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Torus (トーラス) by ABEJA

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Torus(トーラス)は、AIの社会実装を手がける、株式会社ABEJA(https://abejainc.com/ja/)のオウンドメディアです。「テクノロジー化する時代に、あえ… もっと読む
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2019年11月の記事一覧

AI化で「製造」される問題、「発見」される問題。

医療の分野でも、AIモデルが考えられないスピードで開発され、精度も高くなり、応用の範囲も広くなっています。 そこから様々な恩恵を受ける一方、課題も生まれてきます。ABEJAで医療AIのプロジェクトに関わる木下正文はこう言います。 「1つは、今まで隠れていた問題が発見される、もしくは今まで存在していた問題がよりシビアになるというケース。もう1つはAIを導入したことで新たな問題が発生するケース」 どういうことなのでしょうか。解説をまとめました。 木下:医療を国という視点で

AIとの共存、そして戦争の記憶—。世界最高齢プログラマー若宮正子の「独学力」

「もう一度、お勉強、始めてごらんになりませんか」 世界最高齢のプログラマーとして活躍する若宮正子さんは、自著『独学のススメ』でそう説く。 81歳で、スマートフォン向けのひな人形位置当てゲームアプリ「hinadan(ヒナダン)」を開発。2017年6月には、Appleが開催する世界開発者会議(Worldwide Developers Conference 2017)で、世界最高齢の女性開発者としてアメリカに特別招待され、世界を驚かせた。 今年は「電子政府」で知られる欧州エス

モネ・ゴッホ・ピカソ—名画を未来に残すために。 「絵画保存修復家」という仕事

香川県・直島にある地中美術館。5年ほど前にそこを訪れ、私が目にしたのはクロード・モネの「睡蓮の池」だった。モネ室と呼ばれる広い展示スペースの白い壁に飾られたその名画は、想像していたよりも大きく色調の美しさとパワーに圧倒されたことを覚えている。 モネが描く世界観を現在まで守ってきた職人が、絵画保存修復家の岩井希久子さんだ。モネ、ゴッホ、ピカソといった、名だたる芸術家たちの作品を蘇らせてきた。 岩井さんのアトリエを訪れ、絵画保存修復家の仕事について聞いた。 1955年熊本生

「治す」がゴールじゃない医療もある。患者が幸せになるテクノロジーの使い方

医療現場にも、診断や治療支援のための機器にAIが導入されるようになりました。 一方で、それが医療のあり方や、患者と医療従事者との関係、ひいては社会や私たちの生き方にどんな影響や変化をもたらすのでしょうか。 AIを活用した医療機器を開発するアイリスCEOで医師の沖山翔氏が、医療AIの現在と未来について解説します。 AIがカバーするから放射線科医はいなくてもいい?沖山氏:現在、医療の世界で最もAI技術が応用されているのがCT(コンピュータ断層撮影)やMRI(コンピュータ