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2024年、バイクはどうなる?

新年あけましておめでとうございます。
2024年は元旦早々に能登半島地震が発生し、翌2日には羽田空港で旅客機と海上保安庁機が衝突事故を起こし、更に3日には秋葉原駅で連続殺人未遂事件が起こり、非常に悲しい幕開けとなってしまいました。
震災・火災・事件で被害に遭われた方々のご無事とご快復、一刻も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
 
そんな2024年ですが、バイク界ではいよいよ電動化の波が市販モーターサイクルにまで本格的に押し寄せつつあります。一方国内では、法改正により「原付」の在り方が大きく変わる一年になりそうです。
本項では、それぞれ項目を分けて触れていきます。


①国内の電動モーターサイクルはどうなる?

カワサキ Ninja e-1(2024)

日本国内の電動モーターサイクルを語るにあたって外せない存在が、昨年の記事でも触れた「Ninja e-1 / Z e-1」です。
遂に2024年国内発売!なのですが、カワサキ自身が「コミューター」と銘打っている通り…最高速度・航続距離等の性能はコミューターの枠を出るものではありません。しかし、EVならではの豊かなトルクを活かした緊急加速ギミック「E-BOOST」を搭載したり400cc級の車格+カッコいいエクステリアだったりと、カワサキらしい遊び心やワクワク感の追求がちゃんとあるのは好印象ですね。

現在のEVにおける最大のネックとなっている航続距離は55km (ROADモード、60km/h定地走行値、1名乗車時 ※公式サイト記載)となっており、カワサキ独自規格と思しき着脱式バッテリーを2個搭載している仕様上、現状では道中で「継ぎ足し充電」しながらの航続距離延伸は一手間掛かりそうです。
カワサキディーラーで有料バッテリー交換サービスとかやってくれたら有難いんですが。

Ninja e-1で福岡市内から福間海岸方面に行った場合の距離。
渋滞でのんびりエコ走行になりがち点も加味したが、それでも恐らくギリギリ。

福岡県民以外にわかりづらい図解で申し訳ないですが、Ninja e-1で福岡タワーやPayPayドーム等のある百道浜を出発し、元祖長浜ラーメンをすすって箱崎のマンガ倉庫をぶらついて新宮のIKEAに寄って福間海岸そばのライダーズカフェ「DAY TRIP」さんでヒャッハーして帰る位が恐らくは限界です。
メーカー公称値に従えば新宮のIKEA辺りで引き返すのが現実的でしょう…
あれ?充分楽しい……???
 
航続距離こそ50cc級内燃機関スクーターにすら劣りますが、ゆったりした400cc級の車体で快適にエコランできるのが本車輌の強みといえるのかもしれません。あと、次世代の充電池が登場して航続距離の問題を解決できたら「化ける」可能性も秘めています。

カワサキ Ninja 7 Hybrid(参考出品車)

一方、同じくカワサキが開発を進めていたハイブリッドバイクも遂に市販前提と思しき姿で登場しました。
この「Ninja 7 Hybrid」は名前こそ7ですがエンジンは並列2気筒451cc、海外モデルのNInja500のものをベースとしており、電動モーターを併用したパワーが「700cc級」ゆえの「7」なのだそうです。エンジン+電動モーターを併用してパワフルに走れるストロングハイブリッドです。
 
こういう付加価値的なストロングハイブリッドはクルマの世界では珍しくありませんが、バイクでもやってしまう辺りが攻めのカワサキですね。
スーパーチャージャーといいストロングハイブリッドといい、カワサキのロマン追求は昔も今も変わりません。
だがA1とかマッハのCDI、お前はダメだ
 
ともあれ、市販スケジュール発表が楽しみな一台なのは間違いありません。
 
既に海外メーカーからは少なからぬ種類の市販電動モーターサイクルがリリースされていますが、国内4大メーカーならではのクオリティと安心感ゆえ、筆者としてはカワサキのみならずヤマハ・スズキ・ホンダにも期待しています。
 
一方、内燃機関(ICE)搭載バイクはといえば…昨年に続き「二極化」が進むと思われます。

カワサキ W230(2024)
同一エンジンのKLX230と同様、インドネシア製

大型バイクが国内外メーカー問わず賑わう現状は変わらず、400cc以下のバイクは国内メーカー製品であっても海外生産されるグローバルモデルが輸入販売される傾向が続くでしょう。

ハーレーダビッドソン X350(2023)

今やハーレーすらも中国製ミドルクラスバイク(ベネリブランド中国製バイクの事実上の姉妹車)をグローバル市場に投入するようになった時代です。
ハーレー、昔アエルマッキの2ストバイクも売ってたもんね…
 
かつて国内メーカーが国内生産・販売した超絶メカ満載の250〜400cc級バイクが道に溢れかえっていた時代に青春を過ごしたおっさんライダーのひとりである筆者としてはちょっぴり寂しい気持ちこそありますが、変な偏見に囚われる事なくバイクを楽しんでいこうと思います。

②原付ファン期待の新星!eチョイノリ爆誕!?

スズキ eチョイノリ(参考出品車)

ジャパンモビリティショー2023にていきなり現れ、スズキファンと原付ファンに大きな衝撃を与えた「eチョイノリ」。2024年はこのスズキスピリットの塊のような愛らしい電動スクーターの市販スケジュールから目が離せません。

eチョイノリについては上の過去記事にて触れているので詳細は省きますが、汎用機エンジンを転用して頭おかしいコストダウンを実現した先代チョイノリに続き、今回はパナソニック製電動アシスト自転車のパワートレーンを転用していますので、市販にあたっての技術的なハードルやバッテリー充電・交換がリスクとなる可能性は低いと思われます。

ジャトコ製変速機

個人的に気になるのは、eチョイノリのためにジャトコと開発中のコンパクトな変速機構です。恐らくは簡素な無段変速機構(CVT)かと思われますが、こういうシンプル&コンパクトな変速機構を見るとムズムズしてしまう性分なので…
(だからラビットのトルコンAT機構とか大好き)
とにもかくにも市販して欲しいですね。買いますから。

③原付一種免許で125ccに乗れる?

