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お金よりも大切なもの

今日は少し趣向を変えて、野球選手とお金にまつわる話を。

DeNAベイスターズファン歴10数年の私。それより以前は、子供の頃からずっと巨人ファンでした。FA(フリーエージェント)制が導入されて以降、毎年のように他球団で活躍した選手を高額年棒の契約で次々と獲得していくのを見て巨人を応援する気が徐々に無くなりました。巨人ファンの人、ごめんなさい。別に巨人をディスりたいわけではありません。笑 

全然良いんですよ、そういう制度なので。それまでの自分の成績を他球団から評価してもらって、年棒の条件など納得の上で契約が成立するのですから。それにしても、お金がある球団はすごいなと思うのです。今もそうですけど、特に一時期(2000年前後)の巨人は、他球団の四番打者をごっそり獲得してオールスター軍団みたいな選手層だった。何度も言うようですが、全然良いんです。選手だってより多くの年棒を貰いたいと思うのは当たり前でしょう。

そんな中、”お金よりも大切なもの”を選ぶ選手もいました。私の中で印象に残っている3人のお話を少し紹介したいと思います。

プロ野球自体が、親会社の広告宣伝部門だ!というご意見は、ちょっと横に置かせていただくとして。(^^;)


ファンへの想いと不屈の精神

1人目は横浜一筋25年、通算172勝の三浦大輔投手(現DeNA監督)。1998年に日本一に輝いた(当時球団名:横浜ベイスターズ)後、長らく低迷するチームの中でエースピッチャーとして奮闘。2008年シーズンオフに2度目のFA権を獲得(1度目は残留)した。次年の去就が注目される中、阪神が高額の複数年の契約をオファー。三浦投手の心はかなり揺れていたと思う。

奈良県出身であり、子供の頃から阪神ファン。ベイスターズが残留のために提示してきた金額よりも阪神の提示額の方が高かったことと、当時のチーム戦力を考えれば優勝も狙える阪神。強いチームに移籍して優勝・日本一を目指したいという思いがあって当然であり、しかも年棒も上がるのだ。ベイスターズファンの多くは半ば諦めていたと思う。それでもファンは僅かな望みと心の声を11月に行われたファン感謝デーで三浦投手に向けた。「横浜に残ってほしい」「阪神に行かないで」

11月30日、注目の記者会見。三浦投手の決断は阪神ではなく、横浜だった。そこで彼が語った言葉は『いろいろ考えて、最終的に自分がどうしたいのか? 野球を始めたころから、強いチームを倒して優勝したいという気持ちが一番強かった。(中略、そして最後に)・・・横浜が好きだからです』

もちろん、これを聞いて私が泣いたことは言うまでもありません。驚きとともに嬉しかった。お金よりも、子供の頃から憧れている球団からの誘いよりも、自分を支える多くのファンがいる横浜を選んだ。このチームで優勝を勝ち取りたい。熱いものがこみ上げてきて涙を堪えることはできなかった。お金で戦力を整えて強い巨人よりも、強い相手を倒そうと頑張ってる弱い球団を応援したいと、ベイスターズに鞍替えしていた自分の気持ちと被るものがあってさらに嬉しかった。


チームへの愛と男の美学

2人目は広島カープでエースとしてチームを支えた黒田博樹投手。2006年オフにFA権を獲得するも行使せず広島に残留した。当時の広島はFAによって主力の選手が他球団に移籍したことで、長く低迷していた。その黒田投手に対しても、巨人や阪神が高額の複数年契約のオファーを出していたが、彼が選んだのは他球団よりも提示額の少ない広島だった。

黒田投手は会見でこう話している。『僕をここまで育ててくれたのはカープです。そのカープを相手に目一杯ボールを投げる自信は正直なかった』 お金よりも、強いチームでの優勝よりも広島への愛着が上回った。

これにはまだ続きがあって、黒田投手は翌年の2007年オフ、以前からの夢であったメジャーリーグへ挑戦します。移籍する際に「自分が再び日本に戻ってくる時はカープでプレーする」という約束をして。

ドジャース、ヤンキースで7年間プレーし79勝を上げ、2015年に広島へ復帰した。実はこの時も、メジャー球団は破格の複数年契約を提示したにもかかわらず、黒田投手はそれを蹴って遥かに年棒の安い(と言っても4億円!)広島を選んだ。メジャー在籍時に長期契約のオファーを断り続けてきたのも「最後は広島カープで」という思いがあったから。メジャー移籍前に宣言した”約束”を守った。

