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BCN 視点 #4 「情報化が進む韓国」 (2004年8月30日)

 先月、ある調査団に参加して韓国の情報化の現状を視察してきた。噂には聞いていたが、韓国政府の情報化は予想以上に進んでいる。

 たとえば、地下鉄の駅構内、銀行、デパートなどに設置されたKIOSK端末から、簡単に証明書類の交付が受けられる。電子自治体のモデルケースとして取り上げられることが多いソウル特別市の江南区では、区内63か所に103台の行政KIOSK端末が設置されている。端末はインターネット経由で行政データベースにつながっており、住民登録謄抄本や土地台帳、課税証明書など17種類の証明書類が発行できる。利用方法は簡単である。住民登録カードを差込み、必要な証明書の種類をタッチパネルから選び、本人確認のために指紋認識装置に親指をあてる、表示された料金を投入すると端末から証明書類がプリントされて出てくる。慣れれば30秒くらいで操作できるだろう。料金は証明書の種類によって異なるが、住民登録抄本で450ウォン(45円)だった。

 2002年2月からはインターネット証明書類発給システムも稼動しており、自宅からインターネット経由で土地台帳などの11種類の証明書も交付可能になっているという。

 調達庁では、政府調達(建設土木作業と物品・サービスの調達)のために構築されたGePS (Government e-Procurement System)の説明を受けた。2002年10月から運用を開始したシステムであるが、現在、政府調達のほとんど(入札案件では92%)がGePSを利用しており、その取扱金額は年間36兆ウォン(3.6兆円)に達している。GePSにアクセスすれば、地方自治体を含めた政府の入札案件のほとんどを知ることができ、入札条件を満たす企業であれば、簡単にインターネットで入札に参加できる。開札後には入札企業と入札金額に関するすべての情報が公開されている。また、入札案件だけなく、随意契約の情報についてもGePSを通じて情報公開が行われている。

 日本では2001年1月に「5年以内に世界最先端のIT国家となる」という目標を掲げてから、すでに3年半の歳月が経過した。国民や企業が情報化による利便性を実感できる日はいつ来るのだろうか。 

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