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【連載】【減災】検証・首都直下~阪神・淡路大震災から20年【蔵出し】

※この記事は2014年12月~2015年1月の連載をまとめたものです。文中の数字や関係者のコメントは取材当時のものです。

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(1)被害想定/どこで起きるか分からない《2014年12月12日号》

 神戸は大きな地震が起きない楽園─今となっては考えられない俗説を誰もが信じていた時代があった。戦後、高度に発達した過密都市に住む人たちは、それが一夜にして廃墟になるとは思いもしなかったのだ。

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■不意を突かれた

 阪神・淡路大震災から20年を控えた今年8月、神戸市の「人と防災未来センター」で、公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構が「オーラルヒストリー(口述記録)」を公開した。同機構の前身である阪神・淡路記念協会によって、震災から3年後の1998年より震災の体験者や行政の当事者などに行ったインタビューをまとめたものだ。

 当初、30年間原則非公開としていたが、東日本大震災を経て、行政による災害・復興対策の立案や市民の防災意識向上に役立てていくため、期限よりも早く公開された。

 震災当時の兵庫県知事で、今年11月に交通事故で亡くなった貝原俊民前兵庫県知事や、笹山幸俊元神戸市長、村山富市元首相など、当事者の公開許可が得られた数々の証言が54冊の冊子にまとめられている。

 このオーラルヒストリーの中で貝原前知事は、質問者から活断層が起こす直下型地震に対する認識を問われると、「残念ながら私は認識していなかった」と率直な思いを語っている。

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