【読んだ本】 意思決定の行動経済学/ダニエル・カーネマン他
この本を一言で言うと...
認知バイアスを見抜き「正しい意思決定」をするための12の質問が学べる本
読んで学んだことは...
① ビジネスの場で意思決定する際、認知バイアスのせいで判断が歪んでしまっている。
● 人間の思考は2種類ある。直感的な思考の「システム1」と合理的な思考の「システム2」。システム1は時に認知バイアスを引き起こし、意思決定に悪影響を及ぼす。
● 認知バイアスに陥っていることは、自身では気づくことができない。
● そのため、合理的思考(システム2)によって他人の直感の欠陥を指摘し、組織的に認知バイアスを削減していくことが必要。
② 意思決定時に認知バイアスを明らかにする12の質問
● 利己的バイアスのチェック
提案しているチームが「私利私欲にかられている」と疑われる理由はないか?
● 感情ヒューリスティックのチェック
提案チームは、その提案に惚れ込んでいるか
● グループシンクのチェック
チームの中に反対意見があったか。それは十分検討されたか。
● 顕著性バイアスのチェック
数少ない過去の事例が、状況の分析に大きな影響を与えていないか
● 確証バイアスのチェック
提案には信頼できる代替案が含まれているか
● 利用可能性バイアスのチェック
1年後にこれと同じ意思決定を繰り返さなければならないとしたら、どのような情報が必要になるか。それを今入手できるか。
● アンカリングバイアスのチェック
数字の出所を承知しているか。根拠のない数字はないか。特的のアンカリングを用いる動機があるか。
● ハロー効果のチェック
他分野で成功した人や組織・手法が、他の分野でもうまくいくと考えていないか。
● 埋没費用の錯誤、授かり効果のチェック
提案している人たちは過去の決定にこだわりすぎていないか
● 過信・計画錯誤・楽観的バイアス・ライバル軽視のチェック
計画が楽観的すぎないか。視野が狭くないか。ライバルの反応を予測できているか。
● 最悪の事態に備えているかどうかのチェック
最悪のケースは本当に最悪か。
● 損失回避のチェック
提案しているチームは用心深すぎないか。
読んで思ったことは...
システム1が重要となる意思決定の場もある(提案チームの意志や情熱を重視する意思決定など)。この本のような認知バイアスチェックは、より重要で大規模な案件の意思決定で実施するのが良さそう。
一方で、普段の思考においても「先入観にとらわれていないか?」「楽観的すぎないか?」「忖度されていないか?」「私心がないか?」という簡易なチェックは心がけたい。