とりっぽん

東京外大インド・パーキスターン語学科卒、学生時代はインドの山奥をウロウロ。1997-2…

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東京外大インド・パーキスターン語学科卒、学生時代はインドの山奥をウロウロ。1997-2001年 亭主の転勤でモスクワ在住。当初キリル文字が読めず「ресторан」を「ペクトパー」と読んで 笑われていたが、日本に帰国後は「HATO BUS」を「ナトーバス」と読んで笑われる。

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  • 映画『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』クロスレビュー

    • 14本

    ロシア語翻訳者、ライターなど複数の寄稿者による 映画『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』 のレビューをお届けします。 6月よりユーロスペースほか全国順次公開予定。 http://dovlatov.net/(配給・太秦)

最近の記事

映画『ドヴラートフ』をめぐって #3

▶「やさしい大男」の存在感 役者もみんな素晴らしかったが、特にドヴラートフ役のミラン・マリッチの「存在感」が凄かった。本人によく似ている体格のいいハンサムだが、もちろんそれだけではない。ドヴラートフを演じたというより、彼はドヴラートフとして生きていた。小説は字面に書いてあること以外にどれだけのものを伝えられるかが勝負だと思うが(チェーホフを読むとそう思う)、映画でも、スクリーン上に写っていること以外にどれだけのものを伝えられるかが重要かもしれない。その意味で、たった6日間でド

    • 映画『ドヴラートフ』をめぐって #2

      ▶映画に見る「いま」の風景 映画『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』は 1971年のレニングラードの文学⻘年たちの姿、それも「11月7日の革命記念日 前日までの6日間」に絞ってドヴラートフとその周辺を描いている。先ずこの時間の切り取り方が秀逸だ。革命記念の祝日前というのも象徴的だが、11月という季節はこの映画の舞台にぴったりだ。楽しい夏は遥か彼方、⻩金の秋もあっという間に去り、陽は翳り街からは色彩が失われていく。本格的な雪の季節を前に重苦しい曇天が続く。創作の自由、才能

      • 映画『ドヴラートフ』をめぐって #1

        ▶アレクセイ・ゲルマン・Jr の作品! ロシア映画『ドヴラートフ』のことを教えてくれたのは本郷ミッテの店⻑Wさんだったが、この映画を見たい!と強く思ったのは、チラシを見て、監督がアレクセイ・ゲルマン・ジュニアだと知ったことが大きかった。あの、アレクセイ・ゲルマンの息子。父の遺作『神々のたそがれ』を仕上げた息子。 ーー『神々のたそがれ』(2013年)を見たときの衝撃は忘れられない。どんよりと淀んだ重苦しい空気、荒涼とした風景の中で繰り広げられる阿鼻叫喚の3 時間に耐えかね、次

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