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なるべく明るい乳がん日記25無計画という名の壮大な計画

〜前回のあらすじ〜
抗がん剤投与もいよいよ折り返し地点。無事に3回目の投与が終わった。
この後 ”ご飯美味しくなくなる期” がもれなくやってくることがわかっているのが地味に辛い。ご飯が美味しく食べられないって本当に辛い。
それでも投与するのだ。未来の私のために。
(タイトルは  昔ライブ行ったな〜)

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【投与2日目】
今までほとんど感じたことがなかったホットフラッシュ的な暑さを感じることが増えた。
ホルモン治療を始めると副作用としてホットフラッシュなどの更年期と同じ症状が出ることがあるが、その治療を始めてもいないのに出ているということはこの場合100パーセント自前の更年期の仕業である。同じ室温なのに暑かったり平気だったりと忙しい。

朝から早速、口の中が甘い。
病院で「味覚障害に対処するお薬あるけど、どうします?」と看護師さんに聞かれたけど、薬を飲むほどでもないか〜と今回はもらわなかった。帰宅後、夫に「もらっておけばよかったのに。」と言われる。私もそう思う。
相変わらず計画性というものがない私。

味覚障害がくるとわかっているのに私はうっかり結婚祝いでもらったカタログギフトの中から美味しそうなバームクーヘンを注文していた。
投与前に届いたもののギリギリすぎて食べる前に投与の日が来てしまった。
しかもバームクーヘンの賞味期限は5日後に切れてしまう。どのタイミングで注文しているのか。アホ過ぎる。
やっぱり計画性というものがない私。

まぁいいか、とバームクーヘンを食べてみた。
味覚障害で口の中が甘いけれど、甘いものは普通に美味しく食べられる。
そうか、甘いものは食べられるのか!!
これが本来の甘さなのかは、よくわからないけど。

【投与3日目 ジーラスタ注射】
急に暑く感じたので保冷枕を使って寝たが、寝つきが悪い。なかなか寝つけなかったり夜中に目が覚めることが増えた。抗がん剤というより単なる加齢と思われる。悲しき更年期。


ジーラスタ注射のために朝、病院へと向かった。今回は夫と一緒である。
診察の時に味覚が変で辛いから薬が欲しいと訴え、プロマックDという薬(亜鉛)を処方してもらった。ジーラスタも打ってもらって本日は終了。
処方してもらったプロマックDを早速飲んでみる。効くといいけど。

味は、舌に多く分布している味細胞(味蕾みらいともいいます)というセンサーに食べ物が触れることによって感知され、「甘味、苦味、酸味、塩味、うま味」として認識されます。薬物療法によって、味細胞が損傷したり、味細胞を作るのに必要な亜鉛の吸収が妨げられたりすると、味覚障害が起こります。薬の種類によっては、唾液に分泌された薬の代謝物によって、苦味や金属のような味を感じることもあります。

がん情報サービス 味覚やにおいの変化より抜粋


なぜ今回は夫と来たのかというと、注射の後に映画を観るためだ。

映画化3作目『キングダム 運命の炎』
絵柄がちょっと怖くて苦手なので私はまだ1巻しか原作を読んでいないが、映画は全部劇場で観ている。壮大なスケールで迫力があっておもしろい!!3作目はものすごく気になるところで終わった。4作目あるな、これ。続きが楽しみ!!楽しみなことが増えるのは嬉しいことだ。


映画を観終わりフードコートでお昼ご飯を食べた。
こうして医療用帽子を被って外に出ると、自分はがん患者なんだなと思う。特に人目を感じることはないし、誰も私のことなんて見ないけど、髪がないことで微妙にいたたまれない気持ちになる。

病院には同じような医療用帽子を被っている人が何人もいるから全然気にならないし、声を掛けあったりもする。お互いにがんばっているのだなと同志のような気持ちも湧く。でも、ここは違う。

外出をゆっくり楽しみたい気持ちと、早く帰りたい気持ちがせめぎ合う。それでも久しぶりの夫との外出は嬉しいので一緒に買い物をして帰った。

髪はまだ全部抜け切ってはいない。前髪とか横の髪が、まばらにうっすら残っている。なんかこう悲壮感漂う状態。枕や帽子に抜け毛がつかないくらい、脱毛のペースもゆっくりなまま。この状態で現状維持されてもなぁ……しばらくこのままなのか私…?

どこまでがおでこでどこからが頭皮なのかもだんだん曖昧になってきた。でもなんとなく頭はシャンプーで洗っている。頭と顔で分ける必要があるのかわからない感じになってきていても頭はシャンプーで洗いたい。頭だから。

疲れたのか身体もダルい。晩ご飯を夫が作ってくれたけど食べきれずに残してしまった。食欲もちょっと落ちる。どうしても変な味がする。
ぬあー!変な味がするー!!
「チクショー!」と独り言を言いながら自分を奮い立たせる。
投与回数たった4回なのに。もっと投与してる人も苦しい思いをしている人ももっとたくさんいるのに。なんだかとても情けない。

それでもなんでもいい。しょーがない。これも私なのだ。

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