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パレットクラブ絵本コースはじめました 第15回 編集者 松田素子さん

今回の講師は編集者の松田素子さん。雑誌「月刊MOE」の創刊メンバーであり、同誌の編集長を務めた後、フリーランスとして多くの作家や絵本の誕生に関わってきた方です。

今回の講義は『自分にとって、「これこそ絵本だ」と思える本や「これを見て絵本というものに興味を持った」という絵本を用意してください』とのことでした。

原点であり、故郷

torisunが選んだ絵本は新美南吉 作、黒井健さん絵の『ごんぎつね』。

私にとって絵を描いたり、創作したりの原点は新美南吉なんです。というのも、私は彼と同じ愛知県の半田市『岩滑(やなべ)』生まれ。小学校も同じ母校の岩滑小学校。そこでは南吉の授業が週に何度かあって、クラスのみんなで南吉カルタを作った時に私は色鉛筆で『でんでんむしのかなしみ』を描きました。出来が良かったのか南吉の資料がまとめてある南吉部屋に飾ってもらえることに。中学校の時もクラス対抗のステンドグラスの絵柄のデザインを南吉の童話で再現して優勝。大学の卒業制作も半田市を新美南吉作品で町おこしするのをテーマに取り組み、その年の卒業制作優秀賞を受賞。褒められたり、自信に繋がった時、私の近くには必ず新美南吉作品がありました。

作品集31

作品集3

(実際の大学の卒業制作。もう10年以上前だなんて恐ろしい・・・)

いつも気付くと新美南吉作品があって、自分が小学生の頃にできた新美南吉記念館には、今では2人のこどもを連れて月に1回は遊びに来るように。
南吉作品はどれも大好きだけど、中でも好きなのが小学校の教科書にも掲載されている黒井健さんの『ごんぎつね』。南吉の良さは土臭さというか田舎っぽさというか、素朴で、日本人なら感じる『懐かしさ』。黒井健さんのごんぎつねが一番、田舎の良い『懐かしさ』を感じるんです。

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(ごんぎつねの舞台になった矢勝川周辺。ちょっと枯れてるけど今年の彼岸花の様子も見に行きました)

半田で感じるもの

絵本の紹介と、今住んでいるところも合わせて発表していたのですが、半田市と言った時点で「あ!あの新美南吉の?」と松田さんに先に言われてしまいました。笑

松田さん、ちょうど愛知県安城市(南吉が女学校の教師を務めていた場所)の『南吉絵本大賞』の選考委員長も務めており、ちょうど第3回のをまとめていた最中だったらしいです。

https://www.library.city.anjo.aichi.jp/nankichitaishou/dai3kai/index.html

松田さんはもともと偕成社。このごんぎつねができるところを身近に見ていたそう。黒井さんはなかなか描けなくて半田に取材へ。半田では「夕焼けだけ見てきた」と黒井さんは言ったんだとか。どんな景色を見てきたのかな・・・

創作者なら自分の言葉と筋肉で

講義中はなるほど〜ということや絵本作家の巨匠と言われる方々のお話がたくさんで、聞いてるだけでアドレナリンが多分いっぱい出ました。以下覚え書き(メモるなと言われたけれども・・・)

『かわいい禁止令』かわいいは便利だからこそ危険な言葉。これ、かわいいねーかわいいねーで会話が成り立ってしまい、相手と通じ合ってしまっていると錯覚する。創作する人なら形?柄?色?どこがかわいいなのか?きちんと別の言葉に置き換えて伝えなきゃ。
主語のある言葉で自分の感覚を丁寧に伝えれるように。それで作品が作れる。作品は自分の中からしか生まれない。
『絵本を描く筋肉と読む筋肉』描く力だけで絵本は描けない。絵本を読む力も必要。自分のお金を出して買って、何度も読んで読んで、気付くことで絵本の力になる。すると自分で気づけるようになる。読む筋肉と作る筋肉はつながっている。

torisunが想い描く故郷

絵本を買って、読む力と描く力をつけて、torisunの作品につなげて、気に入っていただけたお金でまた絵本を買って、力をつけて…

将来的に半田に小さな絵本屋さん兼アトリエを作りたいなって思ってるんです。半田って自然な部分も多いんですが、大型書店や飲食店、チェーン店ばかりで。(嘘か本当かわからないが人口に対して飲食店が多いから生活習慣病な人が多いとか)

大学の時に『新美南吉で半田の町おこしを』と考えたのも、地元の良さや新美南吉の良さが周りに伝わりきっていない気がしたから。すごくもったいないぞ半田!って二十歳そこそこの頃、思ってました。新美南吉の世界観や夕焼けで心動かすような良さを伝えてるお店って、私が知る限り無いんです。子連れでも一人でも、気軽に絵本読んでくつろげる場所が小さくても作りたいな。そんな想いが強くなったtorisunでした。

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