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BCN 視点 #53 「ストライクかボールかを秒速判定」 (2014年10月30日)

 プロ野球のレギュラーシーズンとクライマックスシリーズが終了した。ペナントレースでセ・リーグは読売ジャイアンツが、パ・リーグは福岡ソフトバンクホークスが優勝した。筆者が応援する阪神タイガースは、2位に終わるも日本シリーズの挑戦権を得た。

 今季、野球のテレビ中継を見ていて気になったのが審判の判定である。気のせいか、ボールが先行しているときにはストライクゾーンが広くなり、ストライクが先行しているときには狭くなる。どうもスッキリしない。最近はビデオ判定が導入されているが、本塁打や外野フェンス際でのプレーが対象であって、投球の判定はビデオ判定の対象ではない。メジャーリーグでも、今季からビデオ判定の適用範囲が大幅に拡張され、ほとんどすべてのプレーでビデオ判定が可能となったが、やはりストライクかボールかの判定だけは球審に任されている。

 投手の投球を公平かつ正確に判定する方法はないだろうか。そこで思い出したのが、サッカーのワールドカップのブラジル大会で導入されたゴールラインテクノロジー(GLT)である。GLTは、複数のカメラで異なる方向から高速度撮影した画像を解析し、1秒以内にゴールを判定、主審が腕に装着した腕時計型の受信機に判定結果を伝える。これと同じような技術を使えば野球の投球も瞬時に判定することは可能なのではないだろうか。

 ネットで検索したところ、3台の高速追跡カメラの映像を使ってボールの軌道やスピードを解析する米Sportvisionの「PITCHf/x」という装置を見つけた。これを使えば、マウンドから本塁までの球速、リリースポイント、スピン量を計測するとともに、ストライクゾーンを通過したかどうかを判定できる。メジャーリーグでは、数年前から各球団の本拠地にこの装置を導入している。ただし、球速はリアルタイムで表示されるが、投球の判定には利用されていない。データは事後的に利用され、球審判定の正確性向上に役立てているのだそうだ。

 そこで提案なのだが、日本でもこのような装置を全球場に導入して、リアルタイムでストライクかボールかの判定を球審に伝えるようにしてはどうだろうか。ビデオ判定という仕組みを是とするのであれば、最先端のITも活用すべきだと思うのだが……。

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