とまあ2003年のアメリカ映画を丸パクリした予想をしていたわけだが、真相は全く異なるものだった。

いや、だって、寄宿舎にこれみよがしなコインランドリーがあるんだよ? こんなの絶対連想するじゃん。

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ぜったい首が入ってるでしょ

しかし真相が黒幕の言う通りであれば、黒幕は一人で食料を供給し、学級裁判の裏で殺人現場を掃除し、死体を5階にある生物室の死体安置所に運び(山田やさくらは120kgもある!)、モノクマを動かし、15人分の挙動に目を配っていたことになる。その活躍は八面六臂でも足りない。

特に死体の掃除と運搬については人手と時間の面で無理がある。
学級裁判で黒幕はモノクマとして裁判の行く末を見守り、質問にも答えているのだから裁判の裏で死体を片付けるのは不可能。
学園にはエレベーターも無いので、死体を抱えて5階まで階段を登らなければならない。
他に仲間がいる可能性については、黒幕が希望ヶ峰学園にいる人間の数を言い切っている以上、考えづらい。
これやっぱり本当は精神世界なんじゃないの? 希望ヶ峰学園から脱出するラストシーンもCUBEのラストみたいだったし。

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モノクマは荒らされた部屋の片付けや
壁の傷の修復なんかもしてくれている


……筆者の推理が外れたのはともかく、本作では一人に宿る人格の多様性が強調されているのは間違いない。

直球の二重人格者である冬子&ジェノを筆頭に、そのまま第二人格と呼ばれるアルターエゴ、女性のふりをする千尋、男に間違えられるさくら、途中で人が変わってしまう石丸、他人のふりをする戦刃むくろ、ポーカーフェイスの裏がえらいことになっているセレス、モノクマを含めて7つの顔を持つ黒幕…….。

本作の魅力は多々あるが、特徴を一つ挙げよと言われたなら、筆者はここを推そう。

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白夜様にも貴重なデレシーンがあるぞ!

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