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台風一過の風雨が吹く中、月に一度の歯科クリーニングへ。歯周病アラートは概ねOK、口内炎ができているので痛くなったら連絡してと言われる。口の中のことは歯以外の事でも歯科の担当ということをはじめて知った。NHKBSで唐突にフレデリック・フォーサイスの『オデッサ・ファイル』をやっていたのでついつい観てしまう。1975年のジョン・ボイドが主役のサスペンス映画。この頃流行ったナチスの残党を捜し出す話でナチスの残党役はマキシミリアン・シェル、ドイツ軍の将校といえば全てこの人の気がする。時代設定は1963年ケネディ暗殺直後のドイツ。だいぶ昔に何度か観ただけで忘れていたが、プロダクションデザインが秀逸、というか好み。街を走っている車とか人々の服装とかこの頃で完成されていたんだなぁ。とすると、この50年の進化ってなんだったのだろうと考えてしまう。

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今日は銀座で新規プロジェクトのキックオフミーティング。新しいクライアントなので顔ぶれも一新。まぁ業態はいつものパターンなので大体の状況とフローは把握済み。賞取りも目標のひとつらしくやんわりとハッパをかけられる。ディスプレイの仕事も10年やってきたのでここはひとつアッと言わせないといけない時期に差しかかっている。これまでにないアプローチで、効率を考えながら完成度を上げる戦略を考えないと脱皮できない。
帰りにふと思いついて神田にできた『ミッケラー神田』に寄ってみる。ここはデンマーク発のブルワリーを持たないファントムマイクロブルワリーでクラフトビールのお店の2号店でハンバーガーもイチオシで、チーズバーガー+ポテトフライ+サラダをいただく。焼きたてのパティがフワフワで旨かった。ボリュームを考えるとちょっと高かった、けど旨かった。ここに来た理由は店の内装。3年の定期借家らしく最低限の手入れで、改装中の家の中みたいで個人的に好みの内装。こういうところはやっぱり外人は思い切りの良さが違うね。3階まで続くほぼ垂直の階段が最高だった。

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座右の銘を聞かれれば『漂えど沈まず (FLUCTUAT NEC MERGITUR)』と答える。これは10代後半からずっと変わらない。開高健のエッセイで知ったこの言葉はパリの市民憲章でローマ帝国支配下の時代、行政の支配は受けても魂までは屈服しない「魂の不服従」というパリ市民のモットー。パリっ子は昔から「ノンシャラン (nonchalant)」という「さり気なさ」を粋 (esprit)としているそうで、肩の力が抜けていて普段は一見野暮ったくも見えるがそれがパリっ子の粋なんだな。漫画家の蛭子能収さんがオシャレのお手本はフランス人のおじさんと言っていたのを思い出す。渋谷原宿あたりのチンドン屋みたいなガキ共にはわかるまい。

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近所の公園の辺りにスマホをのぞき込む人が点在しつつ群がっていて、ポケモンGOの集団だと気がつく。いまだにポケモンGOをやってる人がこんなにいることに驚いた。流行り廃りで人の動きが変わりそれによって街が変わる。最近ではやはりUber Eatsのデリバリーの人口増加だろう。駅前のけやき並木なんか7時8時の夕飯時になると5メートル間隔ぐらいにあのロゴ入りのオカモチバッグを携えたチャリンカーが石垣に腰を下ろして待機している。その脇をすり抜けていくチャリンコもUber Eatsだ。そう意識してみれば、走っている2輪車の3分の2はUberか出前館のデリバリーだ。そんなに注文する人がいることにも驚くが、こんなに幅広い年齢層の老若男女がデリバリーの小銭稼ぎをしていることも驚く。それと同時になんともいえず心寒い気持ちになる。

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30代ぐらいのイケイケ風の慶応SFC系の准教授クラスの何やってんだかよくわからないがヘラヘラとよく喋る系のテレビの文化人枠のタレント(ナンノコッチャ?)。大学の少子化対策的に若者受けする型にはまらないキャラ担当として大学に雇われて、二言目にはやれ、ITだのIoTだのA.IだのARだのVRだのアルファベット2,3文字出してジジババを煙に巻いた気になってる連中を最近よく目にする。言ってることは三流SF小説ぐらいのお粗末な内容だがなぜか周りはヘーコラお伺いを立てて、当人はひとり悦に入ってまくし立てているのがどうにもこうにも鬱陶しい。

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ブルームバーグの億万長者インデックスというサイトを見て呆然とした。いわゆる世界の金持ちリストだがトップ10人中7人がテクノロジー関連、残り3人の内訳はインドの財閥のムケーシュ・アンバーニー、LVMHのベルナール・アルノー、投資家のウォーレン・バフェット。それ以外は全てGAFA関連+イーロン・マスク。つまり、ここ2,30年に起業したテック起業がタックス・ヘイブンで租税回避し富を独占している。その富の象徴としてLVMHの貴族向けとも言える高級品が消費されるという構造。オールドスクールの資産家は財閥を相続したM.アンバーニーと投資家のW.バフェットの二人しかいない。なんとなくボンヤリとはわかっていてもこうハッキリと数字を目の当たりにすると世界は狂っているとしか言いようがない。映画『ウォール街』でマイケル・ダグラス演じるゴードン・ゲッコーが言い放った『Greed is good(強欲は善)』という言葉を思い出した。

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昨日の軽いショックからAmazonプライムで『21世紀の資本』をあわてて観る。トマ・ピケティの原作を元に資本主義の成り立ちの歴史と変遷の解説している。持つ者と持たざる者の格差と分断。まさにニール・ブロムカンプ監督のSF映画『エリジウム』のようなディストピアな未来しか想像できない歴史の事実を突きつけられるともう絶望しかないのだけれど、あと20年はその絶望の時代に付き合わなければならないのも事実。とすればどう立ち回れば良いのか?世知辛い世の中は当分つづく。『21世紀の資本』の後半で、かつて動力として大量にいた馬が産業革命以後の機械動力へのシフトと共に減少したのを例えに、人間もまた馬と同じ道を辿る可能性を示唆していたのが笑えない。

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