標高6.1メートルのデスゾーン
*第4回阿波しらさぎ文学賞落選作です。
俺たちはせーので右足から山に入った。
辺りには長閑な田園風景が広がっているが、麓の鳥居をくぐると世界が一変する。ここは徳島県、弁天山。自然の山では日本で最も低いとされる標高6.1メートルの山だ。たかだか6.1メートルなどと見くびってはいけない。水が膝ほどの深さがあれば溺れ死ぬこともあるように、山も腰ほどの高さがあれば遭難したり滑落したりする危険があるのだ。標高と危険度は比例しない。
「おい、足を上げてみろ」
シューレス城が眼を鋭