永江朗さんの「出版業界事情:本の取り寄せは取次ルート抜きで考えるべし」を読んだ感想

上記の記事を読んだ感想です。前向きな提案に対して過去の事例やできない理由を語るのはよろしくないとは思いますがどうしても少しだけ。

まず、「取次ルート」での客注への取り組みについて若干。

客注を通常の輸送と別便(もしくは別扱い)とする方向は手書き短冊の時代から試みられていたと思います。しかし「確実に早く入る」となると店頭補充分なのに客注短冊で発注するということが発生します。本来の趣旨とは違う使われ方をしてしまうのです。こうなるとわざわざ分けた意味はなくなります。そして現状のブックライナー(ト)もスーパーQuickBook(二)も現場の書店からは当てにならないと思われているのであれば、やはりこの方向は難しいのだろうなあと。

客注専用取次というアイデアに実際に取り組んだ例もありました。とはいえ、ヤマト運輸(のサービスであるブックサービス)をしても無理だったわけです。一冊単位(もしくは最低限の経済重量)で動かすには出版物は安価すぎて充分な利益が確保できないのが実際のようです。高価格帯の商品を主に扱っていた外商の衰退ということもあるかもしれません。ブックライナー(ト)もスーパーQuickBook(二)もそのあたりの課題は共通しています。

「書店同士で商品を融通」、取次同士で商品を都合する「仲間卸(仲間取引)」はその形態を担っていた小取次の廃業などもあり大幅に縮小しています。

同じく「書店同士で商品を融通」、チェーン書店では店舗間での商品移動、いわゆる支店便が一般的でしたが、これもどこかから減っています。原則としてやめたところもあるのでは。

「客に代わってアマゾンで取り寄せ」、これについてはアフィリエイト(アソシエイト)プログラムを起点に構築するなら今すぐにでも可能な気がします。その場合は現状の書籍のアフィリエイト料率である3%がスタート地点です。これ、すごく具体的に「どうやってやる」まで考えていますがアマゾンから不正利用とされないかどうかが心配です。興味のある方は私までお問い合わせください。うまくやれば電子書籍の販売からも収入が(アフィリエイト料率8%ですが)。

「書店がアマゾンの代理店として受注と販売の窓口に」、これはアマゾンの意向もあるのでわかりませんが、逆に書店がアマゾンに出店を出して商売することは可能です。ていうか、そうやってるところボチボチありますよね。
永江さんの提案にはありませんが、店頭でAmazonギフトカードを売るのは、他のプリペイドカードの類いと同様お店に落ちる利潤は少ないはずですが、間に取次が入れば可能だと思います。

他業界を見ると「価格転嫁に成功したところの状態は大幅に改善されている」ようなので、出版業界も価格について真剣に考えるべきなのでしょうか。でも「価格転嫁で失敗したところは話題にならないだけ」の気もするんだよなあ。ある種の生存者バイアス。そんなことありませんか。どうなんですかね。

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