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ヒルシュスプルング病の話

先日、ウチの子供(4歳の娘)がヒルシュスプルング病の手術を受けました。現在は無事に退院して帰ってきています。まだ時々、手術したお腹を痛がる時もありますが、手術前と比べると諸々がだいぶ改善してきているので、本当に良かったと思っています。

ネットで検索してもこの「ヒルシュスプルング病」については学術的な記事は見つかりますが、実際にお子さんがかかられた話などを書かれているブログなどがすぐには見つかりませんでした。また、子供の便秘に悩まれている方は多そうでしたので、今回のウチの経験を少しでも共有しておくことで、今後、同様の病気を心配されたり治療される方へ情報を残しておこうと思います。

では、ちょっと遡って生まれた頃の話から。

前述のように、ウチの子は今4歳なのですが生まれた頃からずっと便秘に悩まされていました。それもただの便秘ではなく、割と深刻な感じだったので奥さんの友人経由で専門医を紹介してもらい治療を続けてきたのです。ちなみに治療と言っても、子供の便秘は成長につれて自然と治ってくることが多いので、便秘対策を毎日おこなうことが基本となります。具体的には下剤を飲んだり、浣腸したりしたりということを毎日行うのが中心でした。しかし、それでも今年の3月末には、その治療も効果を上げなくなり、お腹がパンパンに張ってしまって緊急入院することになったのです。

その際、2週間ほどいろんな精密検査を行なっていただいたのですが、結局、原因不明のまま、経過を見ましょうということで退院することになりました。しかし、その2週間後、またまたお腹がパンパンになってしまって、緊急入院することになってしまったのです。

流石にこれはまずいということでしたが、前回、CTやMRIなどを駆使した検査でも原因不明だったので、打つ手はない中、最後の最後で検査していただき判明したのがこの「ヒルシュスプルング病」だったのです。担当医の先生も「正直、この病気でなかったらもうお手上げでした」というくらい、最後の最後で判明したのでした。

自分も初めて聞いた病気だったのですが、5000人に1人くらいの割合で発生する先天的な病気らしく、通常だともっと小さな頃(生後すぐ〜半年くらい)に判明することが多いらしいのですね。なので症例として日本全体でも一年に150件ほどと少なく、しかも割合的に男子が多い病気とのこと。ウチの子の場合は重い便秘とはいえ、なんとかなってきたことと、女子だったので候補から外れて、この歳まで判明が遅れた模様です。また、過去、何度も造影剤を使った腸のレントゲンやCTも撮ってきたのですが、ヒルシュスプルング病の兆候はその時は出てなかったので、そもそも病気の候補からは外されてきた、という事だったようです。

このヒルシュスプルング病の診断方法にはいくつかあるのですが、その中でも間違いないと断定するためには腸の生検検査が必要で、小さい子の場合、全身麻酔になる手術のような対応になるためかなり高めの確証がないと、ヒルシュスプルング病を疑っての検査が実施できなかったのかもしれません。

ちなみにヒルシュスプルング病が疑われた際、まず聞かれたのが「生まれた後、どれくらいで胎便は出ましたか?」ということでした。ヒルシュスプルング病の場合、胎便が遅れる傾向があり、確かにウチの子供もの遅れてた記憶があったので「そういえば…」となったのです。

これも2度目の入院の際に撮影したレントゲンでたまたま傾向が見られたので検討されることになったようなお話でしたので、ほんと、判明してラッキーだったのかもしれません。

で、生検の結果、無事?ヒルシュスプルング病と診断され、では手術をしましょうという事になりました。ただ、親の心情からすると「これまでもなんとかなったんだし、なんとか手術なしで治療できないものか」という気持ちでしたので、その旨、質問したりしたのですが、残念ながらヒルシュスプルング病の治療は手術するしかないという回答だったのです。

ただ、その際に先生が話してくれたのが「病名があり、治療法が確立しているということは幸運な事」という話だったんですよね。確かに原因不明で病気の原因が掴めない事には、対策の打ちようがなく、入院前のように対処療法で対応していくしかないですし、治療法が確立しているということは過去にその治療法が試行錯誤されてきていて、十分な症例もあるということです。現代だと「病気は治療できて当然」と思いがちなのですが、そいう病気ばかりではなく、原因不明の病気もまだ多く存在し、先生方はそういう深刻な症状と戦われているのだなと、痛感させられたお話でした。

そして、可能な限り早めのスケジュールで手術を行おうという事になったのです。

ただ、この後も、ちょっとだけトラブルがありました。本来、手術予定だった前日になんと同じ病気の患者さんが緊急で担ぎ込まれ、そちらはもっと緊急度が高いとのことでしたので、手術の順番をお譲りし、ウチの手術が遅くなる事になりました。本来だと数週間、遅れそうだったところでしたが、なんとか1週間後のタイミングで実施してもらえるようになりました。かなり各所と調整していただいたのではないかと思っています。

その延期を経て、いよいよ手術の日がきました。大腸の手術になるので、2日前から子供は絶食状態。朝から8時間以上にわたる手術を終え、無事に病室に戻ってきた子供に会えた時は感無量だった事を覚えています。しかも、すでに意識はあり、健気に話もしてくれたので、子供ってすごいな!と実感しました。

その後、3週間ほどの入院を経て、無事退院にすることができたのです。その間の看護師さんや先生方の丁寧なご対応には、思い出しても頭が下がるばかりです。本当に、感謝しかありません。

また、東京都の「乳幼児医療費助成制度」のおかげでこれだけ大病を患い、大手術をしたにもかかわらず、医療費ゼロ円なのは本当に素晴らしいと思います。(補足すると、入院時の食事代はかかりましたが、それだけでした)

よくメディアなどで「日本は子育てが難しい、辛い」というような話を聞きますが、自分のこれまでの感覚としては全くそんなことはなく、数々の助成制度や支援が整っているため、特に医療に関しては全くお金がかかりません。休日の診療所も何度か利用しましたが、ちゃんと整備されていて安心できます。もちろんこちらも無料です。これはとてつもなく素晴らしい事だと思っています。自分は日本での子育てにとても満足していることを最後に書き添えて、終わりにしたいと思います。

子供の便秘について、不安をお持ちの方々に少しでも参考になりましたら幸いです。

最後までお読みいただきまして、大変ありがとうございました。

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