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なるべく明るい乳がん日記11どうにも食べれない

〜前回のあらすじ〜
手術を終え、地獄の一夜からなんとか自分の病室へと生還を果たした私。
朝、昼、晩、そして手術翌日の朝食。計4食も食い逃してるために、とても調子が悪い。腹が減った。減ってるはずだ。
だってあんなに吐いたんだから。

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【手術翌日】
術後一発目の食事は昼食からと決まっていた。
それまでにゼリーなどを持ち込んで食べてもいいですよと事前にアナウンスされていたので、持参したパウチのゼリー飲料をゆっくりと流し込んだ。

胸が苦しい。
バストバンドという強力なマジックテープが付いた白いコルセットみたいなもので胸をギュッと締め付けているからか、とにかく胸が苦しい。

待望の昼食は通常のおかずとお粥。待ち望んだはずなのに少ししか食べれず残してしまった。なぜだ。クタクタに疲れていたので眠る。
夕方、なんとか夫に連絡を入れる。

【術後2、3日目】
吐き気が止まらない。
ご飯をちょっと食べたけど吐いてしまい、点滴することになった。
食べきれず残してしまうことに罪悪感を感じるけどどうにも食べられない。
看護師さんがお水を買ってきてくれた。
自販機まですら自力で行けない。
ムカつきを抑えたいのと脱水したら怖いので自己判断だが吐いたらすぐ水を飲んで、ひたすら寝ていた。

【術後4日目】
看護師さんからシャンプーしないかと誘われる。
そういえばもう4日も頭を洗っていない。
身体は毎朝拭いてもらえるけど頭は術後たらふく汗をかいたあの日のまま。
もちろん洗いたいので前のめりでお願いし、病棟内にある美容院のような洗髪椅子に腰掛け、美容院と同じ手順で洗ってもらった。
洗ってくれたのは准看護師さんかもしれない。看護師さんとは制服が違う。

それにしても看護師さんと准看護師さんの仕事は本当に多岐にわたる。
大変な仕事だなぁと頭が下がる。
コインランドリーまで歩けないほど衰弱した私のために溜まった洗濯物まで片付けてくれた。
「やりますよ!」「いつでも言ってくださいね。」と笑顔で支えてくれた。
感謝しかない。

【術後5日目】
あらかじめ説明を受けた『術後の流れ』からどんどん遠ざかっていく。
まず、『術後2日目にソフトブラジャーに変わります』と書いてある。
術後2日目から毎朝診察があるのだが、私の回復状況ではまだソフトブラは許されず毎日バストバンドで締め上げられている。苦しい。卒業はまだか。

同じく術後2日目から可能な人は可能になる下半身浴だが体力の落ちきった今の私では共同風呂まで歩いて行けない。
でも下だけでも入りたい。足だけでも洗いたい。
看護師さんが気を利かせて病棟内の介助用浴場を使えるようにしてくれた。すぐ助けを求められるよう外で看護師さんに待機してもらいながら5日振りの下半身浴をし、生き返った。風呂って素晴らしい。

右脇から出たドレーンに溜まった廃液を、看護師さんが毎日排出し計量してくれる。その量が順調に減っているのがせめてもの救い。
回復してないわけじゃない。
でもなかなか食べれないのでまだ点滴のお世話になっていた。

点滴中はトイレに行くにもまずナースコールで連絡。
危険がないよう看護師さんに付き添われ点滴スタンドを押しながら歩く。
すれ違う掃除のおばちゃんからも激励が飛ぶ。
本来そんな大変なことにならないはずなのに一体どうなっているのか私は。
点滴スタンドの扱いだけがどんどん上手くなっていく。

とにかく食べられるものを少しでも食べた方がいいので看護師さんから提案された ”通常の食事とは別に、自分が食べられるものを4つ選ぶ” という食事に切り替えた。
お粥と梅干し、果物やオレンジのゼリー、冷奴などを選んで食べた。
量も少なく完食率が上がったので残してしまう罪悪感が薄れて良かった。

ご飯を食べるにも体力がいるなとつくづく思う。
それでもなんとかテレビを見ながら起きていられるくらいには回復した。
スマホを触る元気も出てきたので隠し撮りした夫の動画を見て心を癒した。

【術後6日目】
まだ自力入浴する元気がないので准看護師さんにシャンプーしてもらった。
スッキリして気持ち良い。
看護師さんは本当に文字通り『手』と『目』で『護って』くれる。
患者が少しでも快適に過ごせるよう全力でサポートしてくれる。
感謝しかない。

いつまでも吐き気が治まらない私は院内をザワつかせる存在となっていた。
トイレで会った看護師長さんにまで「あなたが心配だ」とお声掛け頂いた。
回復のペースは人それぞれとはいえ、どうしたものか。

解決の糸口を探るべく ”吐き気 おさまる 方法” などで検索したら、『嘔吐の後1〜2時間は飲食を控えること』という記事が山ほど出てきた。

吐いたらすぐ水飲んでた!!これかーー!!
自己判断はダメという教訓を身を持って得たのであった。

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