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キャリアと未来に思い悩む人達へ②
これまでの延長線にはない世界を生きている。
と刺激的な書き出しの文章と出会ってから、若い人と話す機会があっても「自分の時はこうだったよ」と語ることがあんまし役に立たないじゃないかと思っている。
でもインターネットで仕入れたような誰でもアクセスできる一般論をその人に話したとて「こいつに話すよりGoogle先生に聞いた方がいいんじゃない」と思われても面白くないなぁとも思う。
相談者からお金を貰っていたりフォロワーが欲しいなら、マーケティング的に「その人の望む回答」を上手く散りばめて肯定してあげたらいいんだろうけど、何を伝えるのが正解なんだろうか?と思い悩む時がある。
色々考えたりもするけどキャリアや将来に悩む人に対して私の答えは割と一択です。
頼むからHIPHOPを聴いてくれと
HOPHOPの中でもポエトリーリーディングって伴奏に合わせて詩を朗読するようなスタイルのラッパーの神門(ごうと)さんの曲「夢をあきめて現実を生きます」というなんともド直球なタイトル
しかも1曲が12分くらいあるメチャクチャ長い曲なんですけど、短編小説を読んでいるかのようなメリハリと疾走感があって割と聴けてしまうので悩んでる人はポチッと再生ボタンを押してほしい。
そして黙って自己と向き合って見てほしい。
聴く時々でハートを掴まれる場所が違うんだけど私が好きなのはこのエピソード
履歴書用にマシな坊主にしてもらおうと行った床屋さん。
年季の入ったハサミをもったおじちゃんが話してくれた話。
兄ちゃん就活か頑張りや、仕事は最低10年続けてみなものにならんから入ってすぐ諦めたらあかんよ。
後ろで奥さんらしき人が優しそうに笑ってた。
おじちゃんが初めてハサミを持った時も2人は既に出会ってたのかな。
仕事は10年か。
ラップやったらならあと3年やったのに。
また振り出しか。
この床屋のくだりがなんか知らんけど毎度染みる。地元の市役所に転職してった後輩もこのパートが好きだった。
「仕事は10年」なんて信じてても、視聴率や好感度を考えると積極的に言う人なんてあんまおらんところを「ふと、入った床屋」で言われる展開。
この曲の冒頭、神門がラップ辞めようかと悩みだしたキッカケの一つ「結婚」への回答である「後ろで奥さんらしき人が優しそうに笑ってた。おじちゃんが初めてハサミを持った時も2人は既に出会ってたのかな。」ってフレーズがさりげなく何が大切かを教えてくれる。
ただこの曲は私はハート掴まれるけど、結婚が現実を帯び始めた時に食っていくために仕事をどうするか悩んでいる歌なので、これくらい追い詰められておらずキャリアアップとか、もっと面白い仕事と出会いたいって人にはあんまり刺さらないかもしれない。
と言うことで
そんな人にはこの一曲
同じく神門さんの「一握り」
14分もあるこれまた長い曲なんですけど、不思議と聞けてしまうくらい物語に引き込まれる。この人、短編の小説家になれるんじゃないってくらい言葉のセンスと物語を作るのが上手い。
好きなことしてそれで食べていける人なんて
その中でもほんの一握りの限られた人たちだけなんだから
その一握りであるわけないねんから
ちゃんと現実を見て真面目に働きなさい
という音楽で生きていくことを夢見る青年が、良識ある大人たちから言われたであろう言葉から物語が始まります。
曲の中で神門さんがラップに出会って、引き込まれてステージに立つようになって、CDも出してそれだけでも食えなくて「自分で飯を食えるようになった」と言えるようになって良かったとサクセスストーリーは続きます。
そして冒頭の良識ある大人の言葉に対するアンサーとも言えるリリックにまた喰らうわけです。
ようやくわかったことがある
その道を突き進んだ先にあるのは
一握りどころか食える食えんに関わらず
自分にしか用意されていない一人だけの境遇で
どこまでいっても安心なんてものはなく
常にそこまでを一気に食い潰す怪物と隣り合わせで
そいつとドツキ合いながら
日々は過ぎ去っていく
映像見ると、怪物とドツキ合いながら創作とパフォーマンスに向き合ってる感がすっげー伝わってくる。
キャリアに悩む時があるのはわかるけど、何かなりたいものや、やりたいことがあるなら全力でできることをやってとしか言えんよね。もちろん会社の環境・状況・家庭・住む場所・働く時間とか物理的に調整した方がいいことはキャリアカウンセラーと話すのが良いと思う。
ただ「モヤっと、自分は何をしたいんだろう、もっとできることがある」ってキャリアップの選択肢の幅が広いような人はHIPHOP聴いてほしいな。
そこでの気づきが何があったか
きっとそれを言葉にしてみたところで
それは俺の気づきを伝えることにはならず
経験を通して気づいて
初めてその気づきは実践で使える
宝を探す道のりが宝つー話じゃなく
道のりがあってこその宝
同時にこうとも言っているので、言葉ではもちろん限界がある。
その人がチャレンジして上手くいったり、上手くいかなったりで経験を重ねていくしかない。何年か経って、あの時と今でこの曲に対する見方・聴き方がどう変わったか聴いてみたいな。
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