(第9回)『無添加・食品添加物不使用の不思議』
【はじめに】
みなさん、こんにちは食品健康コンサルを目指している塔里大也です。今回は、少し専門的な話をしたいと思います。私自身まだまだ知識が少なく上手く説明できるものではありませんが、少しでも皆さまのお役にたてるように書いてみました。
【これは安全か?】
「無添加」「食品添加物不使用」と記載してあったら、皆さんはどう思いますか?食品添加物は全く入っていないと思いませんか?でも全く入っていないとは言えないのです。知っていましたか?私もこの業界に入るまで、「無添加」「食品添加物不使用」と見たら「食品添加物は全く入っていないのか」と誤解していました。この表現は実際には、誤解と食品添加物を使用した一般加工食品の信頼性の低下を招く恐れがあるので、好ましくはない表示とされています。でもその表示を見ることは今でもあるのでその時は、少し考えてみることも良い機会なのかなと思います。
【免除されるもの】
食品添加物の表示が免除されるものは、4つあります。①加工助剤、②キャリーオーバー、③栄養強化剤、④個包装食品(ばら売り)になります。このうち私の知識にある①と②について説明していきます。
【①加工助剤】
加工助剤とは、食品製造の現場において、加工するためにどうしても必要な食品添加物になります。そのうち添加物の表示が免除されるものは、その使用した食品添加物は最終製品の包装前に除去されて成分が残らないもの、微量ながら残っていても最終製品に影響を与えないもの、残っていても最終製品の食品成分と同じ成分になるものとなっています。ここで注意したいのは、残っていても影響を与えないものなら、表示はされていないということですね。食品添加物は元々、使用量はごくわずかです。加工を補助する添加物であれば、なおさら少量であると思います。影響がないなら安全と判断することは簡単ですが、その安全と判断するのはいったい誰なのか、考えておきたいところはありますね。
【②キャリーオーバー】
キャリーオーバーとは「持ち越し」のことですね。食品に使われる原料も一つの物質からできている単体の原料ばかりでもありません。加工された食品を原料に使うことも沢山あります。この加工された原料に含まれていた食品添加物が最終製品に持ちこされることを意味します。ここで言われる意味については、原料に使用されていた食品添加物は最終製品に残存していますが、ここでも残存量が微量で最終製品には影響がないと考えられるものが、表示が免除されるということになります。もちろん、最終製品に影響を与えるもの、甘味料や調味料などは食べる人の味覚に影響を与えますので、表示の義務はあります。
【具体的に考えると、】
少し例を考えてみましょう。かまぼこの原料は冷凍のすり身が使われます。この冷凍のすり身にはよくソルビトールやリン酸塩が使われることがあります。でもこれは微量で最終製品のかまぼこには影響を与えていないと判断されています。そのため、表示はされていません。さらに見ていくと、パンやビスケットをつくるときにマーガリンを使いますよね。工場で作るパンやビスケットでもマーガリンを使ったとしても、マーガリンに含まれていた食品添加物の表示はされていませんね。マーガリンにはおそらく乳化剤は使われていますし、酸化防止剤も使われていることはあるでしょうね。でもそれらの物質は最終商品であるパンには乳化目的も酸化防止目的ももたらさないので、表示される必要はないのです。
【量的基準】
ここまでお話しすると、どのくらい残っていたら影響がでるの?と疑問を持つことになるでしょう。この量に対して基準があれば少しは考えやすいのですが、「量的基準は食品により使用する食品添加物の種類と添加量に違いがあるため、一律の基準はない」となっています。つまりは個々で判断するしかないのですね。おそらく、開発するメーカーごとに基準を作っているということになりますね。
【最後にハンバーグ】
最後により分かりやすく、ハンバーグの商品を考えます。ハンバーグは家庭でもよく作ることがありますよね。工場でもハンバーグは作られていますよね。冷凍食品でもありますよね。さてこのハンバーグにハムを練り込んだ商品を開発するとします。ハムには色が付いていますよね。その色はお肉本来の色だけではなく、色をよくするための発色剤を使っているのは有名な話ですね。この色をよくするための発色剤は、ハンバーグの外側には影響を与えることがないので、もちろん表示はされません。ハンバーグの色はピンク色でなく、茶色ですから。
【まとめとして】
ここまで、食品添加物の表示免除について書いてきました。あくまでの表示が免除されるのは、影響がない微量なものとなっているので「安全だ」と判断することもできます。その判断も間違っていないと言えます。しかし、「無添加」「食品添加物不使用」との表示のイメージとは少し異なってしまうことになります。だからこそ、消費者である我々も少し知識を持って、食品と向き合って欲しいなと思って記事にしてみました。またお互いにいろいろお勉強できたらいいなと考えています。
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