見出し画像

土佐山アカデミーと、言葉vol.9「考事(こうじ)」

「背筋がゾクゾクしてますね」。

電力逼迫が世間を賑わせた7月頭。「自己発電ならぬ自己冷却。さすが吉冨さん、地球にも優しい男じゃないの」なんて思っていたらそうでもない。一足早めの夏風邪?それも違う。聞けば、ゾクゾクの原因は、おぼろげになっていた(見ないようにしていた、と同義語でしょう)下半期の諸々が、急に目の前に迫ってきたから、とのことでした。

6月いっぱいまではまだ前半。しかし、折り返した途端、鮮やかに見えてくる年末までの道のり。
その折り返し地点を、どう通過するつもりなのか?オモシロガるプロである吉冨さんに聞いてみると、画面の向こうからびっしりと書き込まれたノートを開いて見せてくれました。高専育ち、生粋の理系。それを感じさせる整ったリスト。

「週に一度、タスク(やるべきこと)を書き出しているんです」。

時間はかかるけれど、これをしていると心が落ち着くと。祈りにも似たその行為は、まさに「タスク写経」。不安の類は頭の中にあるとどんどん大きくなるらしく、書き出すとそう大したこともないことが実感できるそうですが、このびっしり具合は、どこからどうみても大したことがありそうでした。

「コピーせず一つ一つ書くことで、都度その作業について強制的に考えてしまうからオモシロい」。

以前、吉冨さんのことをマグロのようだ、と書きました。酸素を取り入れるために、泳ぎ続けていないと死んでしまうからだ、と。その例えを思い出しました。「強制的」と「オモシロい」が、結びついちゃってる時点でああ、タスクって酸素なんだな、と呆れ…いえ、敬服するばかりです。加えて一点訂正するなら、土地柄、×マグロ ◯カツオ、でしょうか。

さらに続けます。
「考え事というとなんかネガティブなので、例えば家事みたいに 考事(こうじ)、というとオモシロいのかな?実は 万年筆が使いたくて書いてるというのもあるんですけどね」。

生活そのものの基盤を固める、という点においては家事と同様。専用の道具があるところも、黙々とやるとスッキリするところも似ています。そんな「考事」に取り組んだ結果、膨大なタスクの中からくっきりと、鮮やかに見えてきたのは「土佐山百年構想から考えないと次に進めない」こと、と教えてくれました。

「人の巡りを生み出す」立場として、地域の人はもちろん、行政、県内外の企業など、さまざまな立場の方と関わり合う中で、どこを向いて、誰を大切にしたいのか?ペン先が捉えた結論は、至って「らしく」「シンプル」。「次の百年のために、飲みにいきましょうよ」思い浮かんだのは、そんな顔ばかりだった、とのことでした。

折り返し手前の5月、6月。吉冨さん、下元さん二人にとって「これでいいのか?」と考えさせられる出来事が続いたそうです。
側から見たらトラブルや、悲しいことと言えるかもしれません。しかし二人はそれを「きっかけ」と捉えることができたようです。結果、肚が座った、と伝えてくれた下元さんは「『これでいいのか?』『これでいいのだ!』を繰り返しながら、思い直し続けて、走り始め続けるしかないですね」と話しました。

二人の話しを聞いて思うことは、まとまった時間を作って行う考事も確かに大事だけれど、サッと、手を拭いたペーパータオルで洗面台を拭き上げるような日々の合間の「思い直し」の考事も大事なんだろうな、ということ。ノートにびっしりと書かれた、土佐山アカデミーのあのタスク量を見たら、なおのこと、そう思うのです。

「考える」に倣ったら「行動」はどうなるんだろう?「行動+事」か、とメモに書いてみたら、なんだ「行事」じゃないですか。
10月、NPO設立 10 周年というお祭り行事まで、7月末であと2ヶ月。ゾクゾクきるのは生きている証拠、考事とゾクゾクの時間はさらに増えていきそうてです。

ごきげんでおなじみ 髙木健太
土佐山アカデミー東京代表
プランナー/コピーライター/コーチ

日本大学芸術学部卒業後、設計デザイン事務所、飲食業などを経て広告代理店のクリエイティブ・プランナーに。2019年企画屋として独立。身近な人、モノ、コトからごきげんにできるように企画・コミュニケーションの力を使いたいと考えています。「なごやかに、すこやかに」が信条。趣味と生きがいは余興。5歳児の父。

●ごきげんでおなじみ https://gokigen-inc.jp/

最後まで読んでいいただき、ありがとうございます! いただいたサポートは、中山間地域の課題を「たのしく」「おもしろく」解決するための活動に使わせていただきます! まずは土佐山から、そして高知県から全国、世界へと広げていきます。