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(第5回)『食品の裏側:梅干しの進化』


【はじめに】

みなさん、こんにちは塔里大也です。前回の第4回で「塩」のお話をしました。実は昭和30年代を境に「塩」が変わってしまった。ミネラル分のない「塩」が当たり前になってしまった。そんなお話を前回しました。今回は、その「塩」のつながりで、「梅干し」の話をしていこうと思います。そこから少し食品添加物がどんなものか考えていきます。私は食品関連会社で数々の開発の仕事に携わった経験があります。直接私が携わった開発の話は守秘義務もありお話しすることはできません。しかし、一般的な食品の開発に置き換えて、その開発現場の実情を順次紹介していこうと思います。

【昔ながらの梅干し】

梅干しは昔から日本にありますよね。現在でも、おにぎりやお弁当に入れられて多くの人が食していますね。「酸っぱいから好き」という人や「酸っぱいから嫌い」という人がいることでしょう。さて梅干しは保存食ですよね。なぜ保存食になっているかというと前回お話しした「塩」の力です。塩の効果で、微生物の繁殖を抑えて、保存できるようになっています。そのため味は梅の酸っぱさと塩の辛さが味わえることになります。

【梅干しの進化】

しかし、塩が高血圧の原因になると悪者扱いされてしまっている現在。梅干しも進化してしまいました。昔ながらの梅干しに使われる塩の量は梅干しの重量に対して15%程度は使われています。しかし、悪者とタッグを組んでいるので、梅がかわいそうだ、塩を減らそうとなりました。でも良く考えてください。塩の効果で、保存食であったので、塩を減らしてしまうと保存できなくなってしまいます。そのため新たなタッグが考えられたのです。そこで登場したのが食品添加物です。

【梅のパートナーは?】

「塩」の保存効果を代替するために、保存料が必要でした。その保存料は自然界に存在するものでなかったので、食品添加物となります。おそらく減塩している梅干しにはソルビン酸という保存料が使われているのではないでしょうか。悪者を追い出したはずなのにまた違う不思議なものとタッグを組むようになったのです。現在使われている保存料については、良いも悪いもここでは論じません。しかし、悪者扱いされてしまった「塩」のことを考えてください。前回のお話でありましたように、塩は本来正義の味方であったのです。しかしその姿を変えさせられてしまったため、悪者になりました。梅干しも正義の味方であった時代の塩とタッグを組んでいた時代を懐かしく思っていることでしょう。自然なものと自然なものそのタッグがやはり人間にとっては健康に良いということは容易に理解できることだと思います。減塩というイメージを優先するために、自然さを失ってしまった現在の梅干しの進化になります。

【食品添加物とは】

食品添加物はもともとの食品の特徴や機能を補助するために使われています。添加物が絶対に必要な場合もあります。しかし、梅干しの例でみてきましたように本来必要がなかったのに、使われるようになったものもあります。もともとの食品が変化を求められたために食品添加物の力を使うようになった食品は数多くあります。今後それらを少し紹介していこうと思います。次回は低カロリーやゼロカロリーの話をしていこうと思います。

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