これだけでも黒田投手の男気に涙ものだけど、さらにスゴイのは、広島に復帰した1年目、40歳の年齢を全く感じさせない肉体、投球術、精神力で11勝、翌年も10勝をマークして広島を25年ぶりのリーグ優勝に導いて引退。自らの花道を飾った。必ず戻るという約束だけでなく、チームを優勝に導き若者に道を示して自らは身を引く。彼の男の美学は、カッコ良すぎて惚れました。(日米通算:203勝)


日本で才能を開花させたスラッガー、忘れぬ感謝の心

3人目は2018年に入団していきなり本塁打王、2019年は2年連続本塁打王と打点王を獲得したDeNAベイスターズのネフタリ・ソト選手。メジャーリーグではシンシナティ・レッズでプレー経験があるものの、多くの期間をマイナーリーグで過ごす無名選手だったが、2017年のシーズンオフにDeNAの入団テストを経てチームの一員となる。

翌2018年は春に怪我で出遅れたが、5月から1軍に合流するとホームランを量産、デビュー年に41本で本塁打王に輝く。翌年も勢いはそのまま、本塁打43本、108打点で圧巻の2冠を制した。明るいキャラクターでファンも多く、ベイスターズには欠かせない存在となる。3年目の2020年はコロナの影響で試合数が少ない異例の年だったが、チームトップの25本塁打、78打点の活躍を見せた。

豪快なスイングから放たれるホームラン、悠然と力強くダイヤモンドを一周する姿がカッコ良く、私が大好きな選手だ。

2019年からの2年契約が切れる2020年のシーズンオフ、ベイスターズファンの心境は穏やかでは無かった。あの巨人やメジャー球団がソト選手獲得に動いていたからだ。中でもニューヨーク・メッツは2年で10億円超のオファーと報じられていた。メジャーに戻れるチャンスだろうし、こんなに大金を積まれては、きっと残留は難しいだろうな思っていた。

ところがソト選手の出した答えは、ベイスターズだった。『お金が全てではない』 その決断に私はまた胸が熱くなった。ソトは無名だった自分に入団テストの機会を与えてくれた横浜に恩義を感じていた。『ベイスターズは本当に素晴らしいチームだ。自分も妻も横浜の街をとても気に入っている。ベイスターズで優勝を目指したい』

また、かつてのインタビューで『この球場(横浜スタジアム)は最高だね。僕はこんなふうに青空の下で野球をするのが何より大好きなんだ』とも語っていた。

ここにも1人、お金よりも大切なものを選んだ男がいることが嬉しかった。自分にチャンスをくれた球団への感謝を忘れず、ビッグマネーを蹴ってまで恩返しをしたい・・・日本人よりも義理堅い、恩義に厚い。今年はコロナの影響もあって3月末の開幕に間に合わず、成績も本来のものを残せてはいないが、3年契約の切れる2023年まで彼のプレーが見れることは本当に嬉しい。


※いろいろ書きましたが、もちろんFA権を行使して年棒の高い球団へ移籍することが悪いと思っている訳ではありません。選手の勝ち取ってきた権利ですので。



本当の幸せって・・・

生きていくためにお金は必要です。でもお金だけじゃ生きていけない。お金は生活に必要なもの、欲しいものを手にする為の券に過ぎない。お金は食べられないし、着ることもできない、お金そのものでは雨風も凌げない。お金でお尻は拭けますが。笑

お金は大切ではあるけれど、全てじゃない。もっと大切なものがある。”本当の友達”はお金では買えない。お金目当てで結婚しても、お金の切れ目が縁の切れ目となる。当たり前のことだけど。

どんなにお金持ちでも心が豊かでない人がたくさんいる。特にお金に支配されてしまっているお金持ちほど、本当に大切なことが見えていないし、本当に大切なものを持っていない気がする。

だから世界の超大金持ち(国際金融資本)は、自分勝手な悪しきことを考えつくのだろう。だから自分達以外の人間はまるで使い捨ての奴隷のように思っているのだろう。だから自分達にとって不必要な人々は減らしてしまえなどと考えるのだろう。そして今、”彼らにとっての善”を世界中に押し付けようとしている。

もし仮に超大富豪の人生を与えられたとしても、”人々にとっての悪”を押し付けねばならない人生なら、まっぴら御免。お断りだ。負け惜しみでも何でもなく、私はそんな人生に何の魅力も感じないし、何の意味もないと思う。

私はお金持ちじゃないが、お金では手に入れられない大切な家族がいてくれる。お金では手に入れられない大切な友もいる。辛いこともあるけれど、私は自分の人生を楽しんでいるし、自分の心は素敵なもので満たされている。

本当の幸せとは心を豊かにすることではないだろうか。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。




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