昔の125ccは最高出力22ps、140kmメーターを余裕で振り切るパワーがあった。
こんなもんに原付一種免許で乗れる…わけもなく。

環境問題対策に伴うバイク開発費の高騰から新しい50ccバイクの国内開発が困難になって久しい中、原付一種で乗れるバイク(新車)を確保すべく…遂に法改正が入る流れとなりつつあります。
 
それは「原付一種免許でも乗れるバイクを50cc縛りにせず、原付一種相応のパワーにデチューンした50cc以上のバイクも原付一種扱いにする」という内容です。
つまり、既にあちこちで誤解されており筆者もよく質問されるのですが
「原付一種免許で今ある90〜125ccバイクに乗れるようになる」訳ではありません。
 
今回の法改正で新たに乗れるようになるのは
「法改正に対応してメーカーがデチューンし、新たに原付一種として販売する50cc以上のバイク」のみです。

 
よって、法改正後に「やったー!原付一種免許でサンマル乗れる!」なんてやろうものなら、普通に無免許運転で捕まりますのでご注意下さい。
あと、どこで情報が錯綜したのか…原付一種の「最高速度30km/h規制」「二段階右折」がなくなるよね?という質問も度々受けますが、現状のままです。面倒ですがきちんと二段階右折しましょう。

ヤマハ JOG125(2022モデル)

で、原付一種で乗れる「新原付」のベースモデルですが…
恐らくは既に海外生産されている廉価な110〜125cc級スクーターをベースにエンジンをデチューンして不正改造対策を施し、原付一種相応のパワーとする可能性が濃厚かな?と個人的には予想しています。
 
というのも、多くの原付一種は「安価な庶民の足」として使われるケースが大半なので、販売価格を抑える必要があるからです。また、大幅なパワーダウンとなる関係上、比較的大柄で重いバイクは自ずとベース車から外れるでしょう。
カブ辺りは速攻で「新原付」に対応しそうですね。

④特定小型原付(電動キックボード等)の現状

電動キックボードの国内普及は現状だと限定的といえる

2023年に法改正で誕生した「特定小型原付」カテゴリ。
原付一種よりも更に低い速度域での使用を想定し、原付一種とは異なり法的に自転車扱いされる部分もある(限定的な歩道走行、二段階右折義務etc.)特異な存在でもあります。
 
何かしらの利権ビジネスが絡んでいたのでは?との憶測を生んだ程の爆速法改正で生まれた「条件付きながら無免許で車道を走れる電動バイク」ですが…2024年1月時点の福岡では、ごく一部の市街地エリア以外では普及しているとはいえません。
ただ、法改正を曲解したのかノーナンバー+無保険+無灯火、どうかしたらスマホ片手に車道を走る電動キックボードはちょいちょい見かけるようになりましたので、正直言って取り締まりをもうちょい厳しくした方がいいのでは?と感じます。

日本に先んじて電動キックボードを普及させた海外では余りの事故多発を受け対策に追われており、大々的な普及をしなかったのはむしろよかったのかもしれません。
 
「モビリティ」という言葉に踊らされがちな昨今。
本当に日本の公道に必要な乗り物はどんなものなのか、よくよく吟味した上で今後の法改正なり各事業者の展開なりを注視していきたいものです。

まとめ

以上、内容としては昨年の「2023年、バイクはどうなる?」の続報のような記事となりましたが…いくつかの大きな流れを追う形でのシリーズなのでご理解いただければ幸いです。
 
というのも、現在のバイク界における大きなキーワードである「電動化」の最大のネックにして課題であるバッテリー問題が…
〜〜〜〜〜
・国内外の情勢に伴う調達価格上昇
・現状のバッテリー性能不足に起因する航続距離の短さ
・次世代充電池の開発普及が追いついていない
・国内での電動バイク用バッテリー交換/充電拠点の絶望的な不足

〜〜〜〜〜
といった、なんとも頭の痛いシロモノを抱えており…
内燃機関バイクを楽しもうにも、お国はガソリン販売価格を真面目に抑える気もなく理不尽な二重課税を続行…という、電動バイクに乗っても内燃機関バイクに乗っても若干のモヤモヤを感じてしまう現状ゆえ、
 
どうかしたら閉塞感すら覚える「ニッポンのバイクの未来」の突破口をどこかで見つけたい!という思いがあるからです。

2024年初日の出はサンマル子と一緒に迎えた。
阿蘇・草千里にて

とか色々書きましたが、今年の正月三が日は大好きな南阿蘇でサンマル子をポンポン走らせ、のんべんだらりと過ごしていました。
それだけに、元旦の地震をはじめとしたショッキングな事件には尚更心を痛めました。増してや、その時滞在していた南阿蘇村は先の震災から復興を成し遂げたばかり。重ね重ねになりますが、能登半島地震からの早期復興を祈ります。
 
あと、来年からのこの記事では従来の「バイク情勢」のみならず、ラリー等競技やツーリング・イベントも含めた「バイク文化」にも触れていければいいなと考えています。
とはいえ筆者まだリターンライダーして日が浅く、ラリー未参戦の身!
そういう事はガンガン走って泥まみれになってから書きます^^
 
今年もあちこち旅していこうと思います。
皆さんに良い事がたくさんある2024年になりますように!

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