勉強コラムVol.03 睡眠不足は「システム思考」で解決!
少し前、授業中に明らかに疲れが顔に出ている生徒さんがいました。
授業中は頑張って勉強してくれるものの、明らかに普段よりもケアレスミスが多い。
しばらくそんな状態が続いていたので、授業終わりに理由を聞いてみることにしました。
すると部活が忙しいのと課題(学校も塾も)が増えて睡眠時間が犠牲になっているということでした。
その子は「今日は良く寝るようにします」と言って帰ったのですが、しばらくしても、やはり大きな改善は見られませんでした。
問題解決の方法論の一つに、「システム思考」という考え方があります。
目の前の「課題」を、個別の内容と捉えるのではなく、様々な要因の中で起こるものとして原因の特定、解決策の模索をしようとする考え方です。
たとえばシステム思考では、「渋滞を解決」するためにその問題に直接効きそうな「道路の拡張工事」という選択肢を取るのではなく、渋滞が生じる仕組みを書き出して、渋滞を発生させる仕組み自体を解決させようというアプローチを取ります。
(因みに道路を拡張すると、一時的に渋滞が改善されても、多くの場合で、やがて渋滞が発生するようになるのだそう…)
システム思考の観点から先の生徒さんの「睡眠時間」について考えると、以下のようなループが考えられます。
「作業量の増加」→「睡眠時間の減少」→「作業効率の低下」→「作業量の増加」→…
本人の話を聞く限り、睡眠時間の減少のきっかけは作業量の増加にありました。
急にそれまでの量よりもやらねばならぬことが増えたために、睡眠時間を削り、その結果作業効率が落ち、やるべきことが増えるというループに陥っていたのです。
このようなループができあがっている状態では、いくら「今日はたくさん寝る!」という対策を打ってもあまり効果がありません。
そもそもやらねばならない作業量が自分のキャパシティを超過しているため、しばらくすればまた睡眠時間を削るという選択に行き着いてしまうからです。
この問題を解決するには、根本原因になっている「作業量の超過」に対して何かしらのアプローチする必要があります。
そこで、その生徒さんと現状の時間の配分や、やらなければならないことにかけられる目標時間等を整理することにしました。
先ほど挙げた負のループが改善され、やがて眠たそうな表情もすっかり無くなりました。
睡眠時間を削ってでも直近の課題を解決しようとすることが、さらなる問題を発生させるというように、目の前の問題いっぱいいっぱいになって、結果として長期的には悪手となる方法を選んでしまうということは少なくありません。
受験勉強をしていて、直近の模試の点数が上がらないことが不安で計画を曲げて「模試の対策」をしてしまうというのはこの典型です。
ある問題に対して講じた対策が結果として負のループを作り出しているのでは元も子もありません。
勉強習慣を改善したい場合、根本原因を特定し、問題を取り除くことが重要なのです。
上に書いた生徒さんのように、「睡眠不足」で悩んでいる方はいませんか?
もしいたら、「システム思考」で睡眠不足に向き合ってみて下さい!