見出し画像

【読んだ本】 サービスデザイン/Andy Polaine

この本を一言で言うと...

既存サービスのサービス体験を改善するための考え方と手法が学べる本

読むべき人は...

① サービス全体の体験設計に力を入れたいプロダクトマネージャー

② 機能別の縦割り組織をうまく連携させたいプロダクトマネージャー

③ より大局的な視点でユーザー体験を設計したいUXデザイナー

読んで学んだことは...

① サービスは「複数のタッチポイントにおける顧客とのインタラクション」で構成される。

顧客は、個別のプロダクト・機能を気にしているわけではなく、複数のタッチポイント(Web・アプリ・広告・口コミ・紙媒体…)を通して、サービスを認識する。

② 縦割り組織(サイロ型組織)を連携させ、パフォーマンスを高める。

プロダクトや機能に沿って別れている縦割り組織は、顧客にサービスを提供する上で理に適っていない。組織全体のパフォーマンスを高めることで、サービスの価値を高めなければいけない。
1人1人の演奏力の向上とともに、他のメンバーとの調和を保ち拍子を合わせなければいけないロックバンドのように。

③ コンテキストを意識した利用状況に焦点を当てて、インサイトを導出する。

サービスデザインのプロジェクトの多くは既存サービスの改善である。満たされない課題などに目を向けるのではなく、現状の利用状況における課題に焦点を絞って、インサイトを導出する。その際、顧客のコンテキストを意識して各タッチポイントを大局的に調査する。

④ ブループリントによって、最適なタッチポイントと組織の活動の在り方を整理する。

プループリントとは、全タッチポイントにおける顧客の体験と、それに対応した各組織の活動を図示したもの。特に重要なタッチポイントの流れ(ユーザージャーニー)を見つけ、そこでの体験や組織の活動を改善する。

読んで思ったことは...

① 思いのほか読みやすい本で 、一気に読んでしまった(表紙の雰囲気が、洋書独特の読みづらさを醸し出していた...)。
この本は「既存サービスの改善」について書かれた本であり、ゼロから新しいサービスの体験を設計していくノウハウについては書かれていなかったので、その点だけ注意(それについては「サービスデザインの教科書」の方が詳しい)。
ただ、今あるサービスをどのように改善していけば良いかについて、とても参考になる情報が多かった。

② この本の要点は、以下だと理解した。

・複数のタッチポイントを最適な流れで連携させよう。それに伴って、縦割りの組織をやめよう。
・調査によって、サービスの全体像・課題・インサイトを導出しよう。
・ブループリントによって、それらを整理しよう。
・問題があるタッチポイントに焦点を当てて、改善しよう。

わかりやすいし、実践してみようと思うものの、以下については疑問や物足りなさが残った。

・問題があるタッチポイントが導出できたとして、それをどのように改善するのか、どのようにアイデアを生み出し、形にしていくのか、についての記載がほとんどなかった。
・既存のサービスの問題点を、タッチポイント単位で把握しているスタイルなので、タッチポイントを跨いだ体験の改善や、体験全体を一から組み直していくという思考やアプローチが少ないように感じた。

実践する際は、上記の点に気をつけて、他の本などの情報と組み合わせながら進めていくと良さそう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?