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BCN 視点 #20 「グリーンITとソフトウェア」 (2008年10月27日)

 10月6日に開催されたコンピュータソフトウェア協会(CSAJ)が主催する「CSAJグリーンITセミナー」は予想以上に面白くかつ大盛況だった。CSAJの専務理事としてパネルディスカッションのファシリテーターを務めたので「手前味噌」と思われるかもしれないが、基調講演の「日本政府におけるグリーンITへの取組」(講師は経済産業省情報通信機器課の高濱航課長補佐)はもちろん、クオリティとインターコムからのグリーンITへの取り組み事例も、とても好評だった。

 おそらくグリーンITが、IT業界にとって重要課題であることに異論はないだろう。しかし、一般的に電力を消費しているのはコンピュータ本体やディスプレイ、ハードディスクなどであるため、グリーンITにおけるソフトウェアの重要性についてはあまり認識されていないように思う。

 今回のセミナーで分かったことの一つは、CPUなどのハードウェアやOSに備わっている省電力機能を引き出すのはソフトウェアであるという点だ。これは、パネラーの一人、オービックビジネスコンサルタントの和田成史社長が強調したポイントでもある。和田社長は、新しい「奉行シリーズ」がインテルのCPUとマイクロソフトのサーバー用OSの持つ省電力機能をフルに発揮できるように設計されていることを例として示し、グリーンITにおけるアプリケーションの重要性を指摘した。

 インテルのマーケティング本部デジタル・エンタープライズ・グループの徳永貴士統括部長は、アプリケーションソフトによるエネルギー消費の可視化の重要性を強調した。「測定できないものは管理できない」という工学の原則に従えば、まず、測定することが重要である。そしてそれを利用者に見えるようにすることによってグリーンIT推進の意識を高めることができるに違いない。

 米マイクロソフト社の最高環境責任者であるロブ・バーナード氏は、情報化による業務の効率化、省資源、省エネルギーを実現することの重要性についても言及した。これは、グリーンITを考えるうえで最も大きな視点に立ったものだと言える。グリーンITをIT機器の電力消費を減らすことだと捉えずに、ITによって企業活動や日常生活でのエネルギー消費を減らすこともグリーンITだと考えようという指摘だ。そう考えれば、ソフトウェアが地球環境保護に果たす役割は無限と言えるくらい大きい。

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