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M&Aの大半は失敗すると言われます。
7、8割失敗とさえ言われます。
なぜそんなにも高い確率で失敗するのでしょうか?

私は多くのM&Aが実質的に事業再生だからだと考えています。

M&Aには、
売り手には売り手の原因
買い手には買い手の原因が互いにあるはずです。

買い手には企業を買収するほどに、
お金があるのだから、企業を経営する上での問題なんて無いんじゃないのか?と思うかもしれません。しかし、お金があれば全て解決するほど、企業経営は簡単なものではないのです。

M&Aを検討する買い手企業の課題は、
お金が余ってる?成長性に限界?自社で新規事業ができない?
といった課題があります。致命的な課題では無いかもしれませんが、企業経営を長期的に考えた時、無視できる問題でもありません。

余剰資金の活用新たなエリアへの進出経営スピードを重視といったポジティブワードで買い手の問題を打ち消します。

M&Aを検討する売り手企業の課題は、
将来性に陰り?後継者難?経営者の高齢化?
といった課題があります。問題がない企業であればそもそも、売りたいとなんて思いません。

経営ポートフォリオの見直し会社資源の有効利用第二の人生にチャレンジするためといったポジティブワードで売り手の問題を打ち消します。

売り手も買い手も問題を抱えてM&Aをする理由を垣間見て頂けたでしょうか?事業再生には遅いはあっても早いはありません。現在の体制のままに経営を継続することに課題を感じていれば、それは実質的に事業再生なのです。

思い切ってM&Aに挑んだとしても、結果として多くのM&Aが実行後、計画の損益が出ないことが多いです。そのため、のれん償却(5年の均等償却)に追いつかず買収した事業の損益が赤字となります。

自分で事業を育てられない買い手企業がM&Aに取り組む事は多く、短気であることが多いです。短気な買収企業は計画の損益が出ない場合、取得した会社や事業を自社に合併や事業譲渡し、買収した会社を資源としてバラすことになります。商流、人材、不動産、機械設備等の動産を、必要なものだけ利用し、買収に意味があったのだと自分を納得させるための行動をします。

M&A後のPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)は、事業再生感覚ですべきです。取得して3ヶ月以内に計画の損益の見通しが立てられるように懸命に努力すべきです。買収後の会社をまずはお手並み拝見とのんびりに構えることは失敗につながります。M&Aをまとめる事だけでも、大変な労力が掛かるので達成感と疲労感の中で、買収後の努力が後回しになる事があります。

そうで無い場合でも、多くの買収側は買った後は買った会社を、自分の意のままにしたいと勝手気ままに振る舞ってしまうことも多いです。さながら占領統治かのように、がさつに対応することは良い結果を生みません。

過去の世界史で成功したローマの占領統治のように言語、宗教、慣習をビジネス感覚に置き換えておおらかでありながら、重要な価値観の一致を計るべきですが、買収側は安易に自社の感覚に染め上げようとしてしまうことも多いです。買収直後の統合作業の中で、自社の文化として許容できること、できないことを対話し、それによる損益的なインパクトをよく話し合うべきです。

M&Aの相場観(買収費用)が私がM&Aコンサルをしていた時代より高くなっていることも、M&Aが失敗しやすい要因に直結しています。昔はEBITDA3〜5年と言われていましたが、最近は会社や業種にもよりますが5〜7年が相場と言われております。

結果として、のれん償却は5年ですので、統合によるシナジー効果が5年の間に2年相当分利益に貢献しないと、償却が間に合わないという結果を生んでしまいます。計画が達成されなければ予定と違う!と会社を切り刻んで資源にしてしまうことが増えますね。M&Aの顛末の終着駅としては、売り側も買い側も望んだ結果とは言いがたく痛ましいことです。

EBITDA倍率7年といった高値で自分の会社を売りたいという社長さんに鳥倉はこのように説明します。「もしお売りになりたい気持ちが強いのであれば、無理な値段は控えられた方が、会社に残された従業員さんのためでもあるのですよ」とお伝えします。

社長は高値を希望する反面、会社を売却して自分一人が会社を離れることに寂しさを感じていることが多いです。無理に高値で売り抜けて、残された従業員へ高い目標を課されたあげく、自分の人生をかけた会社が解体の憂き目に遭うのを望んでいるわけではありません。

事業再生で17年、M&Aにも、PMIにも関わって参りました。M&A前後のご相談も承っております。もし、こちらのnoteにご興味をもっていただいた経営者の方がいらっしゃいましたらお気軽にお問い合わせください。

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