【短編小説】氷と炎の国より贈り物を
グレイリヨール!(アイスランド語でメリークリスマスの意)
常夜の国の大烏がアイスランドの知り合いに会いに行く話。下記の話と同じ世界線ですが、読まなくても読めます。
色の薄い、寒々しい空を一羽の大烏が飛んでいた。
広げた翼は掃き出し窓の端から端まで届きそうなほど大きい。羽ばたきの音は他の烏とは比べ物にならないほど力強く、漆黒の翼は尾羽の先端まで手入れがいきとどいていた。しかしその吸いこまれそうな黒に包まれた巨躯は、見る者にどこか不吉な印象を与える。もっとも彼は誰が自分を恐