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オプション40個と残機3,000個、どっちか選んで敵を蹂躙! 「超僧大戦Z」 レビュー

2021年ゲームレビュー 6 

44分。超僧ランクを取るまで。

得点をオプションに変換する横スクロールシューティング。小作品ながらユニークで考え抜かれたシステム、統一感のあるグラフィックや敵キャラに高い満足感を得られる。
以下ネタバレ。

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1. ゲームシステム

主人公「デニム」の攻撃手段は、広範囲をカバーする「翼」、自身の後に連なってオプションが付いてくる「鎖」、貫通レーザーを発射する「輪」の3種類。それぞれオプションの並び方が異なり、ボタン一つで順に変更される。

本作の最大の特徴は、スコアを消費してオプションに変更できるところにある。スコアでオプションを買っていると言い換えても良い。オプション変換に必要なスコア(ゲーム内の用語で「昇華」と言う。)は、1個目は1,000だがオプションの数が増えるごとに2倍になっていく指数関数仕様。ただし中型の敵は「現在のオプション変換に必要な分だけスコアが増えるアイテム(龍珠)」を落とすので、スコアが指数関数に追いつかなくなってきてもオプションを増やす手段はある。

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オプション40個の姿。41個目のオプション変換に必要なスコアは1099兆だ。

オプションを増やすのはリスクと隣り合わせ。デニムは被弾すると、昇華の値だけ徳点(スコアのこと。「得点」にあらず。)を失い、それがゼロになるとゲームオーバーになってしまう。つまり「徳点」を「昇華」で割った商が残機であり、オプションを増やしすぎて徳点が昇華より低くなると被弾一発でお陀仏となる。なおオプションを減らすことはできない。

またオプションを3つ増やすごとに「深度」というステータスが1上がる。深度が高いほど敵の体力・スコアが高くなるので、大量のオプションで無条件に無双できるわけではない。しかし深度増加に伴う敵体力の増加はオプション増による火力向上よりもペースが緩く、雑魚戦・ボス戦ともにオプション追加で楽になっていることを実感できる。もちろんオプションが多いほど攻撃範囲は広い。

逆に「徳点を昇華で割った商が残機」ということは、オプションを増やさず昇華の値を低く抑えることで、STGとしては史上まれに見るほど大量の残機を得ることができる。オプション2個までなら深度0で昇華は4,000ぽっち。もちろん敵のHPは最低値だ。

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画像の残機は3,000以上。どうプレイしてもゲームオーバーにはならない。

残機と火力がスコアに統合されているというミニマルさの追求、しかもそれが攻略の駆け引きにつながっているのは優れたデザインだと感じる。またオプション追加ペースとスコア増加・敵HPのバランスが良く、敵が龍珠を落とすという要素も上がりきった昇華に対して有効でストレスが無い。その他にも低速移動、誘爆、弾消しなどの要素により気持ちの良いゲームに仕上がっている。

2. 世界観

「超僧」を作るという計画のために、超僧候補のデニムが、修行をした出身地に帰って超僧の出来損ないとなった同僚を倒し、自身が超僧となる物語。

専門用語は多いが構造はシンプルで、ラスボスは超僧の失敗作という知識を持てば、ラスボスの周囲にある玉はデニムのオプションである龍珠と同じ形をしていることに気づく。また昇華に必要な徳点がどんどん増えるのもデニムが人間としての限界を超えていく様を表しているようであり、設定とシステムが連動していて味わい深い。

背景グラフィックも精細でステージの雰囲気をよく伝えている。4面でろうそくに明かりが灯してあるのとか好き。